2020年04月

2020年04月21日

FCRキャブ 非分解箇所+加速ポンプ オーバーホール手順

昨今のコロナウイルスの蔓延を受けて何とかウイルスに感染する前に受けた作業を全て終わらせて肩の荷を下ろしておこうと作業をこなして、やっとペイント関係の作業だけ全て終わらせる事が出来ました。
そこで、現在猛威を奮っているコロナウイルスの状況を踏まえ、急な感染〜長期的な作業離脱、最悪は死亡までの考えられるリスクが高くなっている事から、受けた作業を最後まで遂行出来ない恐れもあるので、コロナウイルスのブームが落ち着くまで量産品など一定の期間を要する纏まった量の作業の受付を停止させて頂きます。
キャブレター制作など見通しを持てる通常の作業は今まで通り進め、仮に感染などがあった場合にはその時点でご依頼を頂いている皆様に個別にお知らせをさせて頂きます。
最後までやりきる責任感を持ってしても感染のリスクだけは避けられないのでご理解とご協力を宜しくお願いいたします。

なんて書いてみたものの、正直自粛ムードで皆さん時間に余裕が出来たからか?お問い合わせの件数がかなり増えている&ショップさんからの依頼件数も増えている事から多分ですが、業界はちょっとしたコロナバブルな気がします。
という事は今バイクや車の整備をしているインドアな方向から収束後は原油が暴落していることからガソリン価格もかなり落ちて高速料金の優遇策など一気にアウトドアな方向に向かうかと思われますので、いま非常に厳しい状況に置かれているサービス業や外食産業の個人店の方にはこれからを見据えてカラオケルームならぬテレワークルーム屋さんなどコロナによって新しく開かれた別の世界へシフトするか何とか生き残ってその時に向けて頑張って欲しいなと思います。
一応念のため原油先物の価格を見たらとんでもない事に・・・
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歴史的瞬間、世界的な自粛ムードで自動車よりも飛行機が世界中で飛ばなくなった事で需要が激減したことに端を発した先物価格がまさかのマイナスにまで暴落・・・。

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こちらは40年近い原油先物価格を一枚に表したモノですが、どれだけ今の世界が異常な状態かが分かりますね。。。

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ちなみに自分の使っているチャートがマイナス表示出来なかったので調べてみたら1バレル-40ドルまで行ったようでこのままでは世界が壊れそうというか、個人で壊れた人は相当居そうですね。。。

たぶん今回の価格操作の先陣を切っているのではなかろうか投資の神様の格言ですが、

『 まず生き残れ。儲けるのはそれからだ。』

とんでもない世の中になっていますが、どんな世界でも生き残ってこそなので一先ずのんびりと体力を温存して免疫力高めに収束してくれるのを待ちたいと思います。



という事であっという間に一ヶ月以上経ってしまいましたが、前回の記事の続きで今回はFCRキャブレターの加速ポンプワンウェイバルブの交換手順の説明と、数をこなして個人的に確立したFCRキャブレター非分解部分の分解方法+失敗しやすい注意点をご紹介します。

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数年前から消耗品扱いとなっていた高価なFCRキャブレターを再生させようとFCRキャブレターの非分解箇所のオーバーホールを目的にオリジナルで制作した高耐久なOリングのセットと加速ポンプ部分の補修用のワンウェイバルブの販売を行っているのですが、購入して頂いた方には発送の際のメールにて説明を添付しているのですが、ある程度の作業数をこなすうちに作業手順の精度も上がって作業難易度を下げる事が出来ましたので、

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これならD.I.Yで作業を楽しむ方でも難なく作業が行えるのではないか?という事と、以前からショップ様からもご依頼のお問い合わせを頂く事もあり、これらの作業をショップ様ご自身で行っていただくことでショップ様毎の利益性と作業の幅が広がるのではないか?ということで、こちらで試行錯誤して確立した作業手順と気を付けるべきポイントをシェアするべく作業手順をご紹介をしておきます。
※ あくまでも一個人の経験に基づいた内容ですので参考程度にお読み下さい。

