2018年10月15日

焼き付け塗装時のリスク管理

今時期から紅葉シーズンに掛けてはバイクシーズンだと思うのですが、何だか9月の下旬辺りから作業依頼の件数が増え始めて既に今年の1月くらいの危機的状況になってしまいました・・・。
しかもこの時期になると持病が顔を覗かせはじめて体調絶不調ですw

ということで前回の更新内容の続きが遅くなってしまいましたが、
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エンジンの焼き付け塗装時には一体モノ部品の塗装時と違って組み付け時の精度に悪影響を出さぬ様に要所要所に注意を払いながらマスキング作業やブラスト処理、そして焼き付け塗装の工程を行いますが、

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中には部品に欠陥が有ったり、問題が有ったりで、このまま作業を行ってもこの状態では使えませんがどうしますか?など、こちらで気付いた事があればショップさんなりオーナーさんに一度状況を把握しているのか?の確認をして、必要な場合には一度お返ししてそれぞれの修理加工や作業中断などの判断を仰ぐのですが、その時に非常に細かい異変に対しての指摘だと眉をひそめるような「その程度大丈夫だろ?」みたいな反応を受ける事もあったりで、

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以前にこちらのV-MAX1200のシリンダーライナーが0.3佝瑤喀个靴討靴泙辰討い燭里任修里泙泙任六箸┐覆い半匆陲靴浸に「0.3mmくらいガスケットが受け止めるから問題無くない?」みたいな話も頂いて、飛び出している=動いていると考えればマズイ状況と考えられるのにこれを可にしてしまうのではリスク管理がおかしいのでは・・・と感じた事もありました。
ですが、人は人、自分は自分なのでそれぞれの価値観がありますので否定も肯定もする気はありませんが、そのような事を感じていた時にたまたまネット上でリンクを辿って行きついた先で書かれていた「納車後すぐにエンジンからオイルが滲み出て白煙が酷いというようなトラブルに見舞われてしまった」という前回紹介した書きこみで、その古いカワサキの空冷エンジンのオーバーホール作業を行ったバイク屋さんを叩くようなよくある内容の書き込みでした。
ただ、その時に作業内容を見て単純に何でこの普通のオーバーホールの作業内容でエンジンからの白煙とオイル滲みが発生したのか?が気になってそのバイク屋さんを興味本位で調べても普通に技術もありそうで、むしろ凄く丁寧な作業をしてくれそうなのに何でだろうか?をパっと考えてみた時に、書き込みの作業メニュー内に「焼き付け塗装 ※実際には正式名記載」と書かれていたのを思い出し、多分これが問題を引き起こした可能性も考えられるなぁ・・・と。

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普段エンジンの焼き付け塗装を行う際に、このような現行のメッキシリンダーであれば余り気にせず作業を行う事が出来ますが、

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この手のライナーが打ち込んであるタイプのシリンダーでは塗装時の洗浄脱脂でライナーが錆びないように防錆処理をしたり、ライナーが焼き付け時に緩んで動かないように気を付けたりとひと手間ふた手間手を加えるのですが、

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特にこの古い空冷エンジンに関しては当時のままのライナーの場合には精度がかなり落ちていますので、

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焼き付け塗装時にライナーが飛び出さないように、このような簡易的な冶具を制作して塗膜が指触乾燥状態になったら冶具で固定し焼き付け工程を行ったりしますが、

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今回実際にエンジンオーバーホールで入庫中のこのライナー打ち換え予定のKZ1000のシリンダーを使って焼き付け実験を行ったところ、通常のこの手のマスキング処理をした上で焼き付け工程を行った結果、

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マスキングテープを剥がしてみるとこれだけライナーが飛び出してしまいました。
※ 視覚的に分かり易いように実際に焼いて何度でライナーが緩むか?を実験した際の動画を記事の最後に搭載しておきます。

で、ライナーが飛び出すと何の悪影響があるんだ?と、以前に指摘されたようにガスケットがその飛び出しを吸収してくれるから問題ないのではないか?という話ですが、
シリンダーライナー1
動画用に作った簡易的なこの図で紹介しますが、自分の動画を外人さんが見ると「このサル吉はいったい何が言いたいんだ?」と余りにもくだらない実験動画ばかりで理解していただけないので今回は英語表記も入れてみますた。
で、画像はライナーが飛び出した状態ですが、この状態で実際にエンジンを組み付けると・・・

