2017年03月30日

ポート研磨 2017 (シートリング 段つき修正編)

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8年ほど前にポート研磨の道具 なんて話でポート研磨で使用する道具の記事を書いたのですが、アクセス解析をすると未だに「ポート研磨」という検索ワードは常に上位に居て検索でヒットした方が結構来られているようなので、最近は使う道具も使い勝手のいい物が安価に手に入ったりで変わってきましたので個人的な最新バージョンということでポート研磨で使用する代表的な道具とシートリングの段つき修正の作業的な流れをご紹介します。

まず8年前の記事の頃から使う道具での一番の変更点ですが、
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5年ほど前からエアリューターは基本使わずに、画像のモーターを使用して作業をしています。
これには何点か利点と言いますか、訳があるのですが、エアリューターは高回転で回して使用しないとトルクが殺されてしまいますが、モーターの場合はスピードコントローラーを使うことで極低回転でもトルクが十分で、エアツールだと芯ブレをして使い難かったロングシャンクの超硬バーなどが逆に片手を添え手として使えて非常に使い易くなりました。
また冬場の作業などでもエアツールのように凍らず手が全く冷たくないので非常に楽で、深夜の作業でもエアツールと違って騒音が少ないので非常に助かるなどメリットが多いです。
電気代に対してもエアツールも200Vのコンプレッサーをガンガン回しますので、もしかしたら100vモーターの方がエコかもしれません。

逆に欠点としては、エアツールと違ってトルクがあるので軍手などを嵌めて作業をした時に誤って軍手を巻き込まれた場合には非常に痛いか、大怪我に繋がる恐れがあるという点でしょうか。

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ちなみに先ほどのモーターに繋げるのはこちらのフレキシブルパワーシャフトというもので、画像のモノは 新亀製作所の製品でNo.510-N になりますが、手元にモーターが無くてもドリルなどがあればアイデア次第で流用は可能です。
で、ちょっと道具の細かな話を入れるとまた非常に長くなるので道具の小ネタは次回に書くことにしてポート研磨に於ける段付き修正ですが、

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まず段付き修正の段付きって何の事を言っているの?という話ですが、「段付き」とはシリンダーヘッドの製造段階で発生する加工痕のことで、鋳造されたシリンダーにシートリングを入れる為の下穴を機械加工で掘り、そこに後からシートリングを嵌め込んだ際にシートリングとシリンダーの繋ぎ目に発生する段差や加工で出来たバリなどの事を段付きなどと言いますが、この段付きを残したままだとポート内での流れや効率に悪影響を及ぼすので排除しつつ、リング内径を広げて効率アップも狙いましょうという作業を自分の所では段付き修正などと言っています。

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作業の内容的にはリングとシリンダーの繋ぎ目を研磨して繋がり部分で発生する吸排気に於ける流速抵抗などを低減する目的で行いますが、イラストのように単純にリング部分だけを削って繋がりを合わせようとすると結果的に繋がり部分の角度がきつくなり乱流が発生して有効面積が稼げませんので、ポートのスロート(喉)部分以降のポート容積を出来るだけ増やさないように注意しつつ、シリンダー〜リングをRで繋がるように研磨をします。

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またリングの内径を広げ過ぎると圧入してあるリングの張力が失われてリングが脱落するなどのリスクも伴いますので、無闇やたらに削るのだけは避けた方が良いと思います。

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そしてご自身でやってみたいなぁ・・・という方の為に研磨の際の注意点ですが、凸部分を消したいなどの狙いのある場合以外はリューターはゆっくりでも常に動かして削りムラを作らないように、そして前後に動かすと道路に出来た轍のような溝状のラインが出来てしまい、その線を消すのは非常に厄介ですので、

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リューターを動かす場合には小刻みに振り子のように左右に動かすようにして削っていくとムラが出にくく比較的均一に仕上げられるかと思います。

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またやりがちな例として、手前の接触面ばかりに気を取られてしまうと、先端で内壁を傷付けていた・・・。なんて事もありますので、先端が尖ったタイプの超硬バーを使用する際には注意した方が良いかと思います。