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まず今回の話の元となる加速ポンプの不調ですが、症例として画像のように加速ポンプが不調で一か所だけ噴出しなかったり、噴出量に明らかなバラツキがあったり、
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青線で印した部分にステッカーが貼られる枠の無いタイプの初期型のFCRキャブレターではワンウェイバルブの栓に樹脂製の物が採用されているのですが(現在は真鍮製)、その樹脂の栓が中で動いて圧力損失を起こしていたり作動不良を起こしていたりと、気筒間でバラツキが生まれて燃焼具合に不具合をもたらしている個体が多く存在しています。

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そのような時に本来分解整備が行えないFCRキャブレターの非分解部分の分解とワンウェイバルブの交換を行う事で、高価なキャブレターを再利用する方向で分解修理をする内容をこちらに記載しておきます。

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まずOリングのセットを購入して頂いた際にお問い合わせをいただくこのネジ穴を塞いでいる黄色い物体ですが、

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マイナスドライバーなどでカリっとコジれば簡単に取れます。

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そしてこの非分解箇所の分解で作業の成否を分けるのは六角レンチの使い方で、単純にネジを舐めずに緩められるか・・・に作業の全てが掛かっています。
そのネジを緩める際に失敗する原因の殆どは六角レンチのボールポイント側を使ってしまう事による部分が多いので、

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使用する六角のサイズは2mmと2.5mmの2種類なので、単品で購入しても差ほど高くはありませんので必要であればホームセンターでストレートタイプを用意して作業に挑んでください。

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ちなみにこの手の安くてお得工具は精度が出ていないものが多いのでお勧めしません。※ 経験談

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特にここのネジを舐めると本当に面倒くさいので注意してください。
舐めた場合には六角レンチを買っといた方が全然安上がりだった。。。と後悔するくらい費用と時間が掛かるかと思います。

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理想としてはショートタイプの六角レンチがあればベストですが、

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仮に通常の六角レンチを使用する場合に横着をして画像のようにネジ穴に対して斜めに六角レンチをセットして回そうとしないでください。

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必ずネジ穴に対して垂直に六角レンチを立てて緩めてください。

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念のため、非分解部分を分解するのに取り外す必要のあるボルトは2か所の計4本となります。
順番としまして2.5mmのボルトを先に緩め、非分解部分の分離後に2mmのボルトを外します。

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そして2.5mmの2か所のボルトを無事に外したら非分解部分を接着している金属パテの剥離ですが、以前まではフロート側を少しずつ叩いて剥離をしていましたが、稀に硬過ぎてフロートが割れてしまう大失敗を経験して頭を抱えたりで、もっと確実に安全な方法は無い物か?と考えてその都度試した結果、現在では剥離をする際に青マルで示しましたポイントを叩いて剥がすと比較的安全で簡単に剥がせる事が判明しました。

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イメージ的にはこのような状態で叩く感じで、

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インパクトを与えやすいように鉄の小さなハンマーでコンコン(力小)〜カンカン(力中)と左右を交互に叩いて、間違ってもガンガン(力大)で引っ叩かないでください。
また剥がれた際にフロート側が飛ばないように画像のように片手で支えておいてあげてください。

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ちなみに格子部分では絶対に叩かないでください。
一瞬でキャブがジャンクになって再起不能となりますので。。。

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そして接着部分が剥がれたらフロート側から格子を留めているボルトを2mmの六角レンチを使用して取り外しますが、こちらのボルトが本当に舐め易いのでボールポイントを使用せず、垂直に慎重に緩めるよう注意してください。

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もし指の力だけでは硬くて回らない場合には画像のようにプライヤーなどで六角レンチを掴んで、ネジ穴側に力を押し付けながら舐めないように時計の反対方向に回して緩めて下さい。

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こちらのボルトは仮に舐めてしまっても比較的簡単に取れますので、舐めてしまった場合にはドリルで頭を飛ばして、

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ネジを除去してください。

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そして加速ポンプワンウェイバルブの交換ですが、新しい栓に交換する前に旧式のFCRキャブレターに採用されている樹脂製の栓を抜く必要があるのですが、

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適当に先の尖った画鋲とライターなどを用意していただいて、画鋲などの先端をライターで炙って熱を持ったタイミングで・・・