シリンダーライナー2
余程ライナーの嵌まり具合が緩くない限りは、画像のようにシリンダーとヘッドを規定トルクで結合した時に飛び出したライナーがガスケットを圧縮して押し潰しますが、

シリンダーライナー3
その状態でいざエンジンを掛けて実働させると、エンジンが温まって一定の温度を超えるとライナーが緩んで飛び出していた分が下に落ちますが、そうなるとライナーとガスケットの間に若干のクリアランスが生まれ、そのクリアランスの中でピストンの上下運動と共にライナーが上下に踊り始め、何度も繰り返し打ち付ける事によって当初はコンマ数ミリだったクリアランスがどんどん大きくなっていきます。

シリンダーライナー4
そうなるとシール面が少なくなり、そこにオイルが入り込むことで燃焼時にオイルが燃えて白煙が出たり、燃焼圧力でシール面が破壊されてオイルが滲み出てしまったり、ガスケットが吹き抜けてしまったりの症状を引き起こします。
また、このトラブルの厄介なところは組み付け時にライナーの異変に気付いていないのであれば分解時にも気付かないであろう事と、仮に他の人が分解しても分解時には既にライナーは下がっている場合が多く、ガスケットを注意深く見ないとライナーの異変に気付けないという厄介な症状となります。

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なので、分解時にはまずライナーが飛び出していないか?の確認を行い、仮に飛び出していた場合には温めて戻したところで既に動いてしまっている事を考えれば無駄な抵抗ですので、

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そのような場合には新規でライナーを打ち込むか、ライナーに銅メッキを施して太らせて再度嵌め込むなどの内燃機加工が必要となります。

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また作業依頼時や作業時に画像のようにライナー間にマジックでマーキングをしておくと動いたか動いていないかが分かり易いのでお勧めです。

今回の記事はあくまでも ” このようなリスクが有ることを知らない人がもしかしたら居るかもしれない ” という体で書いておりますので、「焼き付け塗装=ライナーが緩む」という訳ではありませんのでご注意ください。
また全てのオイル滲みや白煙現象がこのライナーに関係しているという訳ではありませんのでそちらもご注意ください。


今回のような内容は一般的なエンジン整備を行う人であれば知識として認識ができる事でも、塗装をメインに修業を重ねてきた方にとっては余り意識されていない隠れたリスクだと思いますので、今回の記事が類似的リスクの発見や品質向上のお役に立てれば幸いです。
どの程度のリスクが存在しているかについては上記動画にて実際にご確認ください。

akane380 at 05:04|PermalinkComments(6)│ │セラコート 

2018年09月19日

エンジンペイント

パソコンを新しくしたらWindowsのバージョンが変わって使い勝手も変わってなかなか面倒です。
というか、ブログの文字がめちゃくちゃ小さくてプレビュー表示が・・・。
文字化けとかしてたらすみません。

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で、相変わらず更新の間隔が開きまくりで前回何を書いたっけ?って話なのですが、エンジンペイントネタの続きを紹介しようとしていますが、今回の話はペイントネタといっても塗り方や技法に関することではなく、ちょっと的外れな話になってしまうかもしれないのですが、

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今年の初めくらいにネット上でとあるバイク屋さんでエンジンをオーバーホールして貰ったところ、納車後すぐにエンジンからオイルが滲み出て白煙が酷いというようなトラブルに見舞われてしまったという方を見まして、どんなバイク屋さんなのだろうか?と、何となく興味本位でそのバイク屋さんを検索するとまぁ至って普通のバイク屋さんで、そもそもそのオーナーさんもそこのお店にオーバーホールを頼もうと思ったくらいですから普通に技術もあって信頼もおけそうなショップさんだったのだと思います。