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ちなみにこの程度の傷であれば消すことは容易ですが、あまりにもガッツリと傷を付けてしまった場合には無理に傷を消そうとして削り過ぎるとそちらの方が問題ですので、やってしまった場合には諦めも肝心かと思います。
それと研磨をすると当然アルミの削り粉が発生しますがかなり大量に豪快に作業場所を汚しますので間違っても室内では行わない方が良いと思います。
また削り粉は細かく鋭利でトゲとして良く肌に刺さりますので、小さなお子さんやペットの近くでは絶対に行わない方が良いかと思います。

ということで「何かとリスキーですので全て自己責任でお願いします!w」ということで、ここから作業の流れをこのポートを使ってご紹介します。
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先ほど傷を付けてしまったポートですが、まずは荒削りが得意なスパイラルタイプの超硬バーを使用して大体のポートデザインに仕上げますが、この後、最終仕上げまでにまだまだ研磨を続けて肌質を整えますので、この段階で限界まで削らずにその分の削りシロは残しておきます。
またこの時にアルミで出来たシリンダーと耐摩耗性に特化した特殊合金のシートリングでは削れる速度が全く違いますので、両方を同時に削っているつもりでも実際にはシリンダー側のアルミ部分ばかりが削れて陥没してしまいますので、まずはリング側をある程度先に研磨をして、その後に繋ぎを合わせるようにサクッとシリンダー側を研磨すると比較的少ない研磨量で済みます。

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続いてクロスカットタイプの超硬バーでさらに仕上げていきますが、先ほどのスパイラルカットの超硬バーは非常に削りやすくサクサク削れてしまう分、削り痕が粗く調節が難しいので、ゆっくり削れて削り痕も比較的仕上がりに近いこちらのクロスカットタイプの超硬バーを使用して荒削りの中仕上げを行います。
ちなみにリングで赤く印した部分がバルブとの当たり面となりますが、間違えてこの赤い線の部分に傷を入れてしまうとシートカットのやり直し、傷が深い場合にはシートリングの入れ直しなどの作業が必要となりますのでくれぐれも傷を付けぬよう作業を進めます。

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そして中仕上げが終わったら荒削りで出来た小さな凸凹をこの ホルダー装着タイプのバンド#120〜#320で整えて最終仕上げに向かいます。

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そして先ほどのバンドタイプで届かなかったR部分などの仕上げにこのタイプのフラップホイルを使用しますが、

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新品ですと角が立っているのでR部分に上手く馴染まないのでこのような使い古しで先の丸くなった物を使用して仕上げると結構調子が良いのでお勧めです。

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そして最後に好みに合わせてアルミの丸棒に切れ目をいれた棒に耐水ペーパーを挟んでオイルを付けて磨けばご覧のような仕上げが可能です。が、内壁を綺麗に仕上げても荒く仕上げても実際には内壁付近の流速は壁に近ければ近いほど流速速度が落ちますので仕上げによる差は殆ど無いと言われています。

ということで、今回ご紹介した作業の流れは基本的な流れとしてで、形状などは人それぞれの個性や考えによると思いますので、バルブ当たり面への形状などは直接触れません。
そして以前はポート研磨をしても効率は差ほど変わらないという流れでしたが、現在ではポート研磨をすることによって効率の向上が見込まれるようになってきました。
※ 正確にはポート研磨を行うことで燃焼室内壁に向けて良い流入の流れを作り、流入した混合気の渦(タンブル、スワール)を向上させて燃焼効率を上げると言う思想です。
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特にポート研磨は日本語で検索してもあまり数値の変化的な試験記事はヒットしませんが、言語を変えるとこれだけ多くの情報が手に入りますので色々なワードで検索してみるのも面白いと思います。
特に海外のフォーラムやラボなどではポートのCFD解析や実際にアクリルにCNC加工を施して実際のフローをスーパースロー再生を使って目視で見れるようにしてくれているところなどもあります(面白かったので紹介したかったのですが、動画を見失いました。。。)

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またベンチュリー効果を利用するキャブ車と燃圧を利用するインジェクション車でも考え方や出来ることが変わりますが、面白いところではロングストロークとショートストロークでも上流と下流での圧力変化などの脈動振幅などを考慮して形状を変えるという発想もあるのですが、さらに面白いことにタイの方では以前に日本国内でも良いとされてその後やはりダメだったと廃れたコブラポートに似た形状が現在流行っているようです。

