2017年11月

2017年11月23日

VMAX1200 新規ボアアップシリンダー製作

バイクシーズンの終了=作業シーズンの到来?という事で新しい試みや楽しい試みのお手伝いが増えてきました^^
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お問い合わせの際にメールに添付されていた画像で見たら小さかったのですが、実物はこんなに大きかったんですねw なキャブレター製作も入ってきたりで仕上がりがどうなるのかこちらも非常に楽しみです♪

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で、自分の12Rのエンジン製作も少しずつ始動し始めているのですが、その前にいい加減まだやっているのか?とツッコまれそうなVMAX1200のエンジン製作ですが、そうなんです。まだやってますw

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当初は10月のアメフェスでの復活を目標に計画を立てていたのですが、以前に製作された際にクランクケースの合わせ面がオイルストーンで削られていてケースがまともに使えない事が発覚したとお伝えした時点で今年の復活は諦めて腰を据えてじっくりとやらせて頂こうと作業自体平行線のまま時間だけが過ぎていたのですが、

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何とかこのケース合わせ面を研磨して噛み合いが狂ってしまったオイルクリアランスを上手く平行に均一に出来ないモノか?とメタルの背を削ってこの偏りを無くせないか?などのチャレンジをしてみたのですが、仮にプラスチゲージの潰れ方が均等になって目視が良くなったとしてもケースのジャーナル穴の軸自体がネジの締め付けによって既に歪んでいるので実際は性能など求められない仕様になってしまう・・・と。
とにかく今回のエンジン製作の目的は単なるオーバーホールではなく、オーナーさんが10年近く9秒台を目標にVMAX1200ベースのNAに拘ってドラッグレースを戦ってきて、今回の仕様変更でなんとしても9秒台に入れたい!という目標をクリアーしなくてはいけないので、正直ここで妥協をする訳にもいかず、

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ライナーの飛び出しを修正して面研を施してと一度仕上げてしまったこちらのシリンダーを捨てて新規で作り直す事に。

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で、新規で作り直すと言ってもこのVMAXに合わせた部品を探すのも一苦労で、アメリカ、ドイツ、イギリス、検索でヒットしたよく分からない文字の国など、なるべくコストを掛けない仕様で行けるようにオーナーさんと日夜探してあーでもないこーでもないと言っていたら普通にビトーR&Dさんで丁度良いライナーが手に入って一安心^^:

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そして内燃機加工もこのVMAXのクランクケースはシャフトドライブ部分のケースが邪魔でリアバンクのボーリングが出来ないらしく、当初電話やメールで8社に問い合わせて全て断わられたのですが、その断わりの最中気持ち脈ありだった田中工業さんに再度直接持ち込んで現物を見て判断をして頂いたところ、” 冶具を作れば多分イケそう ” とのことで、やはり納期は掛かるそうですがやっと新規製作の出口も見えてさらに一安心^^:

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そして発送に向けて新規で作るベースエンジンのケースを水洗いして、洗浄後にエアブローをして水気を飛ばし、最後に110℃に熱した炉の中で焼いて完全に水分を飛ばしたらナント! 夏場のオーバーヒートで食らいそうな110℃ の熱でライナーがズコズコになって全て抜けてしまいました^^:

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前回のエンジンもライナーが0.5mmほど飛び出していましたし、この純正エンジンもライナーが踊っていたような痕が見受けられますので、VMAXのこの部分はオーバーヒートに特に弱いネガなポイントかもしれませんので、どうせなら話のネタにどの位の数値なのか送る前に締め代を測っておけば良かったですね^^

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ということで新旧ライナーサイズ比較ですが、純正(左)の76mm (1197cc)から83mm (1427cc)へと7mmオーバーサイズとなるのですが、こうして比較してみると改めてそのデカさがよく分かります。 というか、改めてブロックの剛性が心配に・・・^^:


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ちなみに今回新規でシリンダーを作り直すのでボアを更に広げて1500cc 仕様に変更も可能なのですが、今回は前回の仕様と同じ排気量で9秒台に挑戦をするので現在入手困難な83mmピストンは荒れた面を仕上げ直して再利用をする方向でピストン毎にクリアランスを合わせてシリンダーをボーリングして製作していただく方向で進めます^^
とりあえずシリンダーが戻ってくるのは来年でしょうか・・・。
しかもバランサーシャフトのメタルがメーカー在庫切れでバックオーダー状態で軽くピンチだったりと、また忘れた頃に続報をお届けしますw

akane380 at 03:07|PermalinkComments(6)│ │V-MAX1200エンジン製作 

2017年11月11日

セラコート New Black 誕生

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セラコートを扱い始めて黒の質が非常に良くなり、性能も耐熱性や放熱性に耐傷性、耐薬品性など求める性能に応じて色々と特殊な黒を施工させていただいておりますが、

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そのような他に無いアドバンテージを持つセラコートのブラックシリーズにも唯一の欠点がありまして、それは「強い光沢のある黒が無い」という問題を以前から抱えていたのですが、今年の春頃についにセラコートでの艶有りブラックがリリースされたとの事で、待ってました!と早速入手してサービスを開始したものの、

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このセラコートの艶有りブラックが非常に難敵と言いますか、シビアな性質をしておりまして、

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このような形状をしている部品が相手だと同じ塗料で同時に施工して全ての工程を全く同じくしても仕上がりの質感が変わってしまい、

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結果、仕上がりが気に入らずやり直すとまた先ほどとは違った仕上がりになってしまったりで・・・

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失敗を重ねながら癖を掴んで応用してまた再度やり直すといった事を繰り返して、

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毎回納得のいく仕上がりになるまでに何ども心が折れそうになりながら施工をしているのですが、

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以前にハーレーのディーラー様よりご依頼頂いた幅広のハンドルも艶ありの黒で施工をしたのですが、この単純な形状でも仕上がりにムラがあって結果的にやり直しでもうセラコートの艶有りブラックの扱いは止めようかな・・・と。

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で、毎回大失敗をしている訳ではなく、艶や肌質などホンの少しだけ仕上がりが気に入らなかったりなウチのチェックで合格とは言えないいわゆる ” B級品 ” 的な仕上がりが多く、何でこんなに安定しないのかをセラコートの日本総代理店の鈴友さんに聞いたところ、どうやらセラコートを製造している米国のNIC社が量産向けに塗装専用の産業機械を製造してリリースし始めたらしく、今回の艶有りブラックはその産業機械で塗り易いように作った機械向けの塗料とのことで、副産物的に艶が生まれたらしく、しかも結果的に本国で即製造中止になったとのことで繰り返しの精密作業が得意な産業マシーンでも扱えない性質ならそりゃ扱いが難しくても当然だわな・・・と。
その後、その塗料をベースに若干改良された艶ありブラックが日本でだけリリースされたのですが、それも相変わらず不良率が高く、鈴友さんに直接伺って性質や仕上がりの確認などを行ったりと、この艶有りブラックには散々振り回されてもう本当にウンザリしかけた頃に、セラコートの次世代シリーズである ELITE(エリート)シリーズのブラックがようやく解禁されるとの事で、色も今までのダークグリーン寄りなブラックではなくしっかりとしたブラックで艶もちゃんとに有るという話だったので・・・

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この艶有りブラック問題を解決するべく早速ELITEシリーズのE-100 Black out を取り寄せてみました^^





で、早速艶有りブラックで希望されていた部品があったので試しに使ってみたところ・・・



どんな感じに仕上がったかと言いますと・・・










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 絶対にこれじゃない感が満載な仕上がりに・・・w

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しかもこの最強 ELITEシリーズのブラックのリリースを待っていた施工部品とまさかの類似色で採用出来ずw  ただ質感と色は良いので艶消し系のオーダーを頂いた際にはこれはこれで流行りそうな気はするのですが^^:

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ということで結果的に先ほどの部品もやり直しでオーダーを頂いた艶有りの仕上げにてフィニッシュ。

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また、通常の6分艶でもこのような形状の物であれば艶感はかなり出るので、物によっては6分艶で仕上げさせていただきたいかと^^:

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逆にこのような部品であれば艶有りでの施工も楽なので・・・とか言いながらこの部品も一度気に食わずやり直しましたが。。。
とりあえずリスクが高くネガティブな光沢のある艶黒の扱いを無くそうか・・・個人的にまだまだ艶有りブラック問題は続きそうです・・・。


akane380 at 01:11|PermalinkComments(6)│ │セラコート