FCRキャブレター オーバーホール

2021年08月11日

順次発送中です。

Tokyo2020 オリンピックが終わってしまいましたね。。。
ギリギリまで本当に開催するのか?ってくらい盛り上がりの無い雰囲気でしたが、結果的に己の肉体の限界に挑む選手達の活躍に感動して、己の利益追求の為に中間搾取の限界に挑んだ組織側に落胆する自国開催のオリンピックでしたが、中でも悲しかったのがオリンピックを迫力ある映像で観たくて65インチのテレビを買ったのに、1番楽しみだったサーフィンがネットのLIVE配信のみでテレビで観れなかったというw
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そんなこんなでオリンピック開催期間中は時間が有ればオリンピック中継を見ていたので作業の進みが若干悪かったのですが、

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何とかお盆休み前に納品予定だった分のキャブレターO/h作業最終組も順次チェック後に発送を行って参りますので、今しばらくお待ちください。

そして先日3機目のショーバイク用のBlack FCRキャブレターを製作させて頂いたBlack Paradeさんですが、8日のJOINTS CUSTOM BIKE SHOW で見事新作バイクが受賞をされたとの事でおめでとうございます♪
オリンピックにしてもショーにしても、皆さん挑戦する事があって本当に羨ましいです。
自分も早く次の目標目指してチャレンジャーに復帰したいですね^^





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2021年06月05日

FCRキャブレターのご先祖様救済

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こちらの画像は少し前にもアップさせて頂きました製作前のビフォーと、

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アフターの画像ですが、

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一機だけ見た目が変わっていないこちらのFCRキャブレターはオーバーホールのご依頼で入庫した個体で、


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加速ポンプのリンクレバーがデュアルで装備され、

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加速ポンプの噴出量をジェットの変更で調整出来るという非常に個性的な仕様をしているこちらのFCRキャブレターは、Kawasakiから25年前に発売されたZX-7RRに純正採用されたFCRキャブレター(FVKD41)となります。

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このZX-7RRで採用されたFCRキャブレターが改良されて現在の汎用FCRキャブレターへと進化していったはず(自信なし)ですが、当時はTPS的な開度センサーに単純なマイクロスイッチ(ON / OFF機能のみ)を採用していたり、現行のFCRキャブレターと寸法の違う箇所なども多々あり、普段作業をしているFCRキャブレターとの違いなどを探しながら興味津々に作業を行わせていただきましたが、微妙に寸法の違う部品の調達などで若干手こずってしまいました。

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そしてこちらのFCRキャブレターは今回ご依頼いただく前に、8耐などにも参戦している有名なショップさんで一度オーバーホールをして頂いたそうで、その作業から戻ってきたらアイドリングが不安定で元の状態より更に調子が悪くなってしまったとの事で、今回はセカンドオピニオン的な形で気になる症状などの話を聞いた上で、そのショップさんでの作業時に非分解部分のOリングを痛めつけた事が原因と踏んで、下記の方法にて非分解部分の状態を確認する作業からスタートとなりました。



非分解部分のOリングの確認方法は下記の動画で紹介をしています。
    ⇓             ⇓
     


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そしてチェックの結果、やはり非分解部分のOリングがダメになってしまっている事が確認出来たので、現状を動画にてオーナーさんに伝えた上で、改めて非分解部分の分解を行わせて頂きましたが、やはり前回のオーバーホール時に市販のキャブクリーナーなどを使用してしまった事で、逝きかけていた非分解部分のOリングにとどめを刺してシール性を失ってしまった事が不調の原因でした。

オリジナルOリングセット
という事で、貴重なZX-7RRの純正FCRキャブレターを救うべく、オリジナル製作してラインナップしている高耐久なOリングキットを投入して復活をさせますが、


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細かな作業内容は下記URLにて細かく紹介をさせていただいておりますので今回は端折ります。





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25年前に生産されたキャブレターを綺麗に復活させるべくウェットブラストなどを使用して綺麗に整えて、

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消耗部品などを交換して組み付けたらFCRキャブレターのご先祖様の復活です♪
組み付け後に新品のキャブレターと並べてみましたが、25年前の当時と遜色ないレベルで仕上げる事が出来たのではないかと思います^^

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そして納品からしばらくしてオーナー様よりご連絡を頂き、元々気になっていた部分や調子が悪くなった部分なども含めて全て快調に気持ちのいい乗り味になったとの事で、貴重なZX-7RRを蘇らせる事が出来て一安心すると共に、貴重な体験をさせて頂き誠に有難うございました^^





akane380 at 03:08|PermalinkComments(2)