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で、この古い旧車などで「オーバーホールに出して帰ってきたら調子が悪くなって帰ってきた」的な話ってちょいちょい聞くのですが、その症状で個人的に気になっているのがシリンダー付近からのオイル漏れやオイル滲み、またはガスケット抜けなどで、もしかしたらその症状を引き起こした原因がペイント作業にあり、しかもそれを塗る側も塗ってもらう側も誰も気付かずにそのまま組み付けてトラブルに陥っているケースが少なからずあるのではなかろうか?と、ここまで読んだ時点であそこの事かな?と予測を立てられなかった場合にはリスクに気付いていない可能性が非常に高いので、今後エンジンのオーバーホール時にペイント作業を行う又は依頼する場合には後のトラブル回避のために非常に些細な事ですが注意していただきたい点をご紹介したく、実際の実験動画を交えて次回ご紹介します。

akane380 at 23:23|PermalinkComments(2)│ │セラコート 

2018年09月08日

夏と共に・・・

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パソコンも終わりましたwというか、見積もりの完成真近だったりメールの作成完了真近だったりと毎回ここでは勘弁してくれ。。。という一番辛いタイミングで急に電源が落ちるのでいい加減頭にきて破壊しましたw
なのでここ一週間ほどメールのやり取りなどが停止しておりましてご迷惑をお掛けし申し訳ございません。 返信が無ぇーじゃねーか!と気分を害された方が居りましたら誠に申し訳ございません^^:

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とりあえず後任のノートパソコンも新調しましたので順次再開して行きたいところですが、キーボードの位置が微妙に違ってタイプミスしまくりで打ち込みが亀なので益々返信が遅れそうですが、順を追って返信していきますので気長にお待ちくださいm(_ _)m
それにしても後任のノートPC選びで色々悩んでとりあえず何故いまさら・・な東芝製をチョイスしてみたのですが、東芝のPC部門が実質的に中国企業の鴻海傘下となったことで今後選択肢から消える存在になる前に一度くらいは使ってみるか・・・。と「平成最後の夏」的な考えで記念に買ってみましたが、良いものを作っても生き残れない日本企業の国際競争力の無さに益々危機感を感じますた・・・。ということで、前回のエンジンペイントネタの続きは次回からUPしますm(_ _)m

akane380 at 03:43|PermalinkComments(4)

2018年08月22日

夏が終わってしまう・・・

お盆前の納期ラッシュもひと段落ついてホッとしてました・・・。
ブログの方も毎週更新しようと思ってはいるのですが、日々時間の経過が早くて気が付けば前回の更新から一ヶ月も経ってて全く追いつけません^^:
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で、注文を頂いてから在庫が切れてしまっていた事に気付いて急いで発注を掛けたFCRキャブレター用の非分解部分のオリジナルOリングも第二ロッドが出来上がってきました^^
お待たせしてしまい大変申し訳御座いませんでした。。。

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それにしても最近更新する内容が無いんですよねぇ・・・。
作業自体はかなり行っているのですが、基本セラコート関係ばかりで「塗りました、仕上がりました」な関係者以外は楽しくない同じようなネタばかりなので、せっかく見に来ていただいてもまたこのネタかよ。。。としつこいと思われそうでw

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V-MAX1700のワンオフタコ足製作とかV-MAX1200の対策を交えたE/g 製作などネタになる他の作業もあるのですが、これらはじっくり時間を掛けさせていただいている分、オーナー様にも現状の詳細を説明しきれていないのでもう少し後でご紹介したく・・・

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やっぱりセラコートネタになってしまうのですが・・・w 、セラコート処理で多いカワサキ空冷Z系のE/g の処理の際に毎回マスキングを行う手間が面倒なので、

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作業時間短縮のためにブラスト用とペイント専用のマスキングキットを予め製作して使っていたり、

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その他にも作業性と仕上がりを良くする為に適当にいろいろやり易いように作っているのですが、

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おかげで今までそれぞれに費やしていた時間が短縮出来て作業がだいぶ楽になりました^^

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いつも完成画像は組み立てた状態の画像が多いのでマンネリを防ぐため、今回は普段コケないと見えない底側の仕上がりにフォーカスしてみましたw
ということで、ちょっと以前に注意喚起も兼ねて書こうとして書き忘れていたネタを思い出したので数回に分けてE/g 塗装処理のネタを書いていきます。

akane380 at 04:23|PermalinkComments(8)│ │セラコート 

2018年07月22日

セラコート × 色合わせ

ここ最近何だか滅茶苦茶お問い合わせが増えたのですが、本当に申し訳ないのですが、返信するのは日に3件が精一杯ですので、返信まで少し時間をください。。。
※ 返信は深夜〜早朝の時間帯となりますので合わせて宜しくお願いいたしますm(_ _)m
また基本的に作業中は電話に出れませんので右欄のお問い合わせフォームかメール secretbase-racing@nifty.com にて宜しくお願いいたします。

