2021年05月12日

「結果を出せ」の難しさ

「先ずは結果を出した方が良いんじゃない?」
「結果を出さなきゃ信じてもらえないだろ」
「結果を出してから書いた方が良い」

上記は数年前によく仲の良いショップさんや先輩から言われていた言葉です。


このブログでエンジンの事やメカ的な事をよく書いていましたが、そのような専門的な事を書くなら結果を出して技術力を示した方が良いんじゃない?というアドバイスとして言って頂けたのだと感謝しておりますが、結果を出すと言っても何をすれば結果を出した事になるのだろうか・・・と、この言葉を言われるたびによく考えていました。

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例えば12Rで1/4mile( ゼロヨン ) 8秒台を目指してやっていましたが、あの活動の目的は色々な仕様を試しながら8秒台に近付けて行く実験がメインな活動だったので、じゃあ一気にすっ飛ばして8秒台を出します!と言って単純に8秒台を出しても他の人も既に8秒台で走っている以上、他の人が出来る事を行った所で難易度として結果を出したとは言えないよなぁ・・・と考えたりで、相手を納得させるだけの結果を出すって難しいな。。。と考えていました。

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そのような事を心の中にずっと持ったままの頃に、V-MAX1200のオーナーさんからドラッグレースで9秒台に入れたい!との相談を受けて話を聞くと、V-MAX専門店で長い事お世話になっても成し得ず、今までそれなりの数のV-MAXがドラッグレースに参戦して誰も成し得た事が無いという厳しい条件下での1/4mile 9秒入りという目標を掲げた挑戦で、仮にその挑戦を受けて無事にクリアーすればエンジニアとして結果を出す事になるのではないか?と。

その条件とは前回も書きましたがV-MAX1200ベースに於いて、
・クイックシフター
・エアシフター
・NOS
・ターボチャージャー&スーパーチャージャー
・フレーム補強(サブフレーム)
・トラクションコントロール等の電子制御
・チェーンドライブ化

上記装備一切無しの条件で、簡単に言ってしまえばエンジンのパワーだけで今まで誰も成し得なかった1/4mile タイムアタックでの9秒入り、

それにプラスして更に厳しい条件となる、

・個人的に一度も触った事の無い未知数なV-MAX1200のV型エンジンでの挑戦

・製作したエンジン性能の比較がし易いよう、以前にこのエンジンを制作したショップさんがチョイスした10年物の骨董品のような中古ピストンを再利用して、排気量を変えてはいけないという条件付きでのエンジン制作。

・仙台ハイランドのような条件の良い専用コースが無い事による不利。

・オーナーさんのライダーとしての技術的側面

・車検を所得した状態でのナンバー付き車両である事 ←個人的な拘り


これら自分にとってのぬるま湯となる好条件が一切無いこの挑戦を受けて結果を残せたなら

「結果を出す」

になるのではないだろうか?と。

ただ、当時V-MAXでのドラッグレースで有名な専門店さんが制作したエンジンでもクリアー出来なかった事を、V-MAXを触った事の無い自分が果たしてクリアーする事が出来るのか?という疑問も当然あったので、出来ない事を出来ると言う訳にもいかず、先ずは一度も触った事の無いV-MAX1200のV型エンジンを分解して可能性を探る事にしました。

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他の作業の合間に夜な夜な部品を検証して、計算して・・で、何だかんだで一年近く検証などをして、このエンジンって結構パワーが出せるかも・・・。という事で、

決して金儲けの為に受けた仕事ではないので時間が掛かる分、信頼してもらう為にも個人的なオーナーさんとの約束として、
・万が一、9秒台が出せなかった場合には、部品代と内燃機加工代以外の全ての費用や諸経費を一切請求しないと事前に約束。

・責任を持ってやりきる為にもV-MAX1200とV-MAX1700を走らせるまで自分だけレースを楽しまぬよう個人的なレース活動の自粛も約束。


更にオーナーさんにプレッシャーとなるので伝えてはいませんでしたが、個人的な決め事として、
・9秒台に入って記録を残すまではこのブログでメカ的な詳細や専門的な内容の持論の自粛。

この条件を更に追加して挑戦を開始する事としたので、このV-MAX1200のエンジン製作の詳細や、もう一台のV-MAX1700ターボの製作内容の作業記事も書かないようにしていました。

そして作業を開始して直ぐにJD-STERさんが1/8mile(200m)競技に変更となってしまい、1/4mileで9秒入りをさせるというチャレンジをする場所が無くなった事によって先行きが見えない中、作業を進めればそれだけコストが掛かりますので、オーナーさんの負担を減らす為にも一年近く作業を中断する事もありました。
その当時には「出来もしないのに金目当てで作業を受けたんじゃないか。」とか、まぁ色々陰で言われていたようですが、結果を出す自信は有ったので、とりあえず結果を出せば噂好きな人達も黙るだろうと、寧ろそのような事を聞かされたオーナーさんに申し訳ないと感じていました。

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ちなみに今回9秒台を記録したV-MAX1200のエンジンの仕様ですが、純正から50馬力以上出力を上げてありますが、内容としまして・・・

ピストン:再利用の社外品 83 1428cc
クランクシャフト:ノーマル
カムシャフト:ノーマル
コンロッド:ノーマル
ミッション:ノーマル
シム:インナーシム化
INTバルブ:ノーマル
EXHバルブ:ノーマル
シートリング:ノーマル
バルブガイド:ノーマル
バルブリフター:社外流用
バルブスプリング:ノーマル
リテーナー:チタンリテーナー