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グサっと樹脂栓に突き刺してから冷めた頃にスポっと抜けば画像のように取れます。
※ 現行タイプの真鍮製の場合にはドリルで揉んで削り取る必要があります。

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※ ワンウェイバルブの構成部品は非常に細かい部品ですので一度見失うと探すのが困難とまります。 作業をされる場合には落としても見つけやすい室内などでの作業をお勧めいたします。
※ 当方がリリースしている真鍮栓の凸状の突起は差し込み方向を分かり易く示す為の物で、スプリング内径よりも細径仕上げとなっております。
凸部分にスプリングを刺して反対にすると脱落しますので、穴にセットする際には個別にセットをしてください。


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そして スチールボール ⇒ スプリング ⇒ 真鍮栓 の順でセットをしたら・・・

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ピンポンチなどを使用して打ち込みを行います。

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打ち込む深さは画像の線の位置まで入っていれば問題ありません。

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ちなみに非分解部分を剥離する時や栓を打ち込む際にピンポンチなど専用の工具が無い場合には適当なボルトなどで代用も出来るかと思います。

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あまりお勧めはしませんが、もし自分が何も無い状況なら使えるモノを代用して作業を行うと思います。

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そして非分解部分を分解した時にしか掃除の行えない加速ポンプジェットの清掃も忘れずに行って、

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穴の詰まりなどをチェックしますが、

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もし専用の道具が無い場合には画像のような配線の切れ端を使ってそれぞれの太さに合わせたモノを代用として作れますので、無ければ有るものを使って作業を行ってください。

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そして以前に非分解部分の分解記事を書いた際には接着されていた金属パテは触らずにそのまま液体ガスケットを少量塗って組み付けてくださいと書きましたが、この金属パテは画像のようにカッターの刃で削ぎ落すと綺麗に剥がれる事が分かりましたので、出来るだけ切れ味の良いカッターの刃を使用してキャブと金属パテの間にカッターの刃を切れ込むようにして金属パテを剥がしていってください。
※金属パテが綺麗に剥がされていても剥がされていなくても性能に変わりはありません。

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またボディ表面はウェットブラストなどが無くても、金属ブラシでゴシゴシ擦れば綺麗になります。

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ちなみに金属パテの除去ですが、ボディ側は凹状に詰まっている分は無理に除去しなくても良いと思います。

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ということで綺麗になったら・・・

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Oリングをセットして分解時の逆手順で組み付けを行いますが、

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ダウンドラフトとホリゾンタルではOリングの形状が若干異なりますので、

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ダウンドラフトで当方のオリジナルOリングを使用の場合には画像の点線部分でカットして使用してください。

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参考までに組み付け時に接合面に使用している液体ガスケットはパーマテックスのモトシール1という耐ガソリン性の強いモノを使用していますが、個人の方でそんなに大量に必要ないという場合にはバイク量販店で売っているDAYTONAから出ている「耐ガソリン液状ガスケットグレー10」という商品が中身はパーマテックスのモトシール1と同じだと思うので安くて少量で使い勝手が良いかと思います。

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そして綿棒などを使って薄く塗付けて組み付けを行い、

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全てのネジを締め付ければ完成です。
※余談ですが、ボディ内部のガイドローラー部分に摩耗が見られた場合には協立工芸様が販売しているSEPベアリングガイドを使う事で問題を回避する事が出来ます。


2020.4/26 補足1.

下記動画にて非分解箇所のOリングが劣化して傷んでいるかのチェックを簡易的に行う方法をご紹介しておりますので、非分解箇所の修理をご検討の際には一度ご確認をしてみてください。



補足2.

稀に非分解部分のOリングを交換後にアクセルをガバっと開けるとエンジンがストンと止まってしまうようになった事でトラブルや組み付けミスか?と心配になってご連絡を頂くことが御座います。
その現象はガソリンが漏れていたり滲みなどを起こしていたスロー系が正常に戻った事で低回転時のガソリンの供給量に変化が表れたためにセッティングにズレが生じた事によるセッティングの変化が原因です(多くの場合は燃料を薄くする方向で修正します)ので、スロー系のリセッティングをお願いします。