2017年10月
2017年10月27日
FCRキャブレター フルオーバーホール
2020.4/21 更新
最新の分解情報あり
検索サイトなどからこちらの記事に辿り着いた場合には最新の分解方法を紹介した2020年の記事が御座いますので、下記URLをクリックして最新の分解〜組み付け方法をご覧ください。
最新の分解情報あり
検索サイトなどからこちらの記事に辿り着いた場合には最新の分解方法を紹介した2020年の記事が御座いますので、下記URLをクリックして最新の分解〜組み付け方法をご覧ください。
最新の非分解箇所の分解方法は下記URLにて公開しております
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前回の記事でこの度Newアイテムとしてオリジナル製作しましたFCRキャブレターの非分解部分のOリングを紹介させて頂きましたが、ありがたい事に今回も不良在庫にはならずに済みそうな勢いでお引き立てならびにお問い合わせを頂いております^^
そこで本当はこのOリングセットにさらに組み付け時の注意点などを記載した簡単なマニュアルを製作して付属させたかったのですが、それらの製作作業が全く追いつけていないので、取り急ぎ購入して頂いたオーナー様達向けに急遽ここの記事を使って説明ページとさせていただきます。
まず、この非分解部分は元々メーカーサイドでバラせないようにしっかりと金属パテで接着されている部分ですので、留めてある2本のネジを緩めても簡単には分解する事が出来ません。
今回も分解が出来ないと何件かご相談を頂きましたが、ここは個体差があり簡単にパカっと分解出切る個体もあれば、全然ビクともせず頭を悩ませる個体もあります^^:
そこでここ最近数をこなすようになって何となくコツが掴めてきたので参考程度にこの非分解部分の成功率の高い分解方法をご紹介します。
まずこれは絶対にやらないで頂きたいのですが、金属パテの接着が剥がれないからと画像のように分割部分にマイナスドライバーなどを挿し込んでテコの原理で無理矢理キャブボディを分解しようとすると簡単にキャブレターが割れてしまい再起不能となってしまいますので、この手の荒業だけは絶対に行わないでください。
分解時のポイントとしては、画像〇部分のフロート部分を浮かせた状態で傷が付かぬよう脚などで固定して、
キャブレターに攻撃しないようハンマーの柄など丁度良いサイズの木の棒を画像のように角の部分に接着面に対して平行に当てて、ドアをノックする時くらいの力加減で軽くコンコンと叩くと比較的簡単に分解する事が出来ます。
※ キャブレターボディは鋳物ですので強く叩いてしまうと簡単に割れてしまったり変形しますので、もし簡単に外れなかったとしても焦らず急がずに地道に作業を行ってください。
※ ダウンドラフトタイプはここのネジ穴部分が肉薄で弱いのでご注意ください。
また、格子を留めている六角穴付きボルトの取り外しですが、ここのボルトはネジのロック材を使用していますので緩みにくく、更に小さい事もあってボールポイントタイプの六角レンチを使用すると簡単にネジ穴を舐めますので、六角レンチで取り外す場合にはストレートタイプを使った方が無難かと思いますが、それでも高確率で舐めます^^:
ですので作業をする際にはOリングのセットに代えのネジも2本セットにして入れてありますので、ネジの頭をドリルで飛ばして分解した方が速くて楽かと思います。
その際に注意して頂くことは頭を飛ばしたネジを取り除く際にペンチなどでボルトを掴む分をしっかり残しておいてください。
気分良くこの掴む部分も全て削り去ってしまいますと非常に厄介な事になりますのでご注意ください。
そして組み付け時にはOリングを新品に交換後、中強度のネジロック材を使用してしっかり固定してください。
そして今回ご依頼いただいたキャブレターは磨耗してクリアランスが広がっていたベアリングも交換するのでこのタイミングで抜き取ってしまいます。
ここまでが分解時の注意点となります。
※ それぞれ元通りの組み合わせで組み付けられるように気筒毎に番号を振って元々のペアを見失わないようにしてください。
そして組み付け前に長年の汚れをウェットブラストを使ってしっかり洗浄しますが、真鍮ブラシでゴシゴシ磨いても古い汚れが落ちて綺麗になると思います^^
