2017年09月13日

WPC処理とDLC処理の摺動性比較

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ここ数週間タイトな納期の作業に追われていて無事にクリアー出来たので先日気晴らしに外房まで旨い魚を求めて行ってきたのですが、海の家なんかも跡形も無く撤去されて誰も居らずな静かなこの時期の海が一番好きですが、それにしても夏も完全に終わってしまいましたね・・・。
涼しくなった秋空のおかげで星もよく見えて先日はハイペースで視界を横断する衛星も久しぶりに見たりでまったり癒されました。


ということで、あっと言う間に過ぎた今年の夏の自由研究ですが、
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ここ最近になってやっと自分のマシンをイジれる時間が出来たので新しい仕様でこのリフター関係の処理をどうしようか?を以前からチョイチョイ考えていまして、

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今まで手を変え品を変えでいろいろ表面処理の効果の違いなどを自己検証してきまして、カムやカムキャップはWPC処理を、

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そしてピストンや2ndリングなどオイルの潤滑環境の良い部分にもWPC処理を、

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対してオイル環境の厳しいTOPリングやせん断応力の掛かるピストンピンやシフトフォークなどにはDLC処理を・・・

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そしてクランクシャフトのジャーナル及びピン部分とバルブステムなどは磨き仕上げ・・・というのが個人的に安定していて費用対効果も高く結果も良かったのでこれからの自分の仕様として定番と考えているのですが、

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このリフターだけは現状WPC止まりで未だDLCを試していないのですが、それは何故かと言いますと・・・

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施工費用がメチャクチャ高いんですw
施工費用一個5,000円弱×16もの費用を掛けるのであれば、その費用で他のもっと効率的な部品が買えるのではないだろうか・・・と毎回気にはなれど躊躇しておりまして、そもそも今までも各部分にDLC処理を施して試してみた結果、思わしくない結果が得られた時もあるのでいきなり全力は怖いな・・・

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と、いうことで今回試しに一点だけDLC処理を施していただいて、実際DLC処理を施したリフターとWPC処理と純正のままの素地との違いは感じられるのか?を簡単な方法でチェックしてみました。

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今回使用するリフターは純正素地、WPC処理品、DLC処理品共に新品をベースに、ドライの状態であればWPC処理やDLC処理の効果があるのは分かっているので、今回はしっかりオイルに浸した状態で、

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実際にリフターホール内でのフリクションの感じられ方の違いなどの単純な比較チェックをしてみたのですが、これが意外な結果となりまして、純正素地のそのままのリフターは慣らされていない分、シャリシャリと音を立てて突っ掛かったりして動きが渋く決して良いとは言えない状態で、WPC処理を施したリフターはスコスコと動いて軸をズラしても躓くことなく動いてくれました。
そして最後にDLC処理の結果ですが、WPC処理のリフターもほんの僅かに摺れる音は出ていたのですが、DLCは摺れる音は皆無で摺動抵抗は殆どありませんでした。が、いざリフターを勢いよく上下させるとオイル抵抗が酷く、ポンピングロスに似た感覚の抵抗が強く感じられて正直リフターとしての連続的な動きの場合には純正素地の時以上に抵抗感が強く、フリクションとは別の負荷を感じました。
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何となくイメージとしてはこんな感じでベターっと張り付いている状態の物を動かしているような印象でオイルとの親和性が良過ぎるのかなんなのか・・・。

そこでこれはどういう事なのか?を、いつもお世話になっている不二WPCさんのこちら ↓ の技術資料を見ながら再度DLC処理の事を理解しようと思ったのですが、
画像をクリックすると不二WPCさんのページに飛んで読むことが出来ます↓ 

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DLCにも何種類か種類があり不二WPCさんでは水素フリーの硬度60〜70GPaで耐熱温度が500〜600℃の ta-C と、水素含有で硬度20〜30GPaで耐熱温度が300〜400℃の a-C:H の2種類のDLCを使い分けているようなのですが、当然、高硬度で耐熱性が高い方の ta-C を使用されるのかと思ったら場所場所でそうでもないらしく、それらの話を聞いていると尚更よく分からなくなってしまったことと、この技術資料の最後のページに