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4 Piston B16 CNC
そして今ではCNC加工による高度な機械加工のポートなども多く出ていますが、一番採用してそうなmoto GP やF1 など最先端を行くマシンのポートの仕上げは未だにハンドメイドが支流なようで、設計段階で既に完全な形状なのでサラッと仕上げればいい・・・なんて事はクランクシャフトの仕上げに機械加工で1週間も掛けるあの世界じゃ考えられないのでやはり職人の感に勝るモノは無いってやつでしょうか・・。

またこちらのフォーラムにB.A.Rホンダ時代のRA004E V10 NAエンジン?のマニアックなカットモデルや貴重なデータが搭載されています。
英文ですがグーグルの翻訳機能で大体読めると思いますので1世代前のエンジンとはいえ燃焼室のポート付近を中心にラジアルバルブ仕様のカムなど滅多に見れないモノも載っていますので興味のある方は見てみてください。
http://www.f1technical.net/forum/viewtopic.php?f=4&t=15385

ということで、眠くていい感じに話が纏まりませんので次回の道具編に続きます・・・




akane380 at 05:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)ポート研磨 段付き修正 

2017年03月19日

日々感謝

ここ最近いつも深夜にブログを更新する時間もメールの返信などに当てて費やしていたらあっという間に3週間も時が過ぎていました^^:

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とりあえずこの3週間の間にVMAX1200の作業も以前から抱えていたFCRキャブの取り付け不具合箇所なんかを細々と調整して補修しつつ、

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シリンダーの内燃機加工も無事に終えて全体的に通しが済んだので必要な部品の選定を済ませて発注をしたら、ヤマハに在庫無しで入荷まで予定で1ヶ月待ちとの事で1アウト。。。

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自分の12Rのエンジン製作も始めないとなぁ・・・と、虎の子で大切に予備エンジンとして取っておいた最終型の極上エンジンから取り出したクランクシャフトを計測したところ、今まで使用していたクランクと大差なく目くそ鼻くそで2アウト。。。

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そしてシリンダーヘッドのバルブ周りの仕様も少し変えたいんだよなぁ・・・とここ最近の新型エンジンのバルブサイズを調べて流用出来そうなモノを見つけ、後は調べても情報が出てこなかったステム長が短くなければ加工して使える♪ とドキドキワクワクしながら取り寄せてみたら・・・

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分かり易いほど短くて一瞬で5千円が吹っ飛んで3アウトw
画像左の1本だけ長いバルブが普段自分の12Rで使用しているFerrea製のバルブなのですが、こちらは輸入コストも入れると1本あたり5千円ほどするので、今回の純正バルブが流用出来れば入手も楽で新規でも安価にビックバルブ仕様が作れたのでちょっと期待が外れたのは残念でした^^:

逆に残念じゃなかった事もあったのですが、SBR_1042
去年の後半で12Rのピストンにセラコートのピストンコートを施したアレですが・・・

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今回エンジンを分解して確認してみたところ、

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一応前回の富士での走行程度(と言ってもNOSを全開で吹いてミッション砕く勢いで回していますが)でも剥がれなどもなく耐火性と密着性はまだまだ負荷を掛けてもイケそうな感じです。
なので今回新規で作るエンジンにも再度このピストンコートを施してテストを重ねてみて、耐久性に問題が無いようであればEXHポートの壁面に仕上げとして使えるなぁ・・・と。
ついでに燃焼室側にも施せば圧縮比もホンの微かに稼げてさらにお得かなとw
毎回次回の分解時にカーボンの付着を嫌って燃焼室の鏡面仕上げやEXHポートの鏡面仕上げをするのですが、この作業が意外に手間で、このピストンコートが使えればカーボンの付着も抑えられて分解時の洗浄がだいぶ楽になりますので引き続きテストをして判断してみます。



そんなセラコートもここ最近では応用でいろいろな事をさせていただきました。
ということでここ最近の作業をダイジェストで・・・SBR_6774
都内のショップさんからの作業で元の塗装を剥離して地の金属をヘアライン仕上げにしたタンクを錆や腐食から守る為にセラコートのスーパークリアーで保護をするというものですが、セラコートのクリアーは他に無い密着性と防汚性を兼ね備えているのでこの手の仕上げには調度良い選択ではないかと^^  こちらは以前にも同様の仕様を作業させていただいてのリピート作業でした。