この時に金属パテを除去したり削ったりしないでください。
接合面に金属パテが残っていると気分的に気になるかもしれませんが、この金属パテの凸凹がカチ割りの役目を果たし元の位置で組み付ける際に重要になる事と、この金属パテを中途半端に除去した場合には接合時に噛み合わず隙間が出来てしまい、2次エアの問題や水平が崩れるなどの問題が発生しますので、各気筒でのペアをしっかり合わせる事と共にご注意ください。
そして作業の方はウェットブラストのメディアと直接洗えないポート内の汚れを落とす目的で超音波洗浄を行い、
洗浄後は流水でリンスをした後、エアブローをして焼付け乾燥炉で一定の温度で空焼きをして水分を飛ばします。
その後は分解した逆手順で組み付けですが、この非分解部分のOリングには液体ガスケットなどは塗らずぞのまま組み付けてOKですが、
キャブレター側の接合面には2次エアの防止で液体ガスケットを本当に相当薄く、これで本当に大丈夫かな?と心配になる程度の量で十分ですので、非常に薄〜く伸ばして塗付してください。
※ 元々塗られていた金属パテで接合面には殆どクリアランス(隙間)は生まれませんので、塗り過ぎてしまうと漏れ出て違うトラブルを生みますのでご注意ください。
また塗付の際には幼児用綿棒(大人用の一般的な綿棒だと毛羽立ってしまいますが、幼児用は毛羽立ち難いのでお勧めです。百均などでも購入できます)で塗ると楽に薄く均一に塗ることが出来ます。
そして液体ガスケットを塗ったら直ぐに合体させてネジで固定し、あとはこの状態で液体ガスケットが固まるのを一晩待ってから組み付ければ完成です♪
以上で非分解部分のOリングの交換作業は終了です^^
もしOリングの件で何か分からない事や上手くいかない事がありましたら
secretbase-racing@nifty.com
までお気軽にご連絡をお願いいたします。
secretbase-racing@nifty.com
までお気軽にご連絡をお願いいたします。
で、今回は外見も生まれ変わらせますのでペイント作業を行って・・・
組み付け前にベアリングもバリエルタを塗った新品に交換しまして、
全て組み付けて各部の作動やオーバーフローなどの漏れ、滲みのチェック全て問題がなければ作業終了です^^
入庫当初は圧漏れでバラついていた加速ポンプも気筒間でのバラつきも改善して復活です♪
そして今回作業をさせていただいたFCRキャブレターは4AG E/g を積む4輪のAE86にて使用されているモノで、販売元はサーキットでの周回アタックなど、4AGでは有名なSS-WORKSさんで自分も一台目の86に乗っていた時に喉から手が出るほど欲しかったKit ですが、前回SS-WORKS製のFCRキャブレターを作業させて頂いた時にも普段思いもよらないような部品がオリジナル製作されていて流石だなぁ・・・などと思っていたのですが、今回の個体には真鍮から削り出した真鍮製浮動バルブが組まれておりました。。。
この真鍮の前にはチタン製やステンレス製も製作して試していたとの事で、4輪の先輩方の性能に対する拘りに改めて驚かされました^^:
ということで不調発覚〜Oリングの製作にペイント作業などでだいぶお時間を頂いてしまったこちらのFCRキャブレターも来月のサーキット走行に間に合うよう無事に完成しました^^
見た目意外に性能面でも吹け上がりと踏み返した後のレスポンスが以前と比べ物にならない位に良くなったとの事で喜んでいただけて本当に良かったです♪
そしてもう一機、だいぶお疲れ様な状態だったこちらのハーレー用のFCRキャブレターも・・・
内外ともに心機一転生まれ変わりました♪
以前だったら申し訳なくも諦めていた不調FCRをこうして元気にすることが出来るようになってオーナー様にも喜んでいただけて本当に嬉しく思います^^
他にもまだまだこんなモノがあれば良いのになぁ・・・な作ってみたいオリジナルパーツも沢山あるので、また新たに製作したらご紹介いたします。
2017年10月19日
FCRキャブレター用 非分解箇所 OリングKit 完成♪
先週末はいろいろなレースが行われてPC画面の前から離れられませんでしたね。