2021年02月06日

FCRキャブレターのオーバーホール作業のご紹介

こちらの記事ではFCRキャブレターのオーバーホールに関する記事をお伝えしますが、DIYで作業をされる方の参考になれば良いかな?と、いざ記事にしようとしたところ、作業時に文章に合う画像を撮り忘れている部分が多々ありましたので、その部分にはイメージとして他の作業時の画像を使用しておりますのでややこしかったらすみません。

作業内容としましては、

工程1.分解
工程2.洗浄
工程3.交換部品の選定
工程4.交換、修正
工程5.調整、組み付け
工程6.作動チェック


という流れになります。

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今回はこちらの15年ほど使用されたFCRキャブレターに、ペイント作業(セラコート処理)とオーバーホール作業を同時にご依頼頂いた作業内容を中心にお伝えします。

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まずは分解ですが、セラコート処理の場合にも通常のオーバーホール作業のみの場合でも一度全ての連結をバラシて、割れ、欠け、曲がり、錆や腐食などが無いか、それぞれの状態を確認します。
この時に各スクリュー類のセッティングデータを記録しておき、組み付け時に元の状態のセッティングでお返し出来るようにします。
※ ただし、エア通路などの詰まりが解消した事でセッティングが変わる場合もあります。

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そして分解が終わったら消耗部品などの交換が必要かをチェックしますが、スロットルバルブ周りやボディの摩耗など大きな場所は肉眼でも確認が出来るのですが、細かなジェット類の片摩耗など肉眼では見落としがちな部分をしっかりとチェックできる様、簡易的な電子顕微鏡を使用して一点ずつ細かにチェックを行います。

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そして洗浄を行いますが、キャブレターをオーバーホールする際には一般的にはキャブレタークリーナーを使用しますが、うちでは余程な事が無い限りキャブレタークリーナーなどのケミカル類は使用せず、基本的に油落し用のハンドソープを使用して水洗い後に超音波洗浄機でクリーニングを行って、

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リンス後に焼き付け乾燥炉で水分を飛ばして洗浄を完了させます。

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仮にエア通路や燃料通路に強固な詰まりや固着が有った場合には、非分解箇所を分解して、その時々に合った対処方法で問題を解決します。

非分解箇所のオーバーホールの作業手順は下記URLの記事にて紹介しております。
http://secretbase-racing.com/archives/2020-04-21.html

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また、非分解箇所の分解時には非売品のOリングや加速ポンプのワンウェイバルブなどが必要となりますが、シークレットベースレーシングとして純正よりも良い素材でオリジナル制作したOリングキットを対策部品として用意し、それらを使用して純正よりも耐久性を上げた仕様で復活をさせます。

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そしてペイント作業を含む場合にはそれぞれご希望の仕様に合わせて1点ずつ細かな塗り分けなどを行い、

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洗浄やペイントが仕上がって組み付け作業に移りますが、スロットルシャフトのベアリングも状態が悪い場合には数百円と安い物なのでこの機会に交換をお勧めして、

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オーナー様の了承が得られれば新品に打ち換えをし、

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打ち換え後にメーカーが推奨しているフッ素グリスのバリエルタをベアリングに塗付けしておきます。

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そしてベアリングの交換が終わったら、スロットルシャフトを引き抜くと大抵このような残念な状態になってしまって役目を終えてしまうか、

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はたまた既に役目を終えてしまっている事の多いフェルトの防塵リングですが、

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こちらのフェルト製のOリングも非売品となる為、夜な夜なコツコツ打ち抜いて対策品を自作し、

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常に良い状態に戻せるよう対策をしています。

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このフェルトのOリングの交換方法ですが、マイナスドライバーなどで画像の金属リングを外して入れ替えをします。

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こちらは交換後になりますが、スロットルシャフトを差し込む際に強く当たりをつけてしまうと直ぐに潰れてしまうので注意が必要です。

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そして基本的な消耗部品は再生に必要な定番処をメインに常に数セット分用意しており、

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これらの専用品はメーカー純正を使用しますが、

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規格物のOリングなどは、より耐久性を求めてフッ素系の材質のOリングを使用して組み付けを行います。

