2014年10月25日

ガンコートの強度

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ということでレースシーズンも終わってからというもの、ここ最近はガンコート関係に集中しておりまして、この先も少しだけガンコートネタが続くかもしれませんが、今さらながらガンコートとは何ぞや?ということで単純に言うと、米国製の軍用及び航空宇宙産業向けに研究開発され、現在でも過酷な任務を遂行するネイビーシールズなどの特殊部隊が使用するアサルトライフルなどにも指定採用されている優れた放熱性、耐摩耗性、耐食性、耐溶剤性および耐衝撃性能を兼ね備え、尚且つコーティングした対象物の表面硬度を9H(通常の車の塗装が H〜2H)という圧倒的な表面硬度までに上げる事ができるという元々は軍用レベルで使われていた機能性特殊塗料を使用した金属コーティングの一種です。
って書くと凄ぇ強そう!って思われそうですが、ガンコートであれば全てがその条件に該当する訳ではなく、実際に必要以上に過酷な条件をクリアー出来るのはフラットブラックなどそれぞれの指定塗料として研究開発されたモノだけで、装飾用目的に開発された派手な色の中には着色などの関係で若干機能条件を満たせない物もあるとのことで、まぁ実際にどれ程のモノよ?ってことで前回塗装したこちらのFCRキャブを使って強度テストをしてみたのですが、

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まず表面硬度が9Hというのがどんなものか?って話ですが、最近のスマホ用の強化ガラス製液晶保護フィルムでカッターの刃でも傷は入りませんなどと謳っている商品の多くが表面硬度9Hと表記されていますが、実際にフラットブラックは下の母材ごとエグらないと傷が入りませんでしたが、この白はどうなんだろ?って手元に有った六角の角で容赦なく思いっきりガリガリやってみたところ、結果としては普段のウレタン塗料なら今頃塗膜が剥がれてガリガリに傷が入っているレベルですが、強く擦っても食い込まずに滑ってしまう感覚で表面に薄っすらと擦れた痕が残る程度で本当に耐摩耗性が有るんだなと一安心w

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ならば鋭利なカッターの刃の先端でガリガリやったらどうか?ってことで、普通の力でカリカリやったのが上側で、言うほど傷つかなかったので下のキャブボディーごとエグる勢いで思いっきり引っ掻いたらそれは流石に無理でした^^: が 、これほどの力が加わるときは既に事故って吹っ飛んでいる時などでしょうからw 十分に実用レベルの耐スクラッチ性能は持ち合わせているようです^^

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そしてお次は耐衝撃性試験ってことで手元にあったモンキーで適当に引っ叩いたら平面なら問題ないものの、流石に角は弱いようで剥がれてしまいました・・・って常識的に少しは手加減しろって話ですが故意的に傷つけようとすれば傷は付きますよw というお手本として^^:
このようなテストもしておかないと、もしかしたら「ガンコートって傷が付かないらしいぜ・・・ガリ・・・ギャー!嘘つきー!」って自分のように真に受けて要らん事を何でも試して失敗する切ない人が出てしまうかもしれませんので・・・w

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そして最後にカッターの刃で塗膜を削いでみたのですが、結果的に削がれてしまってはいるものの、ここの塗膜はエアブラシで吹いただけの非常に薄い塗膜なので、削いだ回数的にこの程度で済んだことに正直驚きました。普段のウレタン塗装なら保護クリアーも吹いていない状態なので数回擦ったら確実に地が出きってしまっている状況です。

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ということで一通りテストも終了して下地処理の為にサンドブラストを当てて塗膜を落とそうとしたら、通常数分で終わるこの状態にするのに約30分、全体を落とすのに約2時間・・・w この時に一番ガンコートの強さを実感したという・・・w
このように絶対に剥がれない、傷付かない訳ではありませんが、自信を持って高強度といえる塗膜だと身を持って体感しました。。。ってかお陰で剥離作業が面倒くさいっすw

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で、それなら剥離剤でも使って塗装を落とせば?って話なので耐薬品性もついでにテスト。

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まずはキャブを塗装するにあたって一番気になるガソリンからテストですが、

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一週間放置でも全く変化無しでガソリンでは一生変わらないような気も・・・。
ただ、これ以前に単独でテストした結晶塗装はフニャフニャになって剥がれてしまいましたが・・・^^:

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そして普段自分が板金作業の際に使用しているスケルトンという強力な剥離剤を使用してのテストですが、またしても結晶塗装は瞬殺で剥離開始w

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5分後には結晶塗装だけ完全にアウトですが、ガンコートの塗膜達は一向に反応の気配無し。

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そして丸一日置いた頃にオリジナルで調色したピンクが反応し始めて徐々に剥離し始め、赤も割り箸で擦ってみたところ塗膜の表面が薄っすらと侵されて溶けていました。

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ということで結果ですが、赤系は耐溶剤性の面で少し劣ることが判明しました。と言っても耐ガソリンであれば余裕で問題無しですがw
それとガンコートは条件を合わせないと本来の性能が発揮されないのですが、適当に余った塗料をベタ塗りして塗膜を厚くして焼いたブラックもブツブツになった部分が溶けて無くなってしまっていました。
他の色は予めこちらで傷を入れた物も含めて表面の艶なども含め変化なし。

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ちなみによくガンコートと混同されて耐薬品性があると間違われてしまう手前右の結晶塗装は見るも無残に綺麗さっぱりです。。。


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ということでひどい扱いを受けたホワイトFCRはノスタルジックにこんな感じで生まれ変わりました^^
博物館とかに展示されているような古い雰囲気のマシンに装着するならこーゆう感じも有りかなと・・・。
そしてこのチョコレート色もオリジナルで調色して作ってみたのですが強度はバッチリですw
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とかいいつつ・・・
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実はカワサキの古いZ系の火の玉カラーに使われているブラウンメタリックは出来ないか?との問い合わせを頂いてガンコートで調色してみたところ、メタリックの種類が少ないというか、実質一種類しか無いうえにパールなども存在しないので無理かな?とか思いつつ、調色を重ねてこの程度まで正面〜透かした際などの色味を近づけることが出来たので早速試しに先ほどのFCRに塗装を施してみたところ、焼いたらメタリックが全部沈んでしまい結果的に予期せぬチョコレート色になっただけというw
でも塗り方のコツは掴めたので次回からはブラウンメタリックでイケるかと^^

ついでに調色を重ねて探していたムラサキメタリックもやっと完成したので
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こちらのお疲れなFCRのリメイク作業もいざ本番です^^

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この記事へのコメント

1. Posted by oneoff   2014年10月30日 15:10
いいすねー!キュンキュンくるすねー!

チタンフレームにムラメタのファイアーパターンとラメラメなブラックで...........


ポワーン............うっとりw
2. Posted by Gabu   2014年10月31日 03:52
>one offさん

自転車のフレームは良くしなるからフレークなど厚塗りの場合は塗り方に注意が必要そうですね^^

それにしてもガンコートでの色作り楽しいですw
3. Posted by oneoff   2014年11月02日 15:55
あら?またコメントはできるのにコメントが見れない状態に...........あれれ?
4. Posted by Gabu   2014年11月03日 04:31
>one offさん

また見れませんか!?
何もイジっていないのですが・・・
何ででしょかね。。。

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