特にオーストラリアのシドニーで行われたWTAC ( World Time Attack Challenge ) の舞台でエスコートの塩原さん率いるTeam エスコートとドライバーの安藤さんが国内で仕上げた車両を現地に送りタイムアタックに挑戦する姿をライブ配信で見ていたのですが、初参戦ながら数年前の大会で他のチームがプロのドライブで記録したトップタイムを大きく上回るタイムで終えるあたりは流石でした。
国内では長谷川さんの跡を継いだHKSが筑波最速奪還50秒切りを目指して開発中のHKS GTS800も登場しそうですし、メーカーの威信を掛けてアンダー鈴木さんの記録した50.746秒を一気に捲くるのかも気になりますし・・・来期に向けた安藤さんの大暴れも楽しみで嫌いな冬の唯一の楽しみな Attack 2018シーズンがいまから楽しみです^^
で、そんな華やかな世界の話から細々とした話に内容は変わりまして・・・というか、本当は8月の後半に夏休みの宿題とか言ってご紹介しようとしていたネタなのですが、
ここ最近安定的に作業の依頼を受けておりますキャブレターのペイントサービスですが、普段作業を受ける際に入庫するキャブレターはどれもこのような新品ばかり・・・ではなく、
ご依頼の半分近くがだいぶお疲れな状態で、分解ついでに消耗品の交換も兼ねたリフレッシュも兼ねて入ってくるのですが、
中にはここまでいってしまった個体のご相談などもあったりで、
当初これは流石に無理では・・・という感じだったのですが、ご依頼主様が東北の方で、新品が買えるくらいの予算が掛かるかもしれないのにこの状態の物を直す事を望まれているということは余程の思い入れが・・・と、こちらも全力で応えられるように急遽前倒しをして今年の春先にウェットブラストを導入して準備したりもしたのですが、最終的に復活の光が見えたところで技術的な問題以外の理由にて作業は途中で終了となったのですが・・・。と、このように色々な状態のキャブレターが届くのですが、
こちらの4輪でサーキット走行をされている車両用のFCRキャブレターでご依頼頂いた個体も作業前の作動チェック時に典型的な不良を抱えた状態であることが発覚しまして、作業を中止するかでオーナー様に悩んで頂き、一度非分解箇所の内部状況を確認してみてから作業の可否を決めますか?と非分解部分を分解して状況をチェックしたのですが、
やはり今回ご依頼頂いたこのFCRキャブレターも典型的な症状のOリングの陥没と、
どうも熱でこのT時部分が引っ張られてしまうようで、こちらも定番な変形によるシール不良と、
そしてゴムの溶解と・・・ここまで酷い個体も珍しい。と言いたいところですが、中古のFCRを沢山扱うようになって初めて気付いた事ですが、この症例は非常に多くの個体で確認しておりまして、いつものあるある的な状態で、こうなってしまうとスロー系統が全滅でまともに低開度域のセッティングも出ませんし、せっかくキャブレターの外見をセラコートなどで綺麗に仕上げても性能が出ないのであればお金が勿体ないだけなので毎回この症状の時にはオーナー様に一度事情を説明して直して進めるか?中止するか?どうかを決めて頂いていたのですが、直すにしてもここの部分のOリングの調達にはいつも難儀しておりまして、
しかも定期的に出るFCRキャブレター用のオリジナルワンウェイバルブの補修Kitを求めていただいたオーナー様からはここの部品のラインナップがあるのにOリングは無いんですか?と質問されてグサッと胸に刺さるものがあったりw
ただ、FCRキャブレターの場合はOリングを交換してもボディ側のガイドローラー部分が磨耗してしまうとどうしようも無いしなぁ・・・やはり高価な消耗品扱いなのかな・・・とか考えていたら、先日FCRキャブレターを製作させて頂いた共立工芸様からSEPベアリングガイドなるアイデア商品が出ている・・・。
なら後は非分解箇所のOリングさえ手に入れば今まで高価で短期消耗品扱いだったFCRキャブレターの寿命が延ばせる=ECO ♪
ということで、
まずは協力していただける国内のOリングメーカーさん探しから始まり、Oリングの知識が無かったのでいろいろ話を聞いて同じNBRやフッ素ゴムなどでもアルミやステンレスと同じようにそれぞれに特化した様々な品種があるという事を教えて頂き、その中からキャブレターにお勧めの材質を絞って材料の選定から始めまして、キャブレターで使用されるガソリンやOリングを痛めることで定番なワコーズのエンジンコンディショナーに一ヶ月漬けてみたり、一定の温度で焼いてみたり・・・。