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そして最近はバイクや車関係意外でも自転車の部品や自分にはよく分からないものなども作業をしているのですが、こちらは先輩ご愛用の釣具のリールのハンドルを耐久性のあるブラックにしたいとの事で穴の部分だけマスキングをしてアルマイトを残したセラコート仕様ですが、マスキングで心が折れそうになった分、仕上がりも喜んでいただけてやり甲斐のあった作業でした。

SBR_6665そしてこちらもメッキ仕様からブラックに変更の依頼で昨年の暮れにショーバイクの製作でセラコート処理を担当させていただいた八街のハーレー専門店さんからの依頼品ですが、今回の希望は艶ありブラックとのことで、正直個人的にガンコートやセラコートは元々の仕様が6分艶ですのでウレタンやパウダーコートのような艶ありブラックは苦手というか無理・・・な面がありまして、セラコートだと先ほどの釣具のハンドルに施した艶感がクリアー無しでは最大で、

SBR_0725そんな事から以前に同じように艶ありブラックでご依頼をいただいたこちらのエンジンカバー一式はガンコートを選んでいただいて、

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納得するまで何度もやり直してトラウマになりかけた記憶があるので艶っつやのブラックを希望される場合にはパウダーコートを施工してくれる業者さんを素直に紹介してしまうのですが 、
※ 仕上がりの映り込みの確認用にマスキングテープを乗せています。

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今回は以前にもパウダーを試したけど剥がれ易くて却下とのことでこちらで作業を引き受けさせていただいて、

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トラウマ再来で早々に白旗を揚げてガンコートブラックのトップコートとしてセラコートクリアーを使わせていただき、若干割高になって恐縮しつつも何とか耐久性も兼ね備えた艶ありブラックで仕上げる事が出来てホッと一安心しました^^

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そしてこちらはコーイチさんのお店からのご依頼で古い車のワイパー部分のインナーパネルのリメイクとしてセラコートのつや消しブラックを施工ですが、セラコートは他の塗装と違って塗りました感が無いので仕上がりも違和感が無く、こうゆう使い方もアリだな・・・と一つ勉強にも^^


SBR_6724それからキャブレターの製作もありがたい事に順調に受けさせていただいております♪

SBR_6831こちらの純正キャブレターは遠方から直接持ち込みをしていただきまして、セラコート仕様にて製作させていただきましたが、

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今回の配色はオーナーさん自らが事前に調べてご指定いただいた色で自分も使った事が無い色だったので米国のセラコートより色を取り寄せた時にはどんな仕上がりになるのか楽しみでしたが、実際にバラバラの部品をくみ上げてみると春らしく爽やかな色合いで非常に綺麗なキャブレターの完成となりました^^

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それにしても以前まではFCRとCRキャブの製作が圧倒的に多かったのですが、ここ最近は純正キャブのオーバーホールついでにオールペン的な作業も増えてレストア的な意味合いの作業も増えてきたのでついにウェットブラストの機材も導入したのですが、そちらの方は置き場所が無いとか色々問題がありまして、また改めてご紹介します^^:


ちなみに現状でセラコートの性能には必要十分な性能を感じているので十分満足しているのですが、ここにきてセラコートよりテフロンを遥かに超える各性能を有した高強度なハイパフォーマンスコーティングがリリースされたそうです。
摩擦係数が少なく高耐磨耗性とのことで自分の250TRの救世主になるか?w 試したいことが^^
こちらのELITEシリーズも近々取り寄せて試してみようと思いますのでこれからもますます新しい経験と応用が広がりそうです♪

CORROSION PROTECTION = 腐食保護
ABRASION RESISTANCE = 耐磨耗性







akane380 at 01:38|PermalinkComments(6)TrackBack(0)セラコート | ガンコート&結晶塗装

2017年02月28日

至上命題 9sec!! VMAX計画

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前回焼きついてしまったクランクのスペアを準備するために部品取りのエンジンをバラしたVMAX1200ですが、用意した部品取りエンジンから取り出したクランクも程度も良く一安心できたので、今度は今まで使用していたエンジンの仕様を把握して今後の仕様と対策を考えていきます。

