V-MAX1200エンジン製作

2017年07月15日

メタル選定 勘合表と実測値

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前回とその前くらいにオーナーさんへの現状報告も兼ねてメタル選定の話を書きましたが、何だか反響があった?というか、バイク屋さん関係からマニュアル通りの勘合表じゃダメなの?と若干有耶無耶に誤解をされてしまっているようなのでそうゆう話じゃないんです。という事と、以前にオイルクリアランスを合わせると書いた時になるようにしかならないんだから合わせられないでしょ?という事があったので、今回は軽く触り程度にネタにしてみます。

一般的にエンジンのメインメタルやコンロッドメタルなどを選ぶ時にはサービスマニュアルを見るとどうやって選べば良いかが載っているのですが、今回は先日部品取りとしてジャーナル径を測ったV-MAX1200のエンジンを例にしてみます。
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で、こちらが勘合の識別マークの記載ですが、このクランク側に刻印されている番号(1)と、エンジンケースに記載されている番号(2)を・・・

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このように引き算をして(3)、算出された番号を選んで組んでくださいね。(4)と、エンジンケースやクランクなどはそれぞれ個体差があるので、ジャーナルの内径サイズや外径のサイズで識別番号が割り振られて本来ならマニュアル通りに選べば基準値内のオイルクリアランスが得られるというものですが、実際に勘合表を使ってメタルを選んでみます。

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で、自分は下積み時代に勘合表なんか使うなと教わってきたので今までもあまりこの刻印を意識してこなかったのですが、まさかのリューター手書きでヤマハもなかなかワイルドだなとビックリしました。。。
とりあえずケースの刻印は「5766」ですが、ややこしい事に正面から見てしまう事になるので右から J4J3J2J1( J=ジャーナル )となります。

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そしてクランクの刻印は「1212」ですが、こちらは左から J1J2J3J4となりますので、先ほどのケースの刻印とクランクの刻印を各ジャーナル毎に引き算をして得られた数値が右上に記載されているメタルの識別番号「5-4-6-3」という数字と色になります。


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この識別番号と色によってメタルの厚さを識別しているのですが、まずは先ほど勘合表で割り出したメタルの厚みを元に実際にエンジンに組み込んだ際のクリアランスのチェックをしてみます。






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例としてJ1を元に計算をしてみますが、計算は至って単純でして、それぞれ計測をして得られたクランクジャーナル内径数値からクランクジャーナル外径数値を引いた数(クリアランス)に・・・




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先ほどの勘合表で出たメタル厚、この場合は黄の1.503〜1.506mm (平均で1枚あたり1.5045mm で、上下で2枚必要となるので ×2=3.009mm )を先ほど得られたクリアランス 3.051mm から引きます。
そして出た数字「 0.042mm」が勘合表を元に実際にメタルを組んだ際の理論上のオイルクリアランスという事になります。


ということで・・・




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J1〜J4 までを計算した結果がこちらですが、V-MAX1200の親メタルのオイルクリアランス基準値は0.020〜0.038mm となりますのでJ1とJ4はクリアランスが0.038mmを超えて許容範囲外となるので厳密に言えばアウトです。
以前にも書きましたが全ての部品が新品とかなら勘合表も役に立つのかもしれませんが、使用して消耗や磨耗した状態ではマニュアル通りじゃ合わない部分が出てきてしまいます。
なので下積み時代に「勘合表なんて一度使ったエンジンには合わないんだから使うな!」と教わった訳ですが。
でもまぁ、実際このくらい良いじゃん!って言われれば自分の作業じゃないしそうっすね!って話なのですがw
で、実際ここで気にする部分はクリアランスがほんの少しオーバーしているからもうダメ!とか揚げ足を取るような話ではなく、このオイルクリアランスのバラつきがあると一部のジャーナルに部分的に負荷が掛かってしまったり、コンロッド側のピンに回る油量にバラつきが出てしまう恐れがあります。
今回の場合で言えば基準値を超えるクリアランスのJ1とJ4に比べて基準値下値に近いJ2とJ3は抵抗も大きく、これでは全体での均等なバランスが取れません。
中にはもしかしたらアタリエンジンと言われるような勘合表でバッチリOKな個体もあると思います。 ですが、今回のV-MAXのように初年度は30年も前とかなると高確率で勘合表では合わなくなってきてしまいますので個人的には勘合表は使わない・・と書いた次第です。
ですのでダメとかそういう事ではありませんので間違ってもこんなところに書いてあることをいちいち気にしないでください^^:



で、話を戻してじゃあどうすんだよ?って話ですが、
例としてまた先ほどのJ1を例えにしますが、J1の内径と外径のクリアランスが3.051mm でしたが、今回は仮説としてオイルクリアランスを0.030mmに合わせる方向で行くとします。
その場合に3.051−0.030=3.021mmとなりますので、その3.021mmをメタル上下2枚分に割ると1.510mmとなりますので、メタル厚さ1.509〜1.512mmの茶色のメタルを選べば平均値でオイルクリアランスは仮説で設定した0.030mm ジャストとなります。


ということでまた・・・




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J1〜J4はこのような結果となります。
先ほどの勘合表で合わせた際には100分台のバラつきがありましたが、こちらでは仮説のオイルクリアランス0.030mmを目標にしてさらに精密に最小値 0.029〜 最大値0.033mm と前後幅1000分の4mm以内で揃えることが出来ました。
このような感じで任意の理想とするオイルクリアランスを求めてメタル選定を行っている訳ですが、これは基本的な面で応用や技的、条件的な事も結構あったりしますのでもっと深いのですが、そこは恥ずかしいので秘密にしときます^^:




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ということで、この差がエンジン性能に現れると思いますか?現れないと思いますか・・・というか、この数値が先日のV-MAXの数値だったら良かったのに・・と改めて悲しくなってきました。。。
ふと、もし仮に前回のV-MAXの腰下ケースを勘合表を元にメタル選定をして組んだ場合には最悪クランクが動かないか、メタルトラブルを起こしてエンジンが壊れます・・と書こうとしたら、考えてみたらメタルトラブルが原因で入庫しているのでした^^:
でもそうゆうことを踏まえても実際に測るのは良いですよ・・、実際に各部を詳細に測ることで立体的に状態が把握できますし、前回作業をした時の内容や手順や思想、レベルなども部品を通じて見えてきますので^^

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ちなみにこの話をする上でトルク管理も非常に大切ですって書こうとしていたのですが忘れてますた。。。

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2017年07月06日

至上命題 9sec!! VMAX計画

夏目前でイベント関係の作業が多く、動かすことの出来ない納期の作業達を無事にこなしてやっと肩の荷がおりました。。。

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そんな中、先日いつも何かと自分の身体のことを気遣ってくれる山形の Iさんからさくらんぼを頂きました♪
山形のさくらんぼは名産品だけあって本当に美味しかったです!ご馳走様でした^^
とりあえずお返しを考えるも山形は酒も魚も空気も美味しいとのことで、関東の人間が何を御返しに送れば良いのやら・・・。 逆転の発想でこんな不味いもの今まで食ったことが無ぇ・・・ってくらいマズイ物を送ってみるべきか・・・w

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それと先週ガレージに遊びに来てくれた九州のケンタロウさんとの東西ひよこ合戦は未だに続いているようでw 、今回もNew バージョンの抹茶ひよこご馳走さまでした^^
それから遊びに来て頂いたHさんからもお土産を頂きましてガブの分のお土産まで頂いてしまって本当にいつも皆さんお気遣いありがとう御座いますm(_ _)m
最近「今日何食べたっけなぁ・・・」とその日に食べたモノすら覚えておらず記憶力がヤバイなぁ・・・とか思いながら寝るときにふと ” あ、思い出すもなにも俺 今日なんも食ってねーんじゃん。。。 " と頻繁に食うことを忘れて生きているのでありがたく美味しくいただきます^^

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ついでに、いつも走る場を提供してくださっている2輪ドラッグレース団体を運営するJD-STERさんが 7月16日(日)開催のJD-STER Rd.3 の会場を更に盛り上げるべく スポンサーのハラダ製茶さん主催のトークイベントを当日開催するそうです。 生でドラッグの走りを見つつ、生でお笑い芸人さんを見れるチャンスですので是非この機会に遊びに行ってみてはいかがでしょうか?
また JD-STER さんのホームページ ではSPEED NEWSと題してレースの詳細やその他の動画なども多数アップされておりますので興味のある方は覗いてみて、覗いたらその勢いで是非参加をw
初めてだと緊張するし・・・という場合には多分当日はお昼に体験走行なども無料で行えたと思いますし、ルールやスタートの仕方、走り方などは事前に初心者講習もありますので深く考えず興味本位の軽い気持ちで遊びに行っても十分楽しめると思います^^