で、一般的なニトリルゴム(NBR)材ですが、今まで専門知識が無いので耐油性=フッ素ゴムが最強!と解釈していたのですが、実は耐油、耐薬品性はフッ素ゴムよりもNBRの方が高いらしく、フッ素ゴムに比べて耐熱性が低い為にエンジン周りで使用するには耐熱性も兼ね備えたフッ素ゴムが優位という話のとおり、熱を加えたNBR材は少し縮んでしまい、弾性を失って曲げた際に簡単に折れてしまいました。
ちなみに一般的な製品にはコスト的にも安く済むこのNBR材が使用されておりますが、FCRキャブレターのOリングも純正はこのNBR材で出来ていますので、熱の蓄積による劣化はやはり避けられない部分でこれがOリングをダメにする一番の要因かと思います。
ということで今回はコストよりも耐久性重視で過酷な条件に曝しても最後まで変形や弾性を失わなかったフッ素ゴムを採用することにしました^^
そして今回もう一つ気になったのが非分解部分のOリングの嵌る溝の深さが部分的に違うという事で、浅い場所では0.5mmほどなのですが、深い場所では0.8mmほどなので1mmの板材から切り出して作った場合に、場所によってはその差が0.2mmほどしか無く、それでしっかりシール性が確保出切るのだろうか・・・?と、
試しに厚みの違う2種類を試作して試してみたりもしたのですが、金型で作るOリングと違い今回はゴム板からウォータージェットで切り出すので当たり面が大きく、1mm厚でも問題ないとの判断から厚みは純正と同じ1mmにてOリングの形状も純正よりも信頼性が上がるように一体式に纏める形状で決定^^
そして分解時にこの3mmの皿ネジがナメやすく、頭を飛ばした方が楽に分解が出来ますので予備のネジも用意しまして・・・
ついに完成しました♪ FCRキャブレター用 非分解箇所用のOリングKit ^^
飛ぶように出て行くモノではないので少量生産ということと、国内生産という品質と材質に拘ったので破格な値段ではありませんが、とりあえず一気筒分1セット2700円+税で出せる内容に仕上がりました。
ということで、これでもう非分解部分の不調が出ても怖くないぞ♪ と意気揚々と次のキャブレターの作業に取り掛かりまして、
見るからにお疲れ様な状態で、分解してみるとOリングやダイアフラムが劣化してカチカチのパリポリ状態で、
ここまで劣化が進んでいると同じ材質を使っている非分解部分のあのOリングも逝ってるなこりゃ。。。とチェックをすると、Oリングが逝っている時にいつも聞こえるあの悲しい音が・・・。
※ 非分解部分のチェック方法は最後に動画でご紹介しております。
そこでオーナーさんに事情を説明して修復の方向でご指示をいただいたので早速分解してみると、あのT時部分が縮んで陥没して気密性を失い、Oリングもカチカチでダメだこりゃ・・・。が、しかし!! 今は交換するOリングも有るので悲観することなく修正作業再開!と思ったら・・・
このFCRキャブレターは何だかいつものと違うw
普段滅多にバラさない部分なのであまりこの非分解部分の詳細を知らなかったので、こら何だべさ?と目が点にw
とりあえず穴の繋がっている出口を追うとどうもチョークバルブ用の通路らしく、そういえばこの個体にはチョーク機構が付いてたな・・・と。
他を新品にしてここだけ見逃す訳にもいかないしなぁ・・・ということで、
再度メーカーさんに頼んでこの部分のOリングも作って頂くことに^^:
ということでチョークバルブ付きのカールおじさんっぽいFCRキャブレター用OリングKit も御座いますw
そしてこれからは加速ポンプ機構の補修用ワンウェイバルブKit とのセットも用意出来る様になりましたので、もうグサッと言葉が胸に刺さることも無くなるかと思いますw
またこちらの非分解部分のOリングが必要な方が居りましたら http://shop-sbr.com/ でご用意しておりますのでご覧ください。
また、非分解箇所のOリングの破損状況などの簡易的なチェック方法を動画に纏めてみましたので宜しければこちらも合わせてご覧ください。