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で、作業をする際にいつものようにエンジンスタンドを使用して・・・と行きたかったのですが、V型エンジンだとエンジンスタンドにセットした状態では水平が出せず、4輪のエンジンを整備する時のようにサイドからマウントさせようか・・・とか悩みつつ、エンジンブロックやクランク自体の重量があって下手にマウントするとケースが割れそうで怖いので上手いこと収穫箱にセットして圧縮比の計測を行いますが、このマウントのし難さという部分が後々ネックになる事に・・・。

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そしてシリンダー容積を測って

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燃焼室容積も測って現仕様での圧縮比を確認し、その後部品取りエンジンから取り外したシリンダーヘッドの燃焼室容積も測って圧縮比を算出して比較しつつ、以前のエンジンの大凡の仕様内容を確認したら・・・

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それぞれの部品をパーツクリーナーで洗浄して今度はピストントップに粘土をセットしたら、シリンダーヘッドやカムシャフトをサービスマニュアルを元に規定通りに組み付けて、クランクを回して実際にエンジンが動いている時のそれぞれのタイミングとクリアランスを押し潰された粘土の厚みを測り、その数値を元にどこまで余裕があるか?またその余裕の中で如何に効率を上げる仕様が出来るか?を検討していきます。
※ 前回製作時の仕様や内容など計測した各数値は伏せさせていただいております。

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で、今回10年近く今までの仕様で挑戦してきて成しえなかった0-400m 9秒台入りを達成させる為には清く正しく逞しくみたいな綺麗ごとじゃダメだろうな。と。
普段のオーバーホールとは違う考えでハイリスクでも記録を狙える可能性を求めたレース仕様で行く方向で考えが纏まり、オーナーさんの同意も得られたので早速作業を開始しました。

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で、まず問題となるのが自分はエンジンを作る時にヘッド側単体ではなくシリンダー側も面研する事が多いのですが、今回シリンダーの面研を行うに際してこのシリンダーのライナーの飛び出しが2箇所で0.2mmほどあり、前回製作した際にこの状態で組んだのか? それともエンジンが稼働中に動いてしまったが為に飛び出してしまったのか? が分からずちょっと参ったなぁ・・と。
もし以前の製作時にこの状態のまま組んでしまっていたのであれば、今回の加工自体に問題はなく指定量を面研してもらって終わりなのですが、仮にエンジンが稼働中に動いてしまって飛び出している場合に、エンジン始動後にまた動いてしまって飛び出しを削った分がマイナスとなってガスケットのシール不良を起こす恐れがあるので果たしてどっちだろうか・・・?と。。。
とりあえず内燃機屋さんに送って作業前に一度確認してもらう事にしたのですが、ここでまた問題発生で・・・

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仮にライナーの件がパスできても今度はシリンダー上面より上に突き出ているエンジンマウントが邪魔で面研が出来るか分からないと・・・。
ついでにエンジンケースが長くてライナーを上手くセット出来ずプレスが掛けられないから何とか別の方法で確認してみると^^:

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で、結果的に叩いても動かず、不安要素は残したくないので一度ライナーを抜いて確認してもらった結果、ライナーが専用のボンドで付いていたらしく、その余剰なボンドで若干浮いてしまっていたとの事で一件落着かと思いきや・・・今度は機械にセット出来ないからライナーを圧入出来ないかも・・・とVMAXエンジン恐るべし・・・。で、だから前回製作時に糊付けしたのかもな。と考えつつ、現在山あり谷あり何とか打開策も見つかり順調に高い精度で加工中です^^

akane380 at 04:17|PermalinkComments(12)TrackBack(0)VMAX1200エンジン製作 

2017年02月19日

1200℃対応 耐熱セラコート グレーシャーシリーズ

今月は何だかお問い合わせと作業依頼が非常に多くて身体が追いついていきません^^:
先日関東でも待ちに待った春一番が吹いたのでこれから徐々に暖かくなって深夜の作業もだいぶ楽になるのでそれまで何とか頑張ります。。。

ということで・・・
☆ 2月中の納期の作業受付は一旦中止しております ☆
またお問い合わせへの返答が現在遅れ気味となっておりますので寛大な心でお待ちください。。。
また時間に余裕を持っていただけると非常に助かりますので何卒宜しくお願いいたします・・・。
※ 今月から至る所でシーズン入りのようでちょくちょくお問い合わせを頂いておりますNOSのリフィル作業は通常通り受け付けております。