そしてここから本題ですが・・・、




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前回シリンダーブロック上面の面研を行おうとしたところライナーがデッキから飛び出した状態で固定されていた問題で、一度ナプレックさんの方で押し込んでみてもらったところ押し込んでも入らず、この状態で固定されてしまっているのかが不安で一度ライナーを抜いて確認をしていただいた訳ですが、結果、ライナーを固定するエポキシ系の接着剤が間に挟まった状態で固着していたようで、それらを綺麗に取り除いて一件落着かと思いきや、今度はライナーとブロックとのクリアランスが若干不足気味で圧入してもカッチリと固定が出来るかどうかの不安が発生してしまいどうするか?でまたしても作業が一旦停止していたVMAX1200のエンジン作業ですが、

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最終的にナプレックさんの方でカッパー系のスプレーをライナーに施してしっかりと嵌めていただいて、

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その後シリンダー上面を指定量面研していただき、やっとシリンダーブロックの加工が無事に終わりました^^:

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そしてメーカー欠品だった純正のバルブガイドも当初2月に発注して3月に入荷の予定が5月の末に延期になりで、もしかしたらまた延期か・・・。と危惧していましたが、なんとか5月の末に生産されて手元に届きました^^

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そしてその間にメタルトラブルを起こしたクランクの代わりとなる部品取りE/g から取り出した1200のクランクもジャーナルとピンを磨き仕上げを行いまして、

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こちらも寸法への影響を最小限で良い感じに仕上がりました^^

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まだ腰上の話に触れていませんが腰上も実は問題が山積みだったのですが、それらも含めて先日やっと現状明らかになっている問題がクリアーになり、これでやっと欠品部品も無くなり、それぞれ問題のあった部品なども対策したり修正したり探したりでやっとメタルの選定に入れる♪ と山無し谷ありの連続を経てやっと一般道に出られた的な安堵感が^^
あとはメタルの選定が終わればメーカーに部品を発注して、表面処理が必要な部品には表面処理を施して・・・そして全て下準備が整ったら一気に組み上げて完成だ♪ とゴールがやっと見えt・・・。って思っていたのですが、何だかおかしい。。。

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必要なメタルの選定をするのにクランクケースのジャーナル径を測ってみるとこのエンジンは何だか普通と違う・・・。

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普段ジャーナル内径を測る時には1つのジャーナルに対してオイル溝を挟んだ左右( ↓◆縫献磧璽淵襪粒3方向を測ってそれぞれの平均値を出すのですが、今回計測をしてみたところオイル溝を挟んだ隣り合う,鉢△妊リアランスに100分台で大きく開きがあって、規則的に一定の方向にそれぞれ末広がりにテーパーが掛かっている。。。

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とりあえずこのV-MAXも生産開始から30年も経つ古いバイクなので、当時のヤマハが何か狙いがあってジャーナルにテーパーを掛けたのかな?と。 もしかしたら規定のトルクで組み付けた時にしっかりと芯が出るような仕様なのかを確かめるべく、プラスチゲージを使って一度チェックを・・・。

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で、規定のトルクで閉めこんでプラスチゲージの潰れ具合を確かめるとやはり隙間の広さが左右で偏っている。

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ただ、全体を通してみるとある一定の法則があるのですが、,鉢△隆屬悩垢有ってテーパー状になっているのは大外の左右#1と#4 のみで、逆に真ん中の#2 と#3 は左右の,鉢△藁イ譴討い覆い大外の#1 と #4 のクリアランスと比べるとやけに狭く、大外の二箇所はラインナップされている最大厚のメタルを使ってオイルクリアランス基準値の上限0.038mm にギリギリ追い付けるかどうかで、真ん中の二箇所はラインナップされている最薄のメタルを使ってオイルクリアランス基準値下限の0.020mm ギリギリ(正確には0.0195mmなのでアウトw)と、この状況ではメタル選定の選択の余地無し。。。
というか古い中古のエンジンなのに何でクリアランスが広がっているんじゃなくて狭くなっているんだ?と。
クランクのジャーナルも磨きを施しているのでなお更クリアランスが広がるハズなのに・・・。