特にオーストラリアのシドニーで行われたWTAC ( World Time Attack Challenge ) の舞台でエスコートの塩原さん率いるTeam エスコートとドライバーの安藤さんが国内で仕上げた車両を現地に送りタイムアタックに挑戦する姿をライブ配信で見ていたのですが、初参戦ながら数年前の大会で他のチームがプロのドライブで記録したトップタイムを大きく上回るタイムで終えるあたりは流石でした。
国内では長谷川さんの跡を継いだHKSが筑波最速奪還50秒切りを目指して開発中のHKS GTS800も登場しそうですし、メーカーの威信を掛けてアンダー鈴木さんの記録した50.746秒を一気に捲くるのかも気になりますし・・・来期に向けた安藤さんの大暴れも楽しみで嫌いな冬の唯一の楽しみな Attack 2018シーズンがいまから楽しみです^^
で、そんな華やかな世界の話から細々とした話に内容は変わりまして・・・というか、本当は8月の後半に夏休みの宿題とか言ってご紹介しようとしていたネタなのですが、
ここ最近安定的に作業の依頼を受けておりますキャブレターのペイントサービスですが、普段作業を受ける際に入庫するキャブレターはどれもこのような新品ばかり・・・ではなく、
ご依頼の半分近くがだいぶお疲れな状態で、分解ついでに消耗品の交換も兼ねたリフレッシュも兼ねて入ってくるのですが、
中にはここまでいってしまった個体のご相談などもあったりで、
当初これは流石に無理では・・・という感じだったのですが、ご依頼主様が東北の方で、新品が買えるくらいの予算が掛かるかもしれないのにこの状態の物を直す事を望まれているということは余程の思い入れが・・・と、こちらも全力で応えられるように急遽前倒しをして今年の春先にウェットブラストを導入して準備したりもしたのですが、最終的に復活の光が見えたところで技術的な問題以外の理由にて作業は途中で終了となったのですが・・・。と、このように色々な状態のキャブレターが届くのですが、
こちらの4輪でサーキット走行をされている車両用のFCRキャブレターでご依頼頂いた個体も作業前の作動チェック時に典型的な不良を抱えた状態であることが発覚しまして、作業を中止するかでオーナー様に悩んで頂き、一度非分解箇所の内部状況を確認してみてから作業の可否を決めますか?と非分解部分を分解して状況をチェックしたのですが、
やはり今回ご依頼頂いたこのFCRキャブレターも典型的な症状のOリングの陥没と、
どうも熱でこのT時部分が引っ張られてしまうようで、こちらも定番な変形によるシール不良と、
そしてゴムの溶解と・・・ここまで酷い個体も珍しい。と言いたいところですが、中古のFCRを沢山扱うようになって初めて気付いた事ですが、この症例は非常に多くの個体で確認しておりまして、いつものあるある的な状態で、こうなってしまうとスロー系統が全滅でまともに低開度域のセッティングも出ませんし、せっかくキャブレターの外見をセラコートなどで綺麗に仕上げても性能が出ないのであればお金が勿体ないだけなので毎回この症状の時にはオーナー様に一度事情を説明して直して進めるか?中止するか?どうかを決めて頂いていたのですが、直すにしてもここの部分のOリングの調達にはいつも難儀しておりまして、
しかも定期的に出るFCRキャブレター用のオリジナルワンウェイバルブの補修Kitを求めていただいたオーナー様からはここの部品のラインナップがあるのにOリングは無いんですか?と質問されてグサッと胸に刺さるものがあったりw
ただ、FCRキャブレターの場合はOリングを交換してもボディ側のガイドローラー部分が磨耗してしまうとどうしようも無いしなぁ・・・やはり高価な消耗品扱いなのかな・・・とか考えていたら、先日FCRキャブレターを製作させて頂いた共立工芸様からSEPベアリングガイドなるアイデア商品が出ている・・・。
なら後は非分解箇所のOリングさえ手に入れば今まで高価で短期消耗品扱いだったFCRキャブレターの寿命が延ばせる=ECO ♪
ということで、
まずは協力していただける国内のOリングメーカーさん探しから始まり、Oリングの知識が無かったのでいろいろ話を聞いて同じNBRやフッ素ゴムなどでもアルミやステンレスと同じようにそれぞれに特化した様々な品種があるという事を教えて頂き、その中からキャブレターにお勧めの材質を絞って材料の選定から始めまして、キャブレターで使用されるガソリンやOリングを痛めることで定番なワコーズのエンジンコンディショナーに一ヶ月漬けてみたり、一定の温度で焼いてみたり・・・。
