2024年11月03日
TMR メインエアジェットからのオーバーフロー
普段からミクニのTMRキャブレターを使用しているオーナー様方から多くのお問い合わせと修理のご依頼を頂いておりますが
TMRキャブレターってこの汚れ方をしているパターンが凄く多いんですよね。
この茶色い部分の汚れは全てガソリンに含有されている着色料が付着して蓄積した物で、即ちこれだけガソリンが常に漏れ出ていた形跡となるのですが、FCRキャブレターではあまり見ない症状なので一体この手のTMRキャブレターに何が起こっているのだろうか・・?と、単純にセッティングが濃い状態で乗っているだけではここまで汚れないよな・・・?なんて不思議に思っていました。
そして少し前にTMRキャブレターの不調で困っているというオーナー様からコメントを頂きまして、その後のやり取りで新品で購入してからずっと不調で、段々と乗る頻度も減って困って色々検索をする中で自分のブログに辿り着いていただけたそうで、今回何とかなればとオーバーホールのご依頼を頂いたのですが、
いつものような作業だったので分解前の画像は撮っておりませんでしたが、こちらのキャブレターも到着時には先ほどのキャブレターのようにスロットルボア回りが汚れている状態で、全分解からの洗浄〜組み立てと、一連の流れでオーバーホールの作業が完了。
そして組み付けが終わって最後にオーバーフローのチェックを行う為にガソリンを流して最終チェックを行って見るとその日は問題が無かったのですが、翌朝になって再度確認をしてみるとパイロットエアージェット部分からのオーバーフローが発生しておりまして、
ドバドバと漏れ出るというよりは、ジワジワと染み出ているような状態で、フロートバルブが微妙に偏摩耗していて燃料が滲み漏れているのかな・・・?と。
そこでフロートバルブを新品に交換をして再度オーバーフローのチェックを行うも、直ぐには漏れ出ずに12時間以上時間が経った頃に先ほどと同じようにパイロットエアジェット部分から鼻垂れるようにガソリンが滲み出てる・・・。しかも昨日は問題の無かった気筒から。。。
その後油面を再度チェックをして、組み直しては再度オーバーフローのチェックを行うも、次の日にまたオーバーフローを発症していて、何度かチェックを繰り返すうちに出たり出なかったりで再現性が薄い事に気が付きまして、フロートを各気筒で交換して再現性が有るかを確認してみたりと、直ぐに症状が出てくれないので一つ一つの対策の効果を調べるのに1日待たなくてはいけないので非常に時間が掛かって答えがなかなか見つけられません。。。
しかも今回のオーナー様はバイクで太平洋から日本海まで走るというチャリティーイベントに参加をご希望されていて、出来ればその日までに間に合えば・・・とのお話を頂いていたので時間が無い。。。
そんな作業を繰り返すうちにある異変に気が付いたのですが、オーバーフローのチェック後にキャブレターを分解する際にフロート内のガソリンをエアブローをして乾かす時に、画僧のようにドレン部分からエアーを当てると・・・、
メインエアジェット部分からブクブクとガソリンと共にエアーが漏れているのが確認出来まして、
TMRキャブレターの断面図で確認をしてみると、確かにニードルジェットホルダー部分とメインエアジェットは穴が繋がっているので本来ならここのメインエアジェット部分からエアーが漏れてもおかしくはないのですが、
このメインエアジェットはジェットと名が付いていますが、見てのとおり穴が開いておらず、番手は#0のジェットの形をしたメクラ栓なので、本来フロートに吹き付けたエアーがここから漏れ出てくるという事はメクラ栓として機能をしていないという事なのですが、
このメクラ栓は以前から別の事で気になっていまして、それは画像のように締め込んだ際の飛び出しが各気筒間でバラつく個体がチョイチョイありまして、中にはねじ込む向きがバラついている個体も有ったりで、細かいジェットなので製造時に舐めてしまったのか・・・と心配になる個体も有ったりします。
で、何となく、今回の症状で気になっている
・漏れ出てくるのに非常に時間が掛かる
・再現性が薄い
・ジワジワと染み出るように時間を掛けて漏れてくる
この特徴と今回のジェット部分のシール不良が非常にリンクするなぁ・・・という事で、
何となく違うような気もするけど一度試しにこのメインエアジェット穴を塞いでみるか・・・。と、栓をして1日経過しても漏れてこない、2日経っても漏れてこない!で、栓を緩めて呼吸が出来るようにしたら再度漏れ出てくる事が確認出来たので、こちらで意図的に症状の再現が出来たという事はこれが今までの原因で間違いないな。と判断をしました。
その後ジェットにシールテープを巻いてしっかりとシールをして再度オーバーフローのチェックを行うも問題無しでやっと一連の問題解決が行えました^^:
そして今までどうしてレーシングキャブレターなのにこのメインエアジェット穴にだけメクラをして殺しているのだろうか?と疑問でしたが、今回のような問題が発生するから新品時から殺されているのかもしれませんね。
そんなこんなで本当にギリギリまでお時間を頂いての作業でしたが、オーナー様も無事にチャリティーイベントに参加する事が出来たようで本当に良かったです^^
そしてこのTMRキャブレターのオーバーホール作業を行うようになって一つ気付いた点は、FCRキャブレターのオーバーホール作業ではあまり無い事ですが、TMRキャブレターのオーバーホール作業を行った際には多くの感謝のメールを頂く事がありまして、それだけ皆さん困ってどうしようもない状況だったのだろうなと、改めてTMRキャブレターって不良品だなと感じる今日この頃です。
というか、昨今のホンダのオイル漏れによってここ5年位で63件の不具合が報告されて65万台を対象にリコールってニュースがありましたが、65万÷ 63件で単純に1万分の1の発現率な訳ですが、TMRキャブレターに関しては今回新品時から有ったであろうガソリン漏れの別案件が既に目の前に・・・、しかも検索してみたら同じ症状の方が他にも居たようで・・・。
メーカーに出しても不調が直らないというオーナーさん達の話を多く聞くうちに興味が出て、メーカーしか扱えない部品があるというイヤらしいやり方がどうにも気になって反骨心と興味本位で始めたTMRキャブレターのオーバーホール作業ですが、個人的に気になるTMRキャブレターの問題点はまだ他にも判明していますので、対策が出来次第ご紹介したいと思います^^
TMRキャブレターってこの汚れ方をしているパターンが凄く多いんですよね。
この茶色い部分の汚れは全てガソリンに含有されている着色料が付着して蓄積した物で、即ちこれだけガソリンが常に漏れ出ていた形跡となるのですが、FCRキャブレターではあまり見ない症状なので一体この手のTMRキャブレターに何が起こっているのだろうか・・?と、単純にセッティングが濃い状態で乗っているだけではここまで汚れないよな・・・?なんて不思議に思っていました。
いつものような作業だったので分解前の画像は撮っておりませんでしたが、こちらのキャブレターも到着時には先ほどのキャブレターのようにスロットルボア回りが汚れている状態で、全分解からの洗浄〜組み立てと、一連の流れでオーバーホールの作業が完了。
そして組み付けが終わって最後にオーバーフローのチェックを行う為にガソリンを流して最終チェックを行って見るとその日は問題が無かったのですが、翌朝になって再度確認をしてみるとパイロットエアージェット部分からのオーバーフローが発生しておりまして、
ドバドバと漏れ出るというよりは、ジワジワと染み出ているような状態で、フロートバルブが微妙に偏摩耗していて燃料が滲み漏れているのかな・・・?と。
そこでフロートバルブを新品に交換をして再度オーバーフローのチェックを行うも、直ぐには漏れ出ずに12時間以上時間が経った頃に先ほどと同じようにパイロットエアジェット部分から鼻垂れるようにガソリンが滲み出てる・・・。しかも昨日は問題の無かった気筒から。。。
その後油面を再度チェックをして、組み直しては再度オーバーフローのチェックを行うも、次の日にまたオーバーフローを発症していて、何度かチェックを繰り返すうちに出たり出なかったりで再現性が薄い事に気が付きまして、フロートを各気筒で交換して再現性が有るかを確認してみたりと、直ぐに症状が出てくれないので一つ一つの対策の効果を調べるのに1日待たなくてはいけないので非常に時間が掛かって答えがなかなか見つけられません。。。
しかも今回のオーナー様はバイクで太平洋から日本海まで走るというチャリティーイベントに参加をご希望されていて、出来ればその日までに間に合えば・・・とのお話を頂いていたので時間が無い。。。
そんな作業を繰り返すうちにある異変に気が付いたのですが、オーバーフローのチェック後にキャブレターを分解する際にフロート内のガソリンをエアブローをして乾かす時に、画僧のようにドレン部分からエアーを当てると・・・、
メインエアジェット部分からブクブクとガソリンと共にエアーが漏れているのが確認出来まして、
このメインエアジェットはジェットと名が付いていますが、見てのとおり穴が開いておらず、番手は#0のジェットの形をしたメクラ栓なので、本来フロートに吹き付けたエアーがここから漏れ出てくるという事はメクラ栓として機能をしていないという事なのですが、
このメクラ栓は以前から別の事で気になっていまして、それは画像のように締め込んだ際の飛び出しが各気筒間でバラつく個体がチョイチョイありまして、中にはねじ込む向きがバラついている個体も有ったりで、細かいジェットなので製造時に舐めてしまったのか・・・と心配になる個体も有ったりします。
で、何となく、今回の症状で気になっている
・漏れ出てくるのに非常に時間が掛かる
