2022年07月

2022年07月29日

脱・納期追われ

5月ごろから急にお問い合わせの件数が増えてきまして、同時期にお問い合わせを頂いた皆さんに通常納期でご説明をさせていただいていたら、その皆さんから一斉に作業依頼の品が届いてしまって「一件あたり通常納期2〜3週間の作業が10件以上来てしまった・・けど、皆さんに納期2〜3週間と説明してしまった・・どうしましょ。。。」と、日々納期に追われて泣きそうでした^^:

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そのような有難い中の作業の一つがこちらのシリンダーヘッドですが、鋳造したブランク状態のシリンダーヘッドの塊に一先ず粉体塗装の粉に潜らせて全体を結晶塗装で覆い、その後に各機械加工を行って製品化をしているようで、ご覧のようにポート内も燃焼室内も全て結晶塗装で覆われているワイルドな仕上がりをみせるハーレーのシリンダーヘッド。。。
たまぁに結晶塗装はその縮み模様の凸凹によって放熱効果を上げていると聞きますが、個人的にはそれは無いんじゃないかな?と考えていまして、

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強力な剥離剤を使用して塗膜を溶かしてみると画像のようなフニャフニャな状態になるのですが、この状態から察するにハーレーで使用している結晶塗装の原料は一般的なビニールやプラスチックに属するメラミン系の樹脂を採用していると予想をした時に、ビニールやプラスチックの熱伝導率を調べてみると平均0.10〜0.25W/m K 辺りとなっています。
参考までに
・アルミ=204W/m K
・鉄=48W/m K
・チタン=17W/m K
と、数値が大きい程熱伝導率が良い材質となりますので、平均0.10〜0.25W/m K という数値はほとんどゼロに近く、

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一つのシリンダーからこれだけの量の分厚い塗膜が取れるという事は、放熱性を上げる効果というよりは断熱効果に近いのではないか・・・と個人的に考えてみたり。

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ちなみにシリンダーヘッド一つからはこれだけの塗膜を剥がす事が出来ます。

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そのような訳で、暑い真夏に空冷エンジンのハーレーから少しでも熱害を取り払うべく、分厚い粉体塗装を取り除きまして、

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各所をマスキングしたら、

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セラコート処理をして熱の籠り難い空冷エンジンに優しい仕様の完成です^^
ちなみにセラコートの熱伝導率は色によっても違ってくるのですが、今回施工したカラーは0.46W/m K と、先ほどのメラミン塗装の倍!とは言え、殆ど目くそ鼻くそで変わらない違いですが、塗膜の厚みが元々の分厚い結晶塗装と比べて平均0.03仭宛紊板橋貿膜で仕上げてありますので、冬服のダウンジャケットから通気性の良い夏服に着替えたような、放熱効果としてかなりの差が出る仕様になっています^^

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今回はサービスで燃焼室内やポート内の結晶塗装も除去させて頂きましたが、ハーレーの結晶塗装は強力な剥離剤を使用してもなかなか塗膜が浮いてくれないので、本当なら剥離剤にドブ漬けして放置とかしたいのですが、剥離剤は酸性ですので、シリンダーライナーやシートリングなどに悪影響を与えてしまうのが嫌で、チマチマと割り箸で擦りながら剥離作業だけでも数日を要しました^^:

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ちなみにこちらはブラックで仕上げさせて頂きました別件バージョンです^^


今回の記事と同じような研究がミシシッピ州立大学と米国航空機メーカー大手のエアバスの人達の研究によって証明されていますので、参考までに資料を下記に貼っておきます。
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航空機がホバリングしているときのエンジンカウリングの内板の層間剥離と燃焼を軽減および除去するために、現在のコーティングシステムのエポキシシールコートをセラコートに置き換えることをお勧めします。さらに、推奨されるCerakote C-7700 Qを使用して、現在のエンジンカウリングに塗装し、耐熱性を向上させることができます。セラコートは、エンジンコンパートメントの温度を下げるために排気システムに熱障壁を提供するために自動車産業で長い間使用されてきました。この研究から初めて得られた結果は、航空機への適用性を示唆しています。
この記事は、ミシシッピ州立大学のYuchengLiuとGeHe、およびAirbus HelicopterInc.のThomasSippelによるSAEInternationalのテクニカルペーパー「セラミックコーティング材料を使用した複合エンジンカウリングの耐熱性の向上、実験計画とテスト」に基づいています。 :10.4271/2017-01-2130。