で、一般的なニトリルゴム(NBR)材ですが、今まで専門知識が無いので耐油性=フッ素ゴムが最強!と解釈していたのですが、実は耐油、耐薬品性はフッ素ゴムよりもNBRの方が高いらしく、フッ素ゴムに比べて耐熱性が低い為にエンジン周りで使用するには耐熱性も兼ね備えたフッ素ゴムが優位という話のとおり、熱を加えたNBR材は少し縮んでしまい、弾性を失って曲げた際に簡単に折れてしまいました。
ちなみに一般的な製品にはコスト的にも安く済むこのNBR材が使用されておりますが、FCRキャブレターのOリングも純正はこのNBR材で出来ていますので、熱の蓄積による劣化はやはり避けられない部分でこれがOリングをダメにする一番の要因かと思います。
ということで今回はコストよりも耐久性重視で過酷な条件に曝しても最後まで変形や弾性を失わなかったフッ素ゴムを採用することにしました^^
そして今回もう一つ気になったのが非分解部分のOリングの嵌る溝の深さが部分的に違うという事で、浅い場所では0.5mmほどなのですが、深い場所では0.8mmほどなので1mmの板材から切り出して作った場合に、場所によってはその差が0.2mmほどしか無く、それでしっかりシール性が確保出切るのだろうか・・・?と、
試しに厚みの違う2種類を試作して試してみたりもしたのですが、金型で作るOリングと違い今回はゴム板からウォータージェットで切り出すので当たり面が大きく、1mm厚でも問題ないとの判断から厚みは純正と同じ1mmにてOリングの形状も純正よりも信頼性が上がるように一体式に纏める形状で決定^^
そして分解時にこの3mmの皿ネジがナメやすく、頭を飛ばした方が楽に分解が出来ますので予備のネジも用意しまして・・・
ついに完成しました♪ FCRキャブレター用 非分解箇所用のOリングKit ^^
飛ぶように出て行くモノではないので少量生産ということと、国内生産という品質と材質に拘ったので破格な値段ではありませんが、とりあえず一気筒分1セット2700円+税で出せる内容に仕上がりました。
ということで、これでもう非分解部分の不調が出ても怖くないぞ♪ と意気揚々と次のキャブレターの作業に取り掛かりまして、
見るからにお疲れ様な状態で、分解してみるとOリングやダイアフラムが劣化してカチカチのパリポリ状態で、
ここまで劣化が進んでいると同じ材質を使っている非分解部分のあのOリングも逝ってるなこりゃ。。。とチェックをすると、Oリングが逝っている時にいつも聞こえるあの悲しい音が・・・。
※ 非分解部分のチェック方法は最後に動画でご紹介しております。
そこでオーナーさんに事情を説明して修復の方向でご指示をいただいたので早速分解してみると、あのT時部分が縮んで陥没して気密性を失い、Oリングもカチカチでダメだこりゃ・・・。が、しかし!! 今は交換するOリングも有るので悲観することなく修正作業再開!と思ったら・・・
このFCRキャブレターは何だかいつものと違うw
普段滅多にバラさない部分なのであまりこの非分解部分の詳細を知らなかったので、こら何だべさ?と目が点にw
とりあえず穴の繋がっている出口を追うとどうもチョークバルブ用の通路らしく、そういえばこの個体にはチョーク機構が付いてたな・・・と。
他を新品にしてここだけ見逃す訳にもいかないしなぁ・・・ということで、
再度メーカーさんに頼んでこの部分のOリングも作って頂くことに^^:
ということでチョークバルブ付きのカールおじさんっぽいFCRキャブレター用OリングKit も御座いますw
そしてこれからは加速ポンプ機構の補修用ワンウェイバルブKit とのセットも用意出来る様になりましたので、もうグサッと言葉が胸に刺さることも無くなるかと思いますw
またこちらの非分解部分のOリングが必要な方が居りましたら http://shop-sbr.com/ でご用意しておりますのでご覧ください。
また、非分解箇所のOリングの破損状況などの簡易的なチェック方法を動画に纏めてみましたので宜しければこちらも合わせてご覧ください。
2017年10月06日
SAF2017 Challenge