ということで前回に引き続き今回もお問い合わせの際に説明が楽なようにセラコートの作業に関するネタですが、



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今回はマフラーへのセラコートに関してですが・・・、


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通常作業を受ける際にこのように新品の状態であれば・・・
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これと言った問題もなくスムーズに作業が行え、仕上がりも問題ないのですが、


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このように使用済みのマフラーの場合に焼け痕が酷かったり、ビニールやワイヤー関係のゴムが焼き付いてしまっていたり、ショート管など鉄製の場合に錆が酷かったりした状態において作業が可能か? また仕上がりはどんな感じになるのか?というお問い合わせを頂くのですが、

この場合は、
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まずそのままサンドブラストを当てても完全に焼け痕を消す事が出来ず仕上がりの際にせっかく施工した耐熱コーティングがムラっぽく見えてしまう恐れがあるので、まずはこの状態で一旦磨きを入れて焼け痕や焼き付きを除去していきます。

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で、この磨き作業は当然一本一本手作業で行いますので・・・

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焼けが酷いと一日作業となりますが、ここでしっかり下地を作っておけば仕上がりも良くなると自分に言い聞かせてひたすら磨きます。
ですので基本的に状態が悪くても出来る限りベストな仕上がりになるよう調整しながら作業を進めますので中古の状態でも基本的に問題はありません。

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あとは磨き終わったらブラストを当てて肌の調整を整えて・・・

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このようにフランジが取り外せない場合には先にフランジだけ作業を行ってしまい、

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フランジが仕上がったら最後に全体を極薄かつ塗りムラの無いよう注意しながら施工して完成です。

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セラコートのグレーシャーシリーズは1200℃ という高い耐熱性能に加えて高密着性も売りの一つですのでコーティングをした下から錆や酸化が発生する可能性は余程酷い環境下じゃない限り問題ないレベルです。


耐熱テストの様子はこちらの動画でご確認いただけます。  
   


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Glacier
グレーシャーシリーズのカラーバリエーションですが、ブラック以外にゴールドとシルバー、そして新たにラインナップに加わったグリーンから選ぶことが可能で、それぞれの色をミックスすることによって好みのガンメタやメタリックグリーンなど可能な範囲で調色が可能です。

akane380 at 04:58|PermalinkComments(4)TrackBack(0)セラコート | 耐熱セラコート

2017年02月10日

P-202 アークティックブラック

間違えて先日の記事を消去してしまいました。。。
砂粒さん、one offさん、せっかくコメント頂いたのにすみません。。。
で、差し替えのネタじゃないですが、ちょくちょくお問い合わせを頂いた際に説明に使える参照記事が欲しいな。ということで、セラコートの製品の中で放熱性に特化したP-202 アークティックブラックというコーティングの施工手順と色味をこの機会に参考程度にアップしておきます。

まず放熱性に特化したと言われてもどの程度効果があるのか?という話ですが、それを説明する前にwikipedia より、

〜 熱放射 〜
熱を運ぶ過程には大きく分けて次の三通りがある。
熱伝導
移流(対流)
熱放射

熱伝導は物体が移動せず直接触れ合うことにより、移流は流体の流れを媒介させることにより間接的に熱を伝える。どちらも熱は熱振動のまま伝わってゆく。それに対し熱放射では、輸送元の物体が電磁波を出し、輸送先の物体がそれを吸収することによって熱が運ばれる。この過程だと、二つの物体のあいだに媒介する物質がなく、真空であったとしても熱が伝わる。



そして今回のP-202 アークティックブラックの場合は熱放射を利用した放熱性ということで、



放射率(ほうしゃりつ、英: emissivity)は、物体が熱放射で放出する光のエネルギー(放射輝度)を、同温の黒体が放出する光(黒体放射)のエネルギーを 1 としたときの比である。0 以上 1 以下の値(無次元量)であり、物質により、また、光の波長により異なる。
キルヒホッフの法則によると, 放射率εと吸収率αは等しい:ε = α
また、エネルギー保存則から、ある波長の光が物体に当たった時、反射率ρ、透過率τ、吸収率αの和は 1 になる:ρ + τ + α = 1
もしも、物体が十分に厚ければ、透過率τは 0 になる。するとρ + α = 1となる。
この式に上記のキルヒホッフの法則を使うと
ρ = 1 - ε
となる。
すなわち、放射率εが大きければ反射率は小さく、逆に小さければ反射率は大きい。このことから、光をなるべく反射するには、放射率の小さな素材で物体表面を覆えばよいということがわかる。
例えば、消防士の着る耐熱服の表面が金属でコーティングされているのは、金属の放射率が広範囲の波長において低い(反射率が高い)ためである。高温な物体から照射される熱放射を反射することにより、消防士の体を高温から守るのである。