ソース:https://www.sae.org/news/2018/02/heat-resistance-of-composite-engine-cowling



ついでなので今回ご依頼を頂いた作業で個別に記事になりそうにないビフォーアフターネタもアップしておきます。
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こちらは先ほどのシリンダーとは逆に結晶塗装でご依頼のカワサキ空冷ZとMAZDAファミリアのヘッドカバーですが、

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それぞれ赤と黒の結晶塗装で仕上げさせていただきました。

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赤いMAZDAのヘッドをご依頼頂いたオーナー様は現在ファミリアをレストア中との事で、春先にも錆さびになったエキマニなどのセラコート処理のご依頼をいただいておりました^^

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こちらは北海道からご依頼を頂きましたハーレーの部品一式の中の一部ですが、今回オーナー様サイドで下地を磨き上げて頂き、鋳肌などの粗を無くした状態での入庫でしたが、

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そのお陰もあって通常の仕上がりよりも数段綺麗な仕上がりになりました^^

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今回はエンジンパーツ以外にもカーボン製品やFCRキャブレターなどにも施工をさせて頂きました。

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こちらは下地処理を行ってから施工をしたFCRキャブレターですが、非常に滑らかな仕上がりで、良い勉強になりました。

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そして後ろのマフラーも同一のオーナー様からのご依頼品で、手前のエキマニは車種は分かりませんがブルーサンダース様からご依頼を頂いたバイク用のターボ用のEXHマニで、

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それぞれご指定の1200℃耐熱セラコートで施工をして仕上げさせて頂きました^^

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こちらはシュアショットさんからご依頼のハーレー用の部品をセラコート処理でブラックアウトで仕上げさせて頂き、

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先ほどのターボ用のEXHマニと一緒にご依頼を頂いたS1タイプのスイングアームも、

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ご指定の半艶ブラックにて仕上げさせて頂きました。

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そしてコーイチさんの弟さんが展開しているバスボート用のオリジナル部品などの船用のパーツにも、

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セラコート処理を採用していただいています^^

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あとはキャブレターも沢山製作をさせて頂きました。

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キャブレターは一件一件全て仕様が異なり、

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尚且つ細かな作業の連続で、ほぼオーダーメード制なので特に時間が掛かるのですが、その分、完成時の達成感もひとしおです^^

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ちなみに今回、ミクニと京浜の代表的なシングル(TMR、HSR、FCR、CR)が同時にやってきまして、

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それぞれをセラコートでブラックボディに作り上げたのですが、TMRだけ間に合わなかったのでO/hでお預かりしているブラックアブソリュートを混ぜさせていただきましたw
シングルシリーズは部屋の壁に掛けたらインテリアにもなりそうで可愛かったです^^

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そしてキャブレターのオーバーホール作業も沢山ご依頼を頂いているのですが、中でも以前にモニター様を募集させていただいたTMRの不調診断も開始していまして、

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メーカーでオーバーホールをしても直らなかった個体の完全復活にやっと成功しました^^

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この2通のメールを頂いた時は一人でガッツポーズを決めてしまいましたが、今回何度もキャブレターを取り外して5、6回送り直していただいて、少しずつ部分的に仕様を変えて完調に持って行く事が出来て、ご協力を頂いたオーナー様には何度もお手数をお掛けしてしまい、最後までお付き合いをいただけた事には本当に感謝しかないです。

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全体で10機のモニター様にご協力を頂いて、まだインプレを頂いていない3機を除いては全て問題無しの状態なので、まだまだ経験として数は足りていませんが、最悪撤退もありえるか・・と思われたTMRキャブレターのオーバーホール作業も、ちょっとオリジナルの対策部品でも作ってみようかな・・・と考えられる程度に本格的にメニューに加えられそうです^^




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