・再現性が薄い
・ジワジワと染み出るように時間を掛けて漏れてくる
この特徴と今回のジェット部分のシール不良が非常にリンクするなぁ・・・という事で、
何となく違うような気もするけど一度試しにこのメインエアジェット穴を塞いでみるか・・・。と、栓をして1日経過しても漏れてこない、2日経っても漏れてこない!で、栓を緩めて呼吸が出来るようにしたら再度漏れ出てくる事が確認出来たので、こちらで意図的に症状の再現が出来たという事はこれが今までの原因で間違いないな。と判断をしました。
その後ジェットにシールテープを巻いてしっかりとシールをして再度オーバーフローのチェックを行うも問題無しでやっと一連の問題解決が行えました^^:
そして今までどうしてレーシングキャブレターなのにこのメインエアジェット穴にだけメクラをして殺しているのだろうか?と疑問でしたが、今回のような問題が発生するから新品時から殺されているのかもしれませんね。
そんなこんなで本当にギリギリまでお時間を頂いての作業でしたが、オーナー様も無事にチャリティーイベントに参加する事が出来たようで本当に良かったです^^
そしてこのTMRキャブレターのオーバーホール作業を行うようになって一つ気付いた点は、FCRキャブレターのオーバーホール作業ではあまり無い事ですが、TMRキャブレターのオーバーホール作業を行った際には多くの感謝のメールを頂く事がありまして、それだけ皆さん困ってどうしようもない状況だったのだろうなと、改めてTMRキャブレターって不良品だなと感じる今日この頃です。
というか、昨今のホンダのオイル漏れによってここ5年位で63件の不具合が報告されて65万台を対象にリコールってニュースがありましたが、65万÷ 63件で単純に1万分の1の発現率な訳ですが、TMRキャブレターに関しては今回新品時から有ったであろうガソリン漏れの別案件が既に目の前に・・・、しかも検索してみたら同じ症状の方が他にも居たようで・・・。
メーカーに出しても不調が直らないというオーナーさん達の話を多く聞くうちに興味が出て、メーカーしか扱えない部品があるというイヤらしいやり方がどうにも気になって反骨心と興味本位で始めたTMRキャブレターのオーバーホール作業ですが、個人的に気になるTMRキャブレターの問題点はまだ他にも判明していますので、対策が出来次第ご紹介したいと思います^^
akane380 at 00:39│Comments(6)│
│TMRキャブレター関係
この記事へのコメント
1. Posted by 山内道博 2024年11月07日 22:24
所見となります。gsx1100sカタナにて、tmr40mjnを7〜8年前に購入して、1年もしないうちに調子が悪くなりヨシムラにオーバーホールをしてもらいましたが、数ヶ月で症状が再発し自分なりに原因追求してるうちにここに書かれている記事と全く同じ症状であることがわかりました。特に低回転での走行時にギクシャクすることと、アイドリングの不安定、メーンエアーからのオーバーフローに気づかず湯面を高くしたり、パイロットや、エアージェットを薄くしたりして、迷宮入りしてました。そこでこの記事をみて目からウロコが落ちました。メインエアージェットのメクラ処理、やってみようと思います。
2. Posted by Gabu 2024年11月11日 03:19
>山内道博さん
コメントを頂きまして誠にありがとう御座います。
コメントへのご返信が遅くなりまして誠に申し訳御座いません。
今回の記事でご紹介しましたパイロットエアジェット部分からのオーバーフローの問題ですが、現在同様の症状を抱えた個体で今回の記事でご紹介しましたメクラ処理を行っても症状の消えない個体が発見されました^^:
もう正直パニック状態ですが、現在その原因を追究中です。
TMRキャブレターの重大な問題点が次々と見つかりどんどん明るみに出して行こうと思いますので参考になれば幸いです。
コメントを頂きまして誠にありがとう御座います。
コメントへのご返信が遅くなりまして誠に申し訳御座いません。
今回の記事でご紹介しましたパイロットエアジェット部分からのオーバーフローの問題ですが、現在同様の症状を抱えた個体で今回の記事でご紹介しましたメクラ処理を行っても症状の消えない個体が発見されました^^:
もう正直パニック状態ですが、現在その原因を追究中です。
TMRキャブレターの重大な問題点が次々と見つかりどんどん明るみに出して行こうと思いますので参考になれば幸いです。
3. Posted by 中村 2024年11月16日 17:24
初めまして。中村と申します。
自分も他の人同様TMRに悩まされております。
アイドリング時に2発のような音がしてたり。
アイドリングが3000回転から下がらない状態です。
現状、色々な症状があります。
オーバーホールを含め一度見積もりしてもらえませんか?
