2021年08月

2021年08月29日

V-MAX1200 FCRセットアップ

今回の記事はFCRセットアップと題していますが、セッティングに関してではなく、ゼロヨン9秒入りを目標にV-MAX1200のエンジンを製作する上で、出力向上を目的にFCRキャブレターの取り付け位置を変更した際の作業内容となります。
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今回V-MAX1200に於いて、エンジンのパワーのみでゼロヨン9秒入りをさせるという目標を頂き、それに向けてエンジンの仕様などを検討する上で、純正キャブレターから置き換えただけのこのFCRキャブレターの取り付け位置が気に入らず変更したいなぁ・・・となりまして、

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気に入らない主な理由としまして、キャブレター同士のクリアランスが狭すぎて・・・、

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お互いのトップキャップのネジがめり込んで痕が付くほどキャブ同士がぶつかってしまい、

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そのお陰でインシュレーターをしっかりセットする事が出来ず、定期的に嵌り具合をチェックしないと二次エアを吸う恐れが有った事、それとセッティング時にトップキャップを外すのが非常に面倒臭いので手返しが悪いこと、Vブースト機構のお陰でせっかくのダウンドラフトのメリットが生かせないなら出来るだけフレッシュエアーを吸わせてあげたかった事など、直感的に良くない印象が多数だったので取り付け方法の変更を行う事にしました。

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そこで一発目に考えたのがVブースト機構を取り払ってRC30などに採用されているこのマウント方式の導入ですが、

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インシュレーターの取り付け面が上を向き過ぎているのでこのままの角度ではキャブレターのヘッド側がシリンダーにぶつかってしまい装着が出来ず、一旦前に押し出すにしても90度VバンクのRC30と違って前後シリンダー間のバンク角が70度と狭いV-MAXでは前後のキャブレターが入るスペースが無いので却下。
仮にこれが自分のマシンでの挑戦だったらV-MAX1200はインマニ長が長いので、インマニを取り外すべく、キャブレターから50仭宛紊離好蹈奪肇襯椒妊に変更して、高回転領域でどのような変化が得られるかを試してみたいところでした。

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という事で現実に戻って、先ずはインマニの向きを変更する為のパイプを旋盤で削り、

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位置を出したところで、いつもアルミの溶接を手伝ってくれる仲間に今回もヘルプで溶接をしてもらって、

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このような形でインマニが完成。

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インマニに角度を付けた事でインマニ長が長くなった分の帳尻を合わせるべくスピゴットを旋盤で加工して、

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取り付けに支障が無いレベルでショートに。

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こんな感じでセット。

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そしてそれぞれの部品をエンジンに組み付けて完成♪ と言いたい所でしたが、画像右側、3番シリンダーの吸気ファンネル上部にラジエターのホースが通っていて、このままでは3番だけ熱せられた空気を吸う事になり他の気筒と条件が変わってしまう。。。

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しかもよくよく見ると、右側のエアーダクトはダミーで中にはラジエターのサーモスタット部分が収められていてイメージしていたような風は通らず・・・、

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ちなみに反対側のダクトは内部が空で、これでは左右でも吸気の条件が変わってしまってこのままではバランス的にダメだ。。。と。

そこで水周りの取り回しを変更しますが、SBR_8113
今回はラジエターも以前までの純正から容量アップを果たすので、その辺の効率も考慮して、

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新規でラジエターホース類を製作。

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そして邪魔なサーモスタット関係はキャブレター間にセットをして、

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このようなオリジナルな感じでバランスを取って納まりました^^

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あとはエアーダクトの不要な部分をカットして・・・、

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これで4気筒全てが同一条件でエアーダクトからのフレッシュエアーをキャブレターに吸わせてあげられる仕様に変更できました^^