前回の記事で書いたとおり急遽立ち上がった今年最初で最後の1/4mile 8sec チャレンジですが、少ない期間でベストを尽くし、先週末に富士スピードウェイで行われたスーパーアメリカンフェスティバルの舞台にマシンを持っていって走らせてきました。
と言っても今回のチャレンジは自分のマシンではなくこのTさんが乗る隼ターボを元気が良かった全盛期の頃の当時の走りに戻せるか?というチャレンジで、2週間という準備期間でしたが調子を崩しっぱなしだったエンジンを組み直して夜な夜なスタートの練習をしてで、 元気があれば何でも出来る!で8秒台を狙い張り切ってスタート。
当日一発目の走行ではスタートで横滑りしてしまいタイムは狙えませんでしたが、その後の加速力はエンジンを組み直す前とは完全に別物との事で、サイドカウルに埋め込んだ追加メーターが加速に伴う風圧で押し出されて飛び出すなど今まで問題がなかった部分に若干トラブルが発生しましたが、とりあえず地元で高回転まで回す事が出来ず確認が出来なかったHiブースト時の燃調も問題無い事が確認出来たので、2本目からは安心して攻めの方向で行くことに。
結果、先ほどの復活一本目の走行は横滑りして問題外な11秒台でしたが、2本目の走行では1本目のダダ滑りを考慮してスタート時の回転数などを変えてリアを滑らせぬよう、不要にパワーを掛けないようにスタートをしてもらったものの、それでもクラッチのリリースと共にブーストコントローラー制御のブーストが立ち上がりを開始するとリアが滑って前に進まず10秒台後半を記録・・・。
ただ、エンジンのパワーは捨てるほど十分にあるようなので3本目はタイヤのエア圧やスイングアームの垂れ角や車体姿勢などを変更し、食わない路面に悩みつつもスタート時のパワーを殺して初期ブーストを更に落とし、ロスを少なくしてスタートで失った分を後半のパワーで巻き返す作戦が功を奏してタイムも一気に9.2秒まで詰めて目標の8秒台に一気に迫ったところで午前中の走行枠が終了。
朝一から3本の走行で11”105秒 ⇒ 10”775秒 ⇒ 9”265秒と確実に目標に近づき、9秒台前半のタイムも久しぶりとの事で後はあっさり8秒入りしてチャレンジ終了か?と思いきや、午後の走行枠でもスタートでの横滑りが収まらず2本走行した時点で9秒前半と11秒台の極端なタイムでどうもクラッチにトラブルを抱えてスタートが厳しい模様。
ここで不思議なのが地元のテストコースでスタートの練習をした時には一度も横滑りをしなかったのになぜここに来てダダ滑りを起こすのか・・・^^:
やはり夜な夜なの練習時にはいろいろな事への警戒心で神経が研ぎ澄まされているのに対して、今日は安全な場所ということで少しラフな乗り方になっているのではないか?などと話し、もっと集中して丁寧に行きましょう!と。
そして時間も過ぎて最後となってしまった一本。
スタートを決めて60ft の区間タイムを詰められれば確実に8秒に届く・・・
そんな期待を背負い挑んだラストランで・・・
よりによって当日一番盛大な横滑りを披露して終了w
考えてみたらこのマシンはフルパワーの状態で仙台以外の路面で走った事がなかったんですよね。
現状の仕様がラバーの乗った仙台ハイランドのドラッグコースに合わせたままの仕様がベースなので、来年はその辺もしっかり見直さなければダメかもしれませんね。。。
それとオーバーヒート対策もしっかり施さないとせっかくの走行枠が殆ど冷却に費やされてしまい、1時間30分の走行枠でたったの3本しか走れなかったのも手返しよくセットアップが出来なくて痛かったです。
まだ他にも改善が必要な部分がいろいろ浮き彫りになって、今回は洗い出しのいい走行にはなったと思いますが、今回サポートさせて頂いたエンジンに関してエンジンのパワーは全盛期を取り戻せていたようなので、このエンジンにどれだけのライフが残っているか定かではありませんが、各部を詰め直して本領発揮はまた来年以降に期待ですね^^
そして今回の話を受けてから2週間という短い間での即席のチャレンジで目標の8秒入りまでは持っていけませんでしたが、束の間の良いチャレンジで来年は自分のマシンでこの隼ターボと張り合えるようなチャレンジをしたいと思います^^
で、新宿でのDRAG Night 以来ハマっているもう一つの楽しみだったオシャレルズのライブも今回観れたので個人的には一日楽しめて良い息抜きになりました♪