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で、今回はセラコートのお問い合わせで多い色合わせについてですが、ウレタン塗装であればカラーも豊富で、例えば黒なら代表的な色味の表現で「 赤味のある黒、青味のある黒、白味のある黒」など真っ黒だけではなく、正面から見た時の色味と斜め横方向から透かした時の色味の違いなどで細かく何種類もの ” 黒 ” が用意されていて、シルバーの場合にはメタリックの粒子の粗さや透かした際の色味などでかなりの種類の ” シルバー ” が用意されているので、色合わせに関しては使える色が豊富な分、無限に色の製作が可能で、ソリッド(単色)であれば基本的に再現出来ない色は無いくらいのレベルです。

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逆にセラコートはというと、元々軍事用途が主なコーティングですので基本的に敵に見つかり難いカモフラージュ系のダーク系がメインで鮮やかな色は代表的な色が各一色づつラインナップされているだけと、色合わせをするにはかなり厳しいカラーバリエーションとなりますので、色合わせを希望された時には以前は頑張って対応していましたが、

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調色段階の色と焼いた時の仕上がり色で変わってしまったり、焼くタイミングや温度などでも仕上がりの色が微妙に変わってしまうなどで実際の作業で使うネタの量や時間よりも調色で使うネタの量や時間の方が圧倒的に多く、それらを請求するとちょっとした部品などでもかなり高額となってしまい作業請求をするこちらとしても面白くありませんので現在では基本的には無理ですとお断りをするようにしました^^:

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なので ” この色と全く同じで! ” という場合には「無理です」とお断りをしますが、画像のマスターシリンダーのような「こんな感じの色味で5m 離れた所から見て目立たなければOK!」という寛大な場合には色にもよりますが調色は可能と考えて頂ければと思います。

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ちなみに ” コレじゃなきゃダメ! ” という指定以外の雰囲気に合わせた色合わせなどであれば柔軟に対応しています。
昨年末のパシフィコ横浜で開催されたYOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOWに出展したシュアショットさんのショーバイクにも前年のマシンに引き続いてセラコートを採用していただいたのですが、

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実は当時、足回りやキャブレター周りのセラコート処理は問題なく行えたのですが、マフラーに関してはセラコートの耐熱コーティングが自然乾燥で5日を要するので部品を持ち込んで頂いてから会場に車両を搬入するまでの猶予が2日程とかなりタイトなスケジュールだったので、他の部品のみ速攻で作業をしてマフラーのみまた後日ということで保留となっていまして、

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少し前にVIBES誌の表紙を飾る事が決まったとの事で保留になっていたマフラーを塗らさせていただきました^^
今回は安っぽい感じには仕上げたくないとの事で、安い缶スプレーのような単純なシルバーでの仕上がりは却下で、希望としては鉄っぽさをイメージしたノスタルジックな雰囲気に合う仕上がりが希望との事で、こちらのミスでシュアショットさんの顔に泥を塗るわけにはいかないと、シルバー、黒、ゴールドしかないラインナップを組み合わせてショーの時の無垢の鉄管の時のイメージに近づくよう絶妙なスチール感を演出して仕上げてみました^^
といってもこの色味で反応するのは自分とシュアショットの代表の相川さんくらいで、逆にこの色を気にされるということは違和感があってマシンの雰囲気に合ってない色という事になってしまうので、不自然に思われない何にも気にされない色味にする事が目標なのですが。

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ということで組み付けた車両をまだ見ていなかったので今月号のVIBES誌を買って仕上がりを見てみたのですが、

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部分的に浮くこともなく、ショーの時のイメージを崩さず車体の雰囲気に溶け込んでいて問題も無さそうで安心しました^^
ちなみにBIVES誌といえばカバーGALのヘアヌードが中折のグラビアページに載っているイメージですが、こんなアリアナグランデ似のオネーちゃんが脱ぐのか?と思ったら問題なく素っ裸でこちらも安心しました?w

ということで、神経質な色合わせ=X  拘りつつ大凡での色合わせ=〇 とお考え下さいw

akane380 at 06:24|PermalinkComments(4)│ │セラコート