嘘のような本当の話、実は殆どの部品が中古純正部品の再利用でお安く出来てます^^:
高価な社外の強化パーツをこれでもか!! と列挙して書ければワクワクしてもらえたかもしれませんが、好奇心のままにこの業界に入って27年間ずっとエンジンの事ばかり考えてきた結果、料理と一緒で素材を生かせば素朴な材料でも良い物は作れると証明した方がチャレンジ難易度もより一層上がるかな?という考えもあっての事ですが。
それをオーナーさんに知ってもらう為にもオーナーさんにも手伝って貰ってセコセコ磨いて、実際に磨く前との違いを体感して驚いてもらったりもしました。
このように殆どの部品がノーマルですが、それぞれの部品には経験を元に下記のような独自の考えで味付けをしています。

ピストン:WPC処理+リング1st DLC 2nd WPC オイルクリアランス独自
ピストンピン:軽量化 DLC
クランクシャフト:ジャーナルラッピング メタルWPC オイルクリアランス独自
カムシャフト:ジャーナルラッピング オイルクリアランス独自
コンロッド:メタルWPC オイルクリアランス独自
ミッション:シャフトWPC シフトフォークWPC フォークシャフトDLC
シム:インナーシム化
INTバルブ:ノーマル 有効面積拡大
EXHバルブ:ノーマル 有効面積拡大
シートリング:当たり変更
バルブガイド:リーマー修正
バルブスプリング:セット荷重合わせ
バルブタイミング:独自
リテーナー:チタンリテーナー
リフター:WPC オイルクリアランス独自
燃焼室:オリジナル形状 容積合わせ
シリンダー:指定面研
ヘッド:指定面研
ポート:オリジナル形状 容積合わせ
各部締め付けトルク:独自
インマニ:オリジナル加工D/D
キャブレターセッティング:独自


このような内容で、基本的にはフリクションロスの低減を主目的に個人的な経験則に基づいてV-MAX1200では誰もやっていないであろう独自の考えに基づいたポート〜燃焼室の整形を行い、充填効率と燃焼効率の向上を狙った味付けを行って、今回の記録達成という結果に繋げてみました。
なので今回のエンジンはあくまでも基本ベースであり、ここから更に今風の軽量なピストンに変えつつボアを広げたり、カムシャフトの変更などでもう一段上が目指せる保険を掛けた仕様となっています。

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そんなこんなで・・36年前に生産されたV-MAX1200をベースに当時のままの部品を使用して、エンジンのパワーのみでオーナーさんと共に国内初となるゼロヨン 9秒台入りという結果をもってブログを観て頂いている方に技術的な面を信用して頂けるかは分かりませんが、公の場でのブログを書くいちエンジニアとして誠に勝手では御座いますが、一つの技術的な ” 結果を示した ” とさせて頂ければと思います。

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という事で、目標を達成して自主規制的な縛りも無くなったので、ちょうど3年前の2018年の5月11日から止まっている自分の12Rの作業記事も近々再開して、とりあえず心機一転もっと明確な結果を示す為にも国内最速を狙おうかとゴソゴソ寸法取り用のフレームも引っぱり出してきました^^
年内は厳しいかもしれませんが、冗談か本気か?国内で二度と誰にも更新されないようなタイムを目指して来年からアタックを開始出来るよう頑張ります^^





akane380 at 02:00│Comments(6)│ │V-MAX1200エンジン製作 

この記事へのコメント

1. Posted by 2st   2021年05月12日 07:57
12Rの更新がなかったのはそんな経緯があったのですね 今後も楽しみにしております
2. Posted by よこやん   2021年05月12日 08:31
いつも楽しく読ませて頂いています、結果を出す
言葉では簡単に言えても、何が結果なのか、またどういう結果が正しいのか、難しい。

そして12Rの再開、楽しみに読ませて頂きます、しかし12Rも20年を超して、あっちこっちのパーツが欠品してきましたね
3. Posted by 砂粒   2021年05月12日 17:43
毛の先ほどを手伝うというお邪魔をさせて貰いましたが、こんなに変わっちゃうの?と驚きの連続でした。
ヘッポコさは事実なので気にならないのですが、対象がお世話になっている方だと、結果を示さなければと何とも言えない気分になりますね。
今は、憧れの人に一歩近づけたので更に頑張りたいと思わせて頂きました。
4. Posted by Gabu   2021年05月12日 23:54
>2stさん

コメントを頂きまして誠にありがとうございます^^

情報が溢れている昨今、情報を発信する側としても何をもって技術を証明するか迷っておりましたので、結果を出して自信を持って記事が書けるようになるまで自粛を選ばせていただきました。
12Rの作業は自分も楽しみにしておりますので、なるべく早く着手出来るよう頑張ります!
またこれからも宜しくお願いいたします^^
5. Posted by Gabu   2021年05月13日 00:05
>よこやんさん

コメントを頂きまして誠にありがとうございます^^

結果を出すという挑戦は、自分に甘くギリギリクリアーが可能なレベルの挑戦では誰も納得してはくれないと考えていましたので、得意な分野で出来るだけ自分に不利な条件での挑戦を見つけるのに苦労しました。
なので今回のV-MAX9秒チャレンジは本当に良い機会を与えて頂けたと思います^^

次は12Rでの挑戦となりますが、言われてみれば自分の初期型12Rも既に21年選手でしたので、一旦純正部品の在庫を確認しておきたいと思います。

6. Posted by Gabu   2021年05月13日 00:13
>砂粒さん

お疲れ様です^^

エンジンの中身の動きを知る事も速く走る為に必要ですのでセコセコ磨いて頂きました。
噂好きな人達は下に見ていた相手が上に行ってしまって今頃どうしているのでしょうかね(笑)というのは冗談ですが、結果が全てですね^^
目標が有るから前進出来ますので、これからも目標目指して邁進して行きましょう!

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