2019年11月03日

V-MAX1200 Oリング対策

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前回3度目の正直でやっとOリングの飛び出しを抑え込む事に成功したこちらの油圧部分ですが、経緯を紹介するのを忘れていたので追記しておきます。

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とその前に先週の日曜日にV-MAX1200のオーナーさんが北海道に遠征してきた結果ですが、前回のセントラルで10"479 秒まで縮めたタイムを一気に9秒台に入れてくれるか?という事で結果ですが、

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当日一発目の走行でセントラルの10.4秒から更に10”371 秒とタイムを更新。
で、2本目の走行はシフトミスをしたとの事で途中でアクセルオフでNOアタック。
そして3本目と思いきや当日は時間の関係で全車2本のみの走行だけだったとの事でここで終了と、本当に今の国内ドラッグ環境はキツイな・・・と率直に感じつつ、とりあえずコース状況もスタート地点が上り勾配でスタート後に坂を上って後半に下るというタイムを正確に測る最低限のイコールコンディションとは言えない状況だったと後に判明したのでV-MAX1200チャレンジとしては今回のタイムは個人的に無効かと。。。
とりあえず3年前にエンジンを壊した北海道でリベンジをするのがオーナーさんの今回の一番の目的だったようなので、来年のセントラルまで挑戦はお預けですね^^:

そして本題に戻りまして今回の記事は今回このV-MAX1200を担当させて頂くに当たって問題点として浮かび上がったネガティブポイントのご紹介ですが、
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今まで触ったことの無かったV-MAX1200エンジンの作業を任させて頂いて、

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当初エンジンを分解した際に、オイルフィルターからクランクシャフトのメインジャーナル軸受け部分に油圧を送るという非常に大事な部分のOリングがご覧のように切れてシール不良を起こして油圧漏れを起こしており、これは前任者の組み方による作業ミスなのか?設計的な問題なのか? と疑問になりまして、他にもいろいろと何でこんな事になってるんだ?という部分なども多かった事から、

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今回このV-MAX1200のエンジンはV-MAXの専門店さんでエンジンをイジられた車両という事+個人的に初めて触るエンジンなので比較と検証を行う為に部品取り用にノーマルのV-MAX1200エンジンを一機用意しまして、

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そちらの中古エンジンを分解した際にも同様にオイルパイプ部分のOリングに異常が見られたのでここはV-MAXのネガティブポイントっぽいな・・・と判断して対策を練る事に。

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今回使用されていたこのシリコン製のOリングですが、耐熱性、耐潤滑油性には優れるものの、材質的に柔らかいので耐圧性が悪く、今回のようにオイルポンプから3kg近い力で油圧が掛かり、差し込み部分のクリアランスが広いこのような部分に使用すれば今回のように油圧に負けてはみ出してしまったり、摩耗して切れてしまったり・・・で見事にご覧の有様で・・・。
ちなみに寸法取りの為に用意した新品との比較ですが、使用後のOリングは劣化は当然のことながら、線径も細くなってしまっていたりで、28年前の設計ということでここは対策として現代の代物に交換したいと思います。
それにしても当時のヤマハの設計は何故ここにわざわざ高価なシリコン材を採用したのでしょうか・・・。
高価なシリコンを選択できるコストが許されたならもっと高性能でシリコンよりも安価なフッ素ゴムを選択しても良かったような気がするのですが、柔らかいシリコンで振動対策か・・・? と考えてみたり・・・。

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ちなみに同一部品内で一方はNBR材のOリングを使用していて一方はシリコン材を採用していますが、これが余計に「何故こんなチョイスを設計で行ったのか?」の謎の種に。。。

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例えばミクニのTMRキャブもシリコン製のOリングを使用していますが、これも以前に何でここにガソリンに弱いシリコンをチョイスしているんだ?と調べてみたところ、シリコンはガソリンに浸すとガソリンを吸って50%近く膨張するらしいのですが、膨潤するだけで溶けたりはせず、乾燥させると吸い込んだガソリンが抜けて元の状態に戻る性質を逆に利用して膨張させて密閉度を上げているのだと理解しました。
なので分解直後はふやけたようにデレデレになっていてOリングダメになってるじゃん!って思っても時間を置けば元通りになる・・・と。
こうゆう風に仮説立てが出来ると納得も出来てモヤモヤが消えるのですが^^:
とは言っても理由がどうであれネガティブポイントに変わりはないので高耐久なフッ素系のOリングに代えてしまいます。

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そしてオイルパイプとギャラリーの差し込み部分がズコズコだったので見てみたところ、変形していて更にシール性が落ちてしまって使い物にならない事が判明^^:

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物自体は消耗品でもないので部品取りE/g から取ったデリバリーパイプに交換しようと実物を持ってきてみると、驚きの新事実が・・・。

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こちらはZX12Rのオイルパンですが、オイルパンはオイルを受ける受け皿の役目以外に他の部品を抑える役目も兼ねる事が多々あるのですが、矢印の突起部分が・・・

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このようにオイルパイプなどに当たってオイルパンを組んだ際に差し込んだ部品が脱落しないように押さえる役目を果たすのですが、

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当初このオイルパイプ裏の凹みにオイルパン側から凸の押さえが当たるのだと思っていたところ、

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部品取りE/g から持ってきたオイルパイプを見てみると凹の部分にゴムダンパーが付いており、

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なぬ?っとオイルパン側を見てみると有ると思っていた凸状の突起が無い・・・。

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どうやらV-MAXは振動や磨耗を気にしてか?直に突起で押さえるのではなくダンパーを介して押さえるよう作られているようで、赤丸で印した座面に・・・

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本来正常に組まれていれば、画像左のように黒いゴムダンパーがオイルパンに押し付けられて押さえが働くのですが、今回バラしたエンジンは画像右のように抑えのゴムダンパーが無い・・・。