よく分かって頂けましたでしょうか?
今ひとつ理解できなかった方はご安心ください。自分もですので。。。
とりあえずこの記事中では ” 1 ” に近いほど熱放射率が悪く、 ” 0 ” に近いほど熱放射率が良いという程度の認識で問題ないと思いますが、

一般的な例として
アルミニウム  0.02−0.1
鉄(酸化面)  0.5-0.9
ゴム      0.95
クロム酸化物   0.81
一般塗料     0.80〜0.95
油性ペンキ、  0.92〜0.96
水        0.92〜0.96
人体      0.98


といった感じなのですが、P-202 アークティックブラックの熱放射率は

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と施工を施してもなお鉄の酸化面と同レベルの放射率を誇ります。
※ セラコートの中には色によっては 0.44とさらに放射率の高いモノも存在していますので、うちで放熱加工を施工する場合には今回のように色の希望が無い限りは放射率優先の配色となります。
※ P-202 アークティックブラックの耐熱温度は260℃ となりますので、エキゾーストなど高温になる部分への施工は推奨しておりません。

という事で実際の作業の流れですが、SBR_1718
こちらのシリンダーは昨年ご依頼を頂いて納めたモノになるのですが、ハーレーのシリンダーで夏場の熱対策にと、別途用意した社外のシリンダーヘッドの結晶塗装のブラックとのバランスを考えてP-202 のアークティックブラックをご指定頂いての作業となったのですが、

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一見、アルミ地のようなシリンダーも角をカリカリと爪で引っかくとパリパリと樹脂のような分厚い塗膜がポロポロと。

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で、この如何にも熱を外に伝えず篭らせてしまいそうな分厚い塗膜の上から施工をしても全く意味が無いので、まずはこの分厚い塗膜を剥離剤を使って綺麗に剥がします。

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そして綺麗に剥がし終えたら一度綺麗に洗浄をして高温の炉にて焼き飛ばしを行い・・・

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今度はマスキングをしてサンドブラストにて肌の表面に凸凹を付けて表面積を稼ぎ放熱効果を上げる肌質に整えます。
で、本当は一番放熱性が良いのはこのままの状態なのですが、現実的にはアルミや鉄は素地のままでは酸化し腐食や錆びが発生してしまいますので、そのままでは途端に放熱性が悪くなってしまう事からそれを防ぐ為に仕方なく塗装をして表面を保護します。

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ですので本来なら塗装したくないけど保護しなきゃならない=出きるだけ放熱の抵抗にならぬよう極薄の塗膜で保護をするようにと うちでは極小口径のエアブラシを用いてフィンの一枚一枚を時間を掛けて仕上げています。(実は企業秘密だったり・・・)
なのでうちでラジエターやオイルクーラーを施工するとメチャクチャ時間が掛かる分、若干割高となります・・・。

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そして塗りあがったシリンダーを175℃に熱した炉で一時間焼付け作業を行ったら・・・

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P-202 アークティックブラックの施工が完了です♪
色味的にはブラックと言うよりかは白味の強いダークグレー系の色味となります。

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ただ、今回はこちらの社外のシリンダーヘッドに施された結晶塗装とのバランスをオーナーさんが一番気にされていたのですが、仕上がり的に色味も近く問題ないレベルとのことで納品をさせていただきました^^
また、こちらのP-202 アークティックブラックは塗膜を極薄にしても密着性や引っかき硬度、5%塩水腐食耐久性などは他のセラコート同様高い次元の性能を持ち合わせておりますので極薄の塗膜だからといって簡単に剥がれたり錆びや腐食に侵される心配はありません。
ということでP-202 アークティックブラックの紹介でした^^
次回は同じくお問い合わせの多い耐熱温度1200℃のグレーシャーシリーズを紹介します。

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それにしてもこのハーレーの燃焼室はまた一段と綺麗でした。。。

akane380 at 17:15|PermalinkComments(2)TrackBack(0)セラコート | P-202 アークティックブラック