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結果論的な話になってしまいますが、結果的にエンジンの出力も大幅に向上する事が出来て、目標だったゼロヨン9秒入りも無事に果たす事が出来ましたので、このような細かな気配りの仕様変更もタイムアップの為には馬鹿には出来ないのかもしれません。





akane380 at 05:31|PermalinkComments(4)│ │V-MAX1200エンジン製作 

2021年08月20日

基礎なくして応用なし

以前に現在作業中のV-MAX1700のエンジンを組む際に、ピストンをシリンダーに打ち込んだ際の感覚が渋く、何だかシリンダー壁面とのフリクションが非常に大きそうだぞ・・・と、ちょっとした問題にぶつかった事があるのですが、前回1/4mileを9秒台目標に新規で製作したV-MAX1200のエンジンとは違って、こちらのV-MAX1700のエンジンは前出のV-MAX1200のエンジンを以前に担当していたショップさんが製作したモノで、オーナーさんからエンジンの中身がどうなっているのか分からないのでこちらで再度バラシて組み直して欲しいとのご依頼を頂き、加工などは前出のショップさんで既に行っている予定なのでこちらでは単純な組み直しの作業で終わる予定で進めていましたが、1200も然ることながらこちらの1700にも問題が山積みで、この渋い状態のまま組み付けてあったとはいえ、うちでこのまま組む事はしたくないなぁ・・・と。

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そこでコンロッドやバランサーを組み付けてクランクの軸抵抗を確認してみると、いくらケースをしっかり組んでいないからメタルの円が出ていないと言えど、抵抗が650g以上あって、経験上これはいくら何でも抵抗が大き過ぎるだろうと。

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そこで再度バラシて検証したところ、フリクションが大きくなっている原因が判明。

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通常、ピストンリングにはトップとセカンドリングの他にオイルリングを構成する3本のリングの計5本で構成されていますが、今回ピストンリングを全て取り外してみるといつもよりも一本多い。

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初めて見るタイプだったので最初は ” 何だこれ?” と不思議に思いましたが、よくよくピストンを観察してみるとオイルリング溝をカットするようにピンボスが加工されていて、ここの切れ目を補う為に普段見慣れない余分な1本が組まれているのだという事が分かりました。

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一応念の為に調べてみると、正式名称は ” OILring Support Rails ” 通称OSRと言うようで、画像のようにOSRが入る事で、オイルリングの合口がピンボス部分の切れ目から脱落しないように橋の役割を果たすとの事で、

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なるほどね〜と、このリングの意味合いは理解できたのですが、

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このOSRの理解が出来たところでオイルリング溝の寸法とOSRを含むオイルリング高さの寸法が微妙にキツイ事で、オイルリングがフリーに動けずガチガチな事がシリンダーとの高フリクションを生んでいる原因という事も判明しました。
そこで加工ですが、恐る恐る手作業でOSR側を厚みを薄くする方向で研磨して、少し磨く ⇒ 計測 ⇒ 実際に溝に当てがって動きを確認する ⇒ 振り出しに戻る。を繰り返して、リングの加工が完了。

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そして再度コンロッドなどを組み付けて軸抵抗を測ってみると当初の650g ⇒ 420g 程と、約35% のフリクションの低減が行えました^^
当然、今回の例では損失馬力の低減を行った事による性能向上が見込める訳ではなく、ただ単に本来の状態に戻しただけです。。。

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ちなみに今回のこのピストンですが、右の純正に比べて左の社外ピストンのシリンダー壁面とのクリアランスが非常に大きい事が見て取れると思います。
これは社外ピストンでは一般的な、熱による膨張率を事前に計算して、高負荷時に肉厚のあるピストンクラウン部分が膨張してもシリンダー壁面とのクリアランスが保たれるよう計算されたもので、今回のリングに関して一瞬、冷間時と温間時でクリアランスが変わる事を事前に考慮しt・・・と頭を過ったものの、リング溝の裏側の肉厚が薄く、熱膨張の影響はあれだけガチガチだったものが緩々になるほど受けないし、そもそもトップリングもセカンドリングも冷間で緩々なのだからやはりあのオイルリングはおかしいと判断して手直しをして組み付けを行いました。


ちなみにこれは良くある事なのですが、
例1:有名な〇〇さんが言ってた
例2:雑誌にそう書いてあった
例3:ネットに書いてあった

以前にも何度か書いていますが、このブログに書いてある事は合っているかも分かりませんので暇つぶし程度に見て下さいとお願いしておりますが、何が本当で何が嘘もしくは間違っているかを判断するのは非常に難しい事だと思います。
特にエンジニアの世界では合ってるだの間違っているだのという考え方自体が少し違く、結果が出ているか出ていないか、更にその結果の難易度などが答え合わせの指標となりますので更に難しいのですが、