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もしかしたら年式で仕様が違っていて自分の持っているサービスマニュアルの数値ではこのエンジンには合わないのか・・・? このV-MAX1200のサービスマニュアルには使用上限値の記載がなく、どのような状態でもオイルクリアランスが0.020mm 〜0.038mm の間で確保が出来ていればジャーナル径やピン径を気にすることは無くて良いという考えのようで余計に判断が付けづらい。。。
で、大型のヤマハのエンジンなんて20年近く前に自分の乗っていたAE86の4A-Gをイジっていた時以来触っていないし、ジャーナルにテーパーが掛かっている仕様は2輪ヤマハの特徴的なそうゆう仕様だったりするのかな?と他のV-MAX1200のケースのジャーナル径を測って確認してみたのですが、

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はやり本来,鉢△呂曚榮運値に収まるようで、この数値を元にオイルクリアランスを計算してみると選択幅もあり、純正部品として調べてもケースに年式の違いは見受けられずやはりあのケースのジャーナル径がオカシイんだな・・・と。

で、ここに来るまでに色々な部分で問題が発生して乗り越えてきたので、流石にこの部分では問題の起こしようが無いだろう・・・と疑う心を持っていなかったので完全に見落としてしまったのですが、
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よくよくケースを確認してみると原因は以前にオーバーホールした時にオイルストーンでガリガリ削ってしまった事によるケース合わせ面の狂い・・・。
もう本当にガッカリというか、グッタリというか、もうしなくて済むだろうと思っていた「またトラブル発生です。。。」の報告をオーナーさんにする羽目に。

よくエンジンの話題になった時に ” なにそんな神経質なこと言ってんだよ ” って反応をされますが、実際にここで問題になっているクリアランスは0.02mm〜0.03mmと100分の2mm とか3mmの話なのですが、100分の2mm とか3mmって言われてもピンとこないかと思いますので分かりやすく身近な物で例えると、通常のコピー用紙の厚みが 0.09mm なのでペラペラなコピー用紙をさらに薄く三等分にスライスした1枚分以下 の厚みのクリアランスを求める部分の話で、そのような細かなクリアランスを求める部分ですので、これだけ荒い砥石でガリガリ研磨をしたのではあっと言う間に本来のクリアランスが奪われて面の平行なども狂いが生じてしまいます。
ただ、この手の作業は作業者によって考えも十人十色でしょうからこれが本当に間違いなのかを判断する事は出来ませんので否定も出来ませんが、ただ純正でラインナップされているメタルの厚みの一番薄いモノを使用してオイルクリアランスの最小値ギリギリで選択の余地が無い事と、ケースジャーナル径の芯が狂ってしまっている点を踏まえればジャーナルを介してコンロッド側に流れる油量や油圧にも影響を及ぼしますので性能を上げるうえで良い判断だとは思えません。
古いバイクなどでローラーベアリングを使ったタイプのエンジンを除いて、仮にオイルストーンを掛けるのであれば砥石にもサンドペーパーなどと同じように番手がありますので、このような繊細な部分に使用する場合には仕上げ用などの極細目など目の細かい砥石を使うのがベターかと。
今は3Mからスコッチなど砥石よりも扱いやすいものが出ていますので、古い液ガスなどを落とす用途であればスコッチの#1200くらいにオイルを浸して磨けばクリアランス的にも1000分台くらいしか影響せず良いかと思います。

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ちなみにこのバランサーシャフト側のデッキ部分の面は相当気前よく行ってしまったようで、

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既に面が崩れて凹んでバランサーシャフトのオイルクリアランスも最低なことに・・・。
やればやるほどスタートラインから後退してチョロQならゼンマイが壊れてるんじゃないか?って位にとことん一歩進んで二歩下がるを繰り返していますが、その巻きに巻いたゼンマイを解き放って勢いよく走ってくれるようにする為にも、このV-MAX1200 エンジンの苦難はもう少し続きそうです。。。

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2017年02月28日

至上命題 9sec!! VMAX計画

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前回焼きついてしまったクランクのスペアを準備するために部品取りのエンジンをバラしたVMAX1200ですが、用意した部品取りエンジンから取り出したクランクも程度も良く一安心できたので、今度は今まで使用していたエンジンの仕様を把握して今後の仕様と対策を考えていきます。

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で、作業をする際にいつものようにエンジンスタンドを使用して・・・と行きたかったのですが、V型エンジンだとエンジンスタンドにセットした状態では水平が出せず、4輪のエンジンを整備する時のようにサイドからマウントさせようか・・・とか悩みつつ、エンジンブロックやクランク自体の重量があって下手にマウントするとケースが割れそうで怖いので上手いこと収穫箱にセットして圧縮比の計測を行いますが、このマウントのし難さという部分が後々ネックになる事に・・・。

