2024年01月13日

VTR1000FとRC30用 FCRキャブレターのオーバーホール作業

新年明けてまして〜なんて記事でもアップしようかと思っていたのですが、今年は元日早々から地震に航空機事故にと、なんだか暗い年始になりましたね。。。
数か月前に能登半島で大地震が起こるのではないかとYoutubeにアップされていた防災系のYouTuberの方が、その数ヶ月後には関東地方でも直下型の大きな地震が起こるリスクが高まっているなんて内容のYouTubeをアップしていましたので、明日は我が身と心して今年も生きようと思います。
今はただ被災された方々にお見舞い申し上げますとともに、被災地の皆様の安全と一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。


今回は珍しくリンク式のFCRキャブレターのオーバーホール作業が重なったのでそちらの作業を記事にしてみます。
SBR_2602
まずはこちらのだいぶ汚れてしまったVTR1000F用のFCRキャブレターですが、

SBR_2611
20年間着けっぱなしだったとの事でかなり錆や腐食に侵されていて、

SBR_2636
そこかしこがだいぶやられてしまっている状況でした。

SBR_2682
分解後のチェックでは内部も長年の使用で蓄積された汚れで真っ黒な状況。

SBR_2825
で、年末でバタバタしていて作業中の画像を取り忘れてしまったのですが、とりあえず洗浄して磨けるものは磨いて、汚れの酷いものはウェットブラストとセラコート処理にて仕上がり重視で下処理を行った上で組付けた状態ですが、

SBR_2827
SBR_2813
Oリング類も全て交換をして、リンク回りの清掃などで動きが渋かった部分なども手直しをして20年分の汚れや劣化もだいぶ取り除けたのではないかと思います。



SBR_2780
そしてお次はこちらのRC30(VFR750R)用のFCRキャブレターのオーバーホール作業ですが、こちらの個体は他所で一度オーバーホールの作業を行った形跡がある個体で、組付け方が部分的に所々おかしな組付けが行われていたので、その辺りも修正しつつな作業となりました。

SBR_2808
まずは分解ですが、今回こちらの個体は初期の頃のFCRキャブレターがベースとなっているので年式的に非分解部分の劣化が見込まれる事から、どうせならということで非分解部分のレストア作業も含めての作業となりましたが、

SBR_2828
非分解部分を分解したところ、定番の加速ポンププランジャのワンウェイバルブ栓が張力を失ってポロっと脱落していましたので、直近の使用時点では加速ポンプの動きが本調子ではなかったようです。

SBR_2829
なので対策として、今後は緩む事の無いようオリジナルで制作をした真鍮製のワンウェイバルブキットを使用して末永く安定した状態に持っていくよう修復を行いまして、

SBR_2830
非分解部分のOリングなどもオリジナル制作した高耐久なフッ素性のものを使用して組付けを行っていきます。

SBR_2846
そしてそれぞれの部品の下ごしらえが完了したら組付けですが、

SBR_2897
通常の直列タイプと違ってV4用は組付け方に気を付けないと後からではネジが締め付け出来なくなってしまうので、あれこれ考えながら組付けを行っていきますが、

SBR_2905
こんな感じでキャブレター同士が重なってしまう箇所があるのでフロートチャンバーの組付け順など気を付けなくてはなりません。

SBR_2892
通常のFCRキャブレターと違うといえば、こちらは特徴的なRC30 専用のバルブシートですが、RC30 って完全なレーサーがベースなので燃料ポンプ車かと思っていたのですが、バルブサイズを見る限り自然落下型の給油方式だったんですね。
そこでしっかりと燃料を供給するためにサイドに削り込みを入れて流量を確保していたようで、この他にも加速ポンプの噴出方向の違いなど、通常のFCRキャブレターとは違う部分が何か所か見受けられましたが、現行のRC30用のFCRキャブレターでは通常のFCRと同じボディを使用しているっぽいので、RC30に関してはこの初期型のタイプの方をレストアして使用した方が贅沢な仕様なのかもしれませんね。

SBR_2906
そんなこんなで作業を進めてラジオから流れてくる会話的にもうすぐ年越しかぁ・・・などと考えながらリンク回りを調整して、

ラジオからHappy New Year〜なんて賑やかな声が聞こえたその時、全くハッピーじゃない事実が判明。。。
SBR_2921
なんとこの気筒のフロートチャンバーも先に取り付けておかなくてはならなかったようで、あれだけ気を付けていたのに何故。。。と、再度分解する羽目にw

SBR_2931
毎年ガレージで作業をしながら近所のお寺から聞こえてくる除夜の鐘の音を聴きながら作業をするのが好きだったのに今年はクレームがあったのか鳴りませんでしたし、組み方失敗するしなんとも悲しい年越しで・・・。
それにしてもスロージェットの交換の際にいちいちキャブを分解しなくてはならないとは、RC30のFCRキャブのセッティングってめっちゃ大変ですね・・・^^:
まぁ本来レースユースな車両なので低回転域のセッティングなんか大体でも良いという考えなのかもしれませんが・・・。

SBR_2932
その後、通常なら全ての組上げが終わってからオーバーフローのチェックを行いますが、今回は全て組んだ後にオーバーフローが発生したら精神的に病みそうなので、下回りが組み終わった段階で事前にチェックを済ませることに。

SBR_2942
そしてオーバーフローのチェックと加速ポンプの噴出チェックに問題が無かったので、今回はオーナー様に持ち込んでいただいた共立工芸さんのSEPベアリングガイドを組み付けて機械同調で各気筒を合わせたら・・・、

SBR_2957
新年1発目、RC30用FCRキャブレターのオーバーホール作業の完成です^^
先日オーナー様より取り付け後のチェックのご報告を頂きまして、以前から気になっていた中間域での息つきなどの症状も無くなってとてもスムーズに回るようになったとのご報告を頂きまして一安心いたしました♪

SBR_2791
とりあえず今年も為せば成る、為さねば成らぬ、で頑張ります。





この記事へのコメント

1. Posted by 砂粒   2024年01月16日 12:10
今年もよろしくお願いします!
ゴーンと鳴る鐘が、ガーンと言う心の鐘にw
毎回、ピッカピカになりますね。
2. Posted by Gabu   2024年01月17日 03:24
>砂粒さん

お疲れ様です^^
今年も宜しくお願いいたします!
先日も他所でどんど焼きが近所のクレームで中止になったなんてXでの投稿を目にしましたが、その土地の風習を後から来た奴らが文句を言って壊していく今の現状は本当に腹立たしいですよね^^:
3. Posted by アキオッチ   2024年01月23日 20:22
ヨシムラTMRで悩んでおります。購入当時から調子が悪くもうすぐ2年になりますが、何度かショップにもセッティングしてもラッタのですが、ダメみたいなので、相談に乗ってもらえないかと思いコメントしてみました、オーバーホールしたらいくらぐらいかかるのでしょうか?
4. Posted by アキオッチ   2024年01月23日 20:25
車種はゼファー1100になります、よろしくお願いします
7. Posted by Gabu   2024年01月24日 02:19
>アキオッチさん

コメントを頂きまして誠にありがとうございます。
TMRキャブレターのオーバーホール作業に掛かる費用ですが、平均値で48,500円ほどとなっております。
また、現在作業のご依頼を多く頂いております関係で直ぐに作業を行う事が出来ません。
現時点で3月の中旬からの受付となっておりますので合わせてご検討を宜しくお願いいたします。
もし何かありました際には secretbase-racing@nifty.com までお問い合わせを頂ければと思いますので、以上、宜しくお願いいたします。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