そのような事を踏まえて先ほどのこちらのピストンメーカーがSNSにアップした記事の自動翻訳の訳ですが・・・
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These dimples ALWAYS face down and OSR under NO circumstances should touch cylinder walls.
訳:これらのエクボは常に顔を下げ、OSRはNOの状況下でシリンダーウォールに触れるべきです。

パッとこの訳を見て実際にピストンに組まれたOSRもガチガチでリング抵抗も高い。
けど良く分からない日本語だけどOSRはシリンダーウォールに触れるべきって書いてあるからこのままで良いのか・・・。とそのまま組んだらアウトです。

実際の訳は、
このディンプルは常に下向きで、OSRは絶対にシリンダーウォールに触れてはいけません。
と真逆の訳だったりしますので、もしかしたら翻訳ソフトが間違っているのではないか?と、常に自分の経験則に従って曖昧な判断をしないようにします。

少しだけ毒を吐かせていただくと、よくチューニングって言葉を聞きますが、Tuningは調律という意味で、少し話を変えて・・・料理の基礎が分かっていない人がミシュランに載っているような三ッ星シェフの最高級レシピをネットで見つけて、そのレシピ通りに書いてある事を全く同じ手順で進めたとしても最高級の味にはならないはずです。
食材のサイズや状態に合わせた材料の投入タイミングに火加減、味付けの微調整など、長年の修業や研究をした基礎が有るからこそ常にベストな味が提供できる訳で、レシピに書いてある事を真似ても何となく似た物が出来る程度かと思います。
これは機械などのメンテナンスでも同じ事で、以前に「中古エンジンのメタル類をサービスマニュアルの勘合表通りに組んでも意味が無い」と書いて軽く反感を喰らいましたが、サービスマニュアルに記載されている数値などは全て新品時の数値であり、新品部品だけで組むなら適用するかもしれませんが、走行距離を重ねたオーバーホールを必要とするような消耗した部品には当てはまらない事も多く存在します。

具体例は下記URLで記事にしています。
http://secretbase-racing.com/archives/2017-07-15.html

問題なのは、料理であればお客さんは味で判断が出来ますが、機械の性能に対する判断となると何やら小難しい理屈っぽい事を並べられてしまうと一般の方には早々に判断が出来ず、これはそうゆうものなんだ!と言いくるめられてしまったり、雑誌に出ているショップさんであれば絶対に間違い無いと信じ込んでしまったり・・・。
今は本当に良い時代でネットで何でも情報が得られますので派手であったり大きい部分に目が行きがちですが、小さな違和感を感じる事も大切かと思います。
まぁ自分に害が無ければどうでもいい事なのですけど、前任者さんの施した問題箇所が多く、そこを見抜けなければ最悪一発アウトな地雷だらけなもので・・・。




akane380 at 03:52|PermalinkComments(7)│ │V-MAX1700 ターボ製作 

2021年08月11日

順次発送中です。

Tokyo2020 オリンピックが終わってしまいましたね。。。
ギリギリまで本当に開催するのか?ってくらい盛り上がりの無い雰囲気でしたが、結果的に己の肉体の限界に挑む選手達の活躍に感動して、己の利益追求の為に中間搾取の限界に挑んだ組織側に落胆する自国開催のオリンピックでしたが、中でも悲しかったのがオリンピックを迫力ある映像で観たくて65インチのテレビを買ったのに、1番楽しみだったサーフィンがネットのLIVE配信のみでテレビで観れなかったというw
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そんなこんなでオリンピック開催期間中は時間が有ればオリンピック中継を見ていたので作業の進みが若干悪かったのですが、

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何とかお盆休み前に納品予定だった分のキャブレターO/h作業最終組も順次チェック後に発送を行って参りますので、今しばらくお待ちください。

そして先日3機目のショーバイク用のBlack FCRキャブレターを製作させて頂いたBlack Paradeさんですが、8日のJOINTS CUSTOM BIKE SHOW で見事新作バイクが受賞をされたとの事でおめでとうございます♪
オリンピックにしてもショーにしても、皆さん挑戦する事があって本当に羨ましいです。
自分も早く次の目標目指してチャレンジャーに復帰したいですね^^