おわりに
DLC 膜はその優れた特性ゆえ、使用が拡大している。また、生成機構や使用環境に対する検討も進んでいる。にもかかわらず、未だ完全には解明されていない材料であり、未解決の課題も数多く存在する。例えば、しゅう動時の表面のグラファイト化や成膜後の継時変化などについて、議論はされているが決定的な解答は得られていない。また「専門家」も多く、様々なモデルも提案されている。中には、明らかな誤謬と思える内容が堂々と提起されているのも事実であり、多くの情報の中で実験的事実と提案するモデルの切り分けも必要であると考えられる。
本稿では DLC 膜の構造・特性と、下地処理として弊社の主要技術である WPC 処理を中心として述たが、どのような技術でもすべての分野をカバーするのは不可能であることは自明の理であり、熱処理やメッキあるいはその他の表面改質手法との使い分けや複合化が重要であり、今後の大きな課題であると考えられる。


という事が書かれており、他の方々の同じような解説や論文のようなモノを読んでみてもまだまだいろいろ良かれ悪かれ可能性があるな・・・と、やっぱり思った事を直接専門家に聞いた方が手っ取り早いということで、

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施工をお願いする部品も丁度あったので作業を依頼しがてらこちらの感じた事の是非を聞きつつ、それを踏まえてこちらが考えた希望の仕様をお願いしに行ってきました。


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そして、その前に以前に一度不二WPCさんに聞いたものの、やはりどうしても納得が出来ず本当に?と思ってその後も何度か聞きなおしていい加減しつこいと思われてそうだったこちらのWPC処理の使用後の状態ですが、
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以前にこちらのブログでも説明しお伝えしましたが、” WPCの処理跡が消えていてもワーク表面はプラトー状態で一番良い状態とのこと。” とお伝えし、正直その後も本当かなぁ・・・と未だに疑いの目でしたが、

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今回最終確認として実際に現物を持っていって不二WPCさんの施設の電子顕微鏡を使って表面の状態を詳細に確認してもらった結果、

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既にWPCのディンプル層は消え去っており、表面はボロボロな状態でしたw
まぁ当然これは不二WPCさんがどうのという話ではなく、やはり電話口での口頭の質問では実際の症状の状況が分かりませんので今後はこの状態になったら美味しいところは終了しているという判断基準になったということで、やはり実際に伺って話を聞くと得られる情報量も多く、今回はいろいろと良い話も聞けて勉強になったので実際にお伺いして良かったです^^

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ちなみにこちらがWPC処理をした本来のワーク表面の状態とのことです。

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そして部品を預けて一週間ほどで不二WPCさんに加工をお願いしてきたリフター達が仕上がって戻ってまいりました^^

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防錆処理のオイルによってDLC処理特有の7色に怪しく光る様が何とも言えません♪ って結局DLC処理にしたんかいっ!って話ですがw、

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ちゃっかりサイドの摺動面はフリクションが一番少なかったWPC処理にて仕上げていただいたDLC処理とWPC処理のハイブリッドな理想的仕様となります^^

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というのも、自分の12Rで使用しているカムは純正に肉盛りをした加工カムでリフター天面への攻撃性が強く、今回不二WPCさんの電子顕微鏡で2000倍の画像を見せていただいたところ、リフター天面にはオイルの焼き付き痕や微細なカジリ痕などが見られ、オイルの潤滑環境の良いサイドと比べるとやはり天面部分は高回転時に過酷な環境になっているので、ここは潤滑環境の悪い部分で威力を発揮するDLC処理が欲しかったという二極的な考えの結果なのですが^^:
ただ、そんな安易な仕様でも今回お話をして不二WPCさんの方でもこの仕様の方が効率が良いかも知れないと、今後不二WPCさんのメニューに取り入れるかを検討するとのことでしたので、多少は直感的な考えも的を得ていたのかな・・・と。
ちなみにDLCの施工面積が少なくてもお値段据え置き変わりませんw
むしろマスキングの手間などが発生するので、逆に高くならなくて良かったなと^^:

そして、今回のこの内容は自分のエンジンに対しての内容となっておりますので、水平対向エンジンのようなオイル環境が厳しい場合にはサイド面にもDLC処理が有効かと思いますし、その都度エンジンの特徴や使っている材質などいろいろな条件によっても考えが変わりますので、今回の記事はあくまでも一個人の興味の範疇でのお話ということで暇つぶし程度にお願いします。

また、この記事と殆ど同じ内容ですが、実際にリフターの動きを紹介する動画も作ってみましたので、興味のある方は覗いてみてください。


ということで、次回は夏休みの自由研究「工作編」をお送りいたしますwSBR_0329


akane380 at 05:10│Comments(10)DRAG RACE 製作記 

この記事へのコメント

1. Posted by oneoff   2017年09月13日 12:21
面白いっすー

ふんふんと読んでしみましたよ。

デカいバーベキューセットを用意して
おいてくださいね........

宅急便で送れるか不安なんですがw
2. Posted by 砂粒   2017年09月13日 20:26
流石にWPC永続!という訳にはいきませんよね。
ハイブリッド仕様が新たなメニューになるキッカケを作るとは!

昨今、GABUさんみたいに細かくチェックして使用結果を加工先に送る人って少ないでしょうし、メニューに加わると凄いですね。
3. Posted by エンドルフィン   2017年09月14日 01:22
息抜き出来て良かったですね!静かな海イイっすよね〜⤴︎沖で夕陽と遠くで鳴くヒグラシ、そしてべた凪これもなかなかいい感じに癒されますよ‼︎
4. Posted by Gabu   2017年09月15日 03:03
>one offさん

ありがとう御座います!
そのお気持ちだけ頂きますので本当に少なくでお願いします!
大量に送って来られると思うとフレームが仕上がってもそのお返しが怖くて送れなそうですw

5. Posted by Gabu   2017年09月15日 03:14
>砂粒さん

お疲れ様です^^

やはりWPC処理は消耗品でした^^:
ただこのWPC処理で得られたディンプル層をDLC処理を施しDLCの強固な膜で守るという効果がDLC処理にはあるので、それで今回サイド面にDLCは有効か?を検証してみたのですが・・・^^:

今回のハイブリッド仕様ですが、企業的に考えると作業手順が増えてコストも増えますので裏メニュー的なモノになるかもしれませんね^^
6. Posted by Gabu   2017年09月15日 03:22
>エンドルフィンさん

お疲れ様です^^
綺麗な海や景色は癒されますよね^^
特に夕暮れ時のトワイライトな時間帯は決断力が湧く気がします。
夕暮れ時に鳴き始めるヒグラシのカナカナ声も何だか懐かしい感じを思い出して良いですよね。
こんなこと書いていると早く来年の夏が来ないかなぁ・・って寂しくなりますね(笑)

7. Posted by い   2017年09月18日 06:56
とりあえず
何か結果残そう。
8. Posted by Gabu   2017年09月19日 02:44
いさん

お疲れ様です^^
これ↓を是非見てください!
https://www.youtube.com/watch?v=AnWOofUorhk
冗談です(笑)
今年の個人目標は別にあったのでそちらを頑張っております^^
今年は準備期間で来年再始動します!
9. Posted by PC40   2017年11月10日 17:15
5 初めまして。
実に興味深い記事と動画でした。
自分もバイクのOH時に不二での加工を考えていたのですが、どの部品にどの加工をするのが最もコストパフォーマンスが良いか で悩んで居たのでとても参考になります。
大まかな考えとして、オイル環境の良い場所にはWPC、
過酷な環境の部品にはDLCという分かりやすい方針で、
依頼する時の指針になります。
これからもこの手の記事に期待します
10. Posted by Gabu   2017年11月11日 04:36
>PC40さん

はじめまして^^
このような拙い記事をご覧下さり誠にありがとうございます。
今回のこの記事の内容が全てに当て嵌まる訳ではありませんが、
十人十色の中の一つの考え程度にご覧いただけると幸いですm(_ _)m

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