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そりゃこれだけ浮いて差込み部分が変形してズコズコでは一番油圧の掛かる部分としては致命的ですね。。。
今回のように他の作業者さんが制作したエンジンの修理や改造で一番怖いのがこの前任者が残した組付け不良箇所で、言い換えれば地雷ですが、これをミスと気付けないと同じ過ちを繰り返してしまうので組付け不良なのか仕様なのか?を一つ一つ検証して気になる部分に対しては何故ここにこれが?とか何故こんな事に?という理由探しに非常に時間が掛かります^^:
ましてや数十年前の設計だと見直せる部分も多いので本当に時間が掛かりますが、その分、現代の考えで見直せるので良い部分も有ったりするのですが。

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とりあえず対策品のOリングの準備と前回の不具合の原因が単純なヒューマンエラーも絡んでいたということが分かったので、一度対策的にシリコンゴムからフッ素系のOリングに交換して試してみる事に。

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ちなみにこのオイルパイプはオイルパンを剥がせば簡単に脱着が出来る部分ですのでオイル交換のついでに状態の確認や交換も簡単に行えます。
缶ジュース一本分ほどのコストで安心感が得られますので、検索などでこちらの記事に辿り着いて交換してみようという際に、国内規格に類似規格があり自分も一度間違えて取り寄せてしまったりと少し探しにくい規格のOリングを使用していますので、気になる方は画像の品番を参考にしていただければと思います。

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そしてOリングの対策も完了してゴムダンパーもしっかりと組み付けてこれでOリングのトラブルが再発しなければ安心出来るな・・・

とエンジンを組んで車体に載せて、慣らしで100劼曚描行して、SBR_0888
その後にシャシ台で10本ほど全開にしてから再度エンジンを降ろした際にオイルパンを剥ぐってチェックした結果・・・

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対策も空しく見事にはみ出しておりますw
とりあえずこうなるとダンパーのゴムが柔らかすぎて油圧が掛かった際に潰れてしまい、それでOリングが飛び出せる状況を作ってしまうのかも・・・、

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ということで、ゴムダンパーの座面部分の嵩上げを行うべく、3个1个離好據璽機爾鮴作して、

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仮合わせを行った結果、3亳のスペーサーの方がしっかりダンパー部分に当たって押し上げていたので3亳のスペーサーを採用する事にして、固定方法を溶接で止めようか悩んだのですが、ここを見てくれた人が簡単に真似出来るよう耐油性の液体ガスケットで貼り付けて固定して完成。
※ 3亳のスペーサーはホームセンターで3亳のアルミ板を買って来てセコセコと切り出せば簡単に制作可能かと思います。

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そして先日のセントラルでの全開走行後に再度エンジンを降ろすタイミングでオイルパンを剥ぐってOリングの状態を確認した結果、やっと飛び出しの症状が治まって不安箇所を払拭する事が出来ました^^
上でも書きましたが、この部分のOリングの確認はエンジンを車体から降ろさなくてもオイルパンを留めている8估のネジを16本前後緩めてオイルパンを外せば簡単に確認をする事が出来ますので、オイル交換などのタイミングで気になる方は是非チェックをしてみてください。

※ ヤマハのガスケットはペラペラで直ぐに切れてしまいますのでオイルパンを剥ぐる時には事前にオイルパンのガスケットを用意しておくことをお勧めします。

V-MAX1200 オイルパンガスケット部品番号
部品名称 : ガスケツト,ストレーナーカバー
1990年〜1991年 ( 3UF1、3UF2 ) 
部品番号 : 26H-13414-00
1992年〜 ( 3UF3〜 )
部品番号 : 3JP-13414-01


追記

この部分の油圧が漏れる事によるリスクをご紹介しておきます。
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今回の油圧パイプから圧送されたオイルはクランクのジャーナル(軸受け)部分にオイルを送っていますが、そこの油圧が低下をすると冷却不足を伴うばかりかクランクメインジャーナル及びクランクピン(コンロッドベアリング部分)+ピストンピン周辺が油膜切れを起こし、画像のようにジャーナルやピン部分の焼き付きを起こすリスクが非常に高く、損傷を受ければエンジンが壊れます。
ただ、V-MAX1200であまりクランクの焼き付きなどの話は聞かないので、もしかすると本来オイルポンプで発生した過剰な圧力を逃がすリリーフバルブから排出する分の余剰圧力をこのOリング漏れ部分から垂れ流して上手い事帳尻が合ってしまい乗り切れているのかもしれません^^:
油圧は人間でいう血圧ですので、人間もマシンも圧が下がれば非常に具合が悪く、圧が完全に抜ければ数分で・・・です。
画像は今回のV-MAX1200のエンジンに入庫時に組まれていたクランクシャフトでピン部分が損傷を受けてエンジンが壊れた物ですが、Oリングが抜けてしまっている場合に高回転高負荷を多用されるような走りをされる場合にはこのようなリスクがある事を実例としてご紹介しておきます。




akane380 at 04:11│Comments(2)│ │V-MAX1200エンジン製作 

この記事へのコメント

1. Posted by 砂粒   2019年11月03日 15:28
プニっ!と出てる現象は、部位が部位ならハァハァ出来るのですが、エンジンのこの部位なだけに異なるハァハァしちゃいますね。
十勝スピードウェイ、アレ程勾配有るとは思いませんでした。
2. Posted by Gabu   2019年11月04日 03:37
>砂粒さん

お疲れ様です^^
知らぬが仏で知ってしまったら恐ろしい感じですね(笑)
国内のドラッグ環境が悪いから贅沢を言わないにしても、
上り勾配からのスタートはドS過ぎますよね。。。

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