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そしてシリンダー容積を測って

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燃焼室容積も測って現仕様での圧縮比を確認し、その後部品取りエンジンから取り外したシリンダーヘッドの燃焼室容積も測って圧縮比を算出して比較しつつ、以前のエンジンの大凡の仕様内容を確認したら・・・

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それぞれの部品をパーツクリーナーで洗浄して今度はピストントップに粘土をセットしたら、シリンダーヘッドやカムシャフトをサービスマニュアルを元に規定通りに組み付けて、クランクを回して実際にエンジンが動いている時のそれぞれのタイミングとクリアランスを押し潰された粘土の厚みを測り、その数値を元にどこまで余裕があるか?またその余裕の中で如何に効率を上げる仕様が出来るか?を検討していきます。
※ 前回製作時の仕様や内容など計測した各数値は伏せさせていただいております。

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で、今回10年近く今までの仕様で挑戦してきて成しえなかった0-400m 9秒台入りを達成させる為には清く正しく逞しくみたいな綺麗ごとじゃダメだろうな。と。
普段のオーバーホールとは違う考えでハイリスクでも記録を狙える可能性を求めたレース仕様で行く方向で考えが纏まり、オーナーさんの同意も得られたので早速作業を開始しました。

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で、まず問題となるのが自分はエンジンを作る時にヘッド側単体ではなくシリンダー側も面研する事が多いのですが、今回シリンダーの面研を行うに際してこのシリンダーのライナーの飛び出しが2箇所で0.2mmほどあり、前回製作した際にこの状態で組んだのか? それともエンジンが稼働中に動いてしまったが為に飛び出してしまったのか? が分からずちょっと参ったなぁ・・と。
もし以前の製作時にこの状態のまま組んでしまっていたのであれば、今回の加工自体に問題はなく指定量を面研してもらって終わりなのですが、仮にエンジンが稼働中に動いてしまって飛び出している場合に、エンジン始動後にまた動いてしまって飛び出しを削った分がマイナスとなってガスケットのシール不良を起こす恐れがあるので果たしてどっちだろうか・・・?と。。。
とりあえず内燃機屋さんに送って作業前に一度確認してもらう事にしたのですが、ここでまた問題発生で・・・

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仮にライナーの件がパスできても今度はシリンダー上面より上に突き出ているエンジンマウントが邪魔で面研が出来るか分からないと・・・。
ついでにエンジンケースが長くてライナーを上手くセット出来ずプレスが掛けられないから何とか別の方法で確認してみると^^:

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で、結果的に叩いても動かず、不安要素は残したくないので一度ライナーを抜いて確認してもらった結果、ライナーが専用のボンドで付いていたらしく、その余剰なボンドで若干浮いてしまっていたとの事で一件落着かと思いきや・・・今度は機械にセット出来ないからライナーを圧入出来ないかも・・・とVMAXエンジン恐るべし・・・。で、だから前回製作時に糊付けしたのかもな。と考えつつ、現在山あり谷あり何とか打開策も見つかり順調に高い精度で加工中です^^

akane380 at 04:17|PermalinkComments(12)TrackBack(0)

2017年01月19日

至上命題 9sec!! VMAX計画

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十人十色、人は人で人生いろいろというこちらのマシンですが、昨年の夏頃にずっと不調を引きずりながら騙し騙し挑戦を続け、いつか1/4mile のドラッグレースで9秒台を出したい!というオーナーさんの熱い話の流れからまずはまともな状態で走らせてみましょうとセッティングの依頼で入庫し作業をしたVMAXですが、