宜しくお願い致します。
自分も他の人同様TMRに悩まされております。
アイドリング時に2発のような音がしてたり。
アイドリングが3000回転から下がらない状態です。
現状、色々な症状があります。
オーバーホールを含め一度見積もりしてもらえませんか?
宜しくお願い致します。
4. Posted by Gabu 2024年11月19日 01:01
>中村さん
コメントを頂きまして誠にありがとう御座います。
別途頂きましたメールの方へご返信をいたしましたので内容のご確認を宜しくお願いいたします。
コメントを頂きまして誠にありがとう御座います。
別途頂きましたメールの方へご返信をいたしましたので内容のご確認を宜しくお願いいたします。
5. Posted by 宇山 2024年11月30日 15:26
初めまして。
エンジンオーバーホール(ボアアップ)するにあたってキャブもTMR36に変えようと思って色々調べてたら、こちらのブログに辿り着きました。
ブログに記載されてるTMRの記事を見ると買うのをやめた方がいいんじゃないか!って思わされます。
すごく悩んじゃってます。
詳しい事をお聞きしたいしキャブのセラコートも魅力的なので連絡をとりたいのですが、問い合わせ先がわからなくて。すみません。
どのように連絡とればよいですか?
エンジンオーバーホール(ボアアップ)するにあたってキャブもTMR36に変えようと思って色々調べてたら、こちらのブログに辿り着きました。
ブログに記載されてるTMRの記事を見ると買うのをやめた方がいいんじゃないか!って思わされます。
すごく悩んじゃってます。
詳しい事をお聞きしたいしキャブのセラコートも魅力的なので連絡をとりたいのですが、問い合わせ先がわからなくて。すみません。
どのように連絡とればよいですか?
6. Posted by Gabu 2024年12月01日 02:47
>宇山さん
コメントを頂きまして誠にありがとう御座います。
今回の記事をご覧になってTMRキャブレターの購入を躊躇されているとの事で、個人的な経験則でTMRキャブレターはメリットよりデメリットの方が強いキャブレターという認識ですが、レース専用キャブレターとしてしっかりとセッティングを行って走行毎に分解チェックなどのメンテナンスを行なえばそこまでのリスクは無いかもしれませんが、普段乗りで使いっぱなし的な使用をする場合にはそれなりのリスクを覚悟しなくてはいけないかもしれません。
secretbase-racing@nifty.com 宛にご連絡を頂ければご質問に答えられる範囲でお答えいたしますので何か御座いました際には宜しくお願いいたします。
コメントを頂きまして誠にありがとう御座います。
今回の記事をご覧になってTMRキャブレターの購入を躊躇されているとの事で、個人的な経験則でTMRキャブレターはメリットよりデメリットの方が強いキャブレターという認識ですが、レース専用キャブレターとしてしっかりとセッティングを行って走行毎に分解チェックなどのメンテナンスを行なえばそこまでのリスクは無いかもしれませんが、普段乗りで使いっぱなし的な使用をする場合にはそれなりのリスクを覚悟しなくてはいけないかもしれません。
secretbase-racing@nifty.com 宛にご連絡を頂ければご質問に答えられる範囲でお答えいたしますので何か御座いました際には宜しくお願いいたします。