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不調箇所も直してセッティングも決まって昨年のアメフェスに一緒に参戦する予定が、ここはダメそうだなぁ・・と事前にオーナーさんに伝えていたウィークポイントにやはり問題が発生してしまい連鎖的にメタルトラブルも誘発して2016シーズンが終わってしまいました。
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で、このVMAXのオーナーさんは自分も参戦している2輪ドラッグのJD-STERに10年近くこのVMAXで参戦されている古株の方で、とにかくこのVMAXで9秒台を出したいんだ!と。しかも制約がありNOSやエアシフターに頼らず純粋なメカチューン+ライディングテクニックだけで9秒台に入れたいという志の高さ^^
自分も目標高く1/4mile での8秒入りを目指してやっているのでハードルは高いに越したことはありませんが、言うは易く行うは難しというやつで、実際10秒切りの壁は自分も12Rで乗り越えてきたので型落ちのマシンで10秒の壁を越えるその難しさは身にしみて分かっています^^:
しかも今回は12Rと同じ1200ccでも基本ベースで60馬力近くエンジンの基本パワーが少ないうえに馬力損失が大きく二次減速比の変更が出来ないシャフトドライブが特徴のVMAXベースでNOSもエアシフターも無しでの挑戦・・・とハードルガッツリ高めでやり応え十分です^^
ただし今回は自分の12Rと違いボアの変更が既にされていて約1400ccまで排気量が上がっていることと、自分のマシンじゃないので正攻法で実験的な作業は行わないので 、今回は今まで12Rで試してきた事の答え合わせ的な挑戦ということで、VMAX1200ベースでNOSもエアシフターも使わない単純にエンジンとライダーのテクだけで目指せ9秒台!こんな感じでオーナーさんと共にやって行きたいと思います^^


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ということで今回のエンジン製作は今までのエンジンを単純に分解して仕様変更をして組み直すにしても現状どこに手が入っているかが分からない事と、ウィークポイントだったシリンダーヘッドやメタルトラブルで死んでしまったクランクなど、それぞれの部品を新品で・・・なんてえげつない事も言えないので程度よりも精度優先で、安い中古エンジンを用意して部品を摘出し、それぞれの部品に必要な内燃機加工を施して部品代や加工費で嵩むコストを出来るだけ抑えて費用対効果が大きくなるよう回す事に。

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それにしてもVMAX1700のエンジンも死ぬほど重かったですが、この1200のエンジンもまぁ重いです^^:
配送伝票の重さが100kgとなっていただけあってハンドフォークが無いと自分には絶対持ち上げられませんw

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で、エンジンスタンドにセットしたら早々にバラしてしまいますが、こちらは部品取り用のエンジンなので詳細など記録せずひたすらバラします。

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で、分解も終わって軽く洗浄したら肝心なクランクシャフトのチェックをして程度も悪くなく一安心^^

そして分解が終わったら各部品の洗浄に入りますが、
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通常、エンジン部品を洗浄する際には始めに油汚れやカーボンを落とす為に洗浄液に漬けて炉の中で煮込んで頑固な汚れを取り除きますが、

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通常ならこのように綺麗になって次の作業へ・・・となるのですが、

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この時代のヤマハのエンジンって塗装の質が悪いというか塗膜が薄くて剥げやすく、既に塗膜がこうなってしまっている場合は確実に洗浄液によって塗装が侵されてダメになってしまうので事前にオーナーさんに了解を得てから洗浄を始めます。

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で、入浴完了の図ですが、やはり塗膜は殆ど侵されてしまいボロボロです。。。

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その後流水にて洗浄液と汚れを洗い流して完了です♪ と行きたいところですが、

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この洗浄時に侵された塗膜が曲者で乾くとパリパリになってしまい、

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少し手で擦っただけでもこれだけの塗膜が剥がれ落ちてきます。。。
なので、このまま使うとこの剥がれた塗膜がオイルに混ざって細かく粉砕されてオイルトラブルを惹き起こしかねないので、今度はこれをアルミ地肌を侵さない剥離剤を使って綺麗に剥がします・・・。

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このように一手間二手間掛けてやっと洗浄が完了です^^
それにしても最近この手の作業に時間を取られることが多いので真面目にウェットブラストを導入しようかと・・・。
キャブレターへのガンコートやセラコートの依頼も徐々に増えているのですが、やはり外側が綺麗になっても内側が経年劣化で汚れているままだと何か少し残念なんですよね^^:
なのでせっかくならトータルで綺麗にしたいなぁ・・・と。
まぁそんなことは追々考えるとして・・・
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固着していたスタッドボルトも抜いてやっと下準備完了です^^

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そして各部品が綺麗になったところで前回製作時にどこに何を行ったかの現状把握も兼ねて各部の計測を行いまして、とりあえず作業の方向性は決まったのですが、こちらのVMAXもあまり聞かない海外ブランドのピストンを使っている関係で部品供給の面で問題あり+内燃機加工の面で多少問題あり。。。と現在それぞれなんとか打開策が無いかと調査しつつ調整中です。
とりあえず作業の進捗状況は逐一オーナーさんに報告していますが、実際の進捗状況の経過報告も兼ねてこれからもちょくちょく記録をアップして行きたいと思います^^

akane380 at 03:54|PermalinkComments(6)TrackBack(0)