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また、最近ではFCRキャブレターのボディ自体も台湾製のコピー品が安価に出回っておりますが、そのグループ経由かは分かりませんが、ネット通販などで純正の1/5ほどの値段で売られているフロートパッキンなども一度試しに使用してみた所、材質が悪く一度の使用でガソリンに侵されてゴムが溶けてフロートからガソリンが滲んできてしまうなど、信頼性に乏しい仕様だったので割高でも純正のOリングを使用しております。

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また、悲しい事に社外の安価なOリングを純正として売っている場合もありますので、見分け方としましてはOリングの線径が若干太く、ゴムらしい弾力が少なく、画像のように一部をつまんで持った際にふにゃっと形が崩れない(硬い材質)のモノは偽物の可能性がありますので、注意が必要です。
※ 自分の購入した格安品は、ガソリンに侵される ⇒ デロデロに溶ける ⇒ フロートを分解してガソリンが気化するとパキパキに硬化してプラスチックのようになって再利用不可という代物でした。
薄利多売が基本だから仕方ないのかもしれませんが、折角高価な金型を作ってまで複製するなら良い材料で良い物を何故作らないのか? いつも中華系部品は謎です。

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こちらのラージボディ用のトップキャップのガスケットですが、パっと見はどちらも同じサイズ形となりますが、

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ボアサイズで2種類の厚みが用意されていますので、41亰造砲論賤僂離汽ぅ困諒を使用して組み付けます。
※ この41mm径のみ厚みの違う設定が用意されている理由ですが、元々FCRキャブレターの基本設計が確かカワサキのZXR750向けに開発されて、その後汎用レーシングキャブレターとしてバリエーションが増える中で、元の基本設計よりも大きな口径となる41亰造砲靴浸で、スロットルのリンクアームがセットする仕様によってはトップキャップと干渉してしまう恐れから、若干ガスケットの厚みを増して対策とした為だそうです。

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余談と言いますか、クイズですが、このトップキャップのシートガスケットには裏表(方向性)が有るでしょうか?

A. 画像左の色の濃い方が上を向く
B. 画像右の色の薄い方が上を向く
C. そんなの関係ねぇ〜!     


答えは・・・





Cの「そんなの関係ねぇ〜!」が正解ですが、今まで2回ほど組み付けの向きが逆とクレームを言われて困った事が有りますが、どうも色の濃い方に接着剤が塗られていると思われている印象でした。
※ 表裏関係無しはメーカーに確認を取っての見解ですが、一応組み付け時には濃い方を上向きに揃えて組んでいます。

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そして真鍮部品などの汚れは・・・

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ウェットブラストを使用して・・・

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綺麗にクリーニングを行います。

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話が長くて申し訳ないのですが、ジェット同様、バルブシートにも細かく種類があります

FCR-バルブシート
ヤマハのXJR1200用のFCRキャブレターの口径が41mm径の場合にはバルブシートは#3.8の物が使われているハズですが、同じヤマハのV-MAX1200の41mm径では画像のように#2.0と流量の小さい物が使用されています。
カタログ値98馬力のXJR1200よりもカタログ値で約1.5倍の145馬力を発生するV-MAX1200の方がバルブシートの穴径が小さい(流量が少ない)のは何故か?
これはV-MAXは燃料ポンプで燃料を圧送し、常に燃料に圧力が掛かっている為、ガソリンタンクから自然落下で供給されるキャブレターよりも流量を絞る設計になっているために#2.0と小さなバルブシートが採用されていますので、ここを闇雲に大きくしてしまうとフロートの浮力が負けてちょっとした振動やGなどでオーバーフローを引き起こし易くなってしまいますので、DIYなどで交換の際にはご注意ください。

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また、バルブシートに刺さるフロートバルブですが、こちらは大と小という画像の2種類がラインナップされていますが、この大と小とはキャブレターのボディサイズの事では無く、バルブシートの穴のサイズ(小:#1.4〜#2.6 大:#3.2〜#4.0 )を指しておりますので、量販店などで1種類しか置いていない時などにはそれが自分の欲しいサイズか注意が必要です。
ご自身のバルブシートが大なのか小なのかを調べるには、バルブシートをチェックして、画像の右側のように外形が六角形であれば「大」、円形であれば「小」となりますので、そこを見れば判別が可能です。

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そして交換部品の選定などが済んだらやっと組み付けの時間ですが、組み付け時の同調は機械同調(単純に各気筒を揃える)で揃えますが、エンジン側のコンディションによって同調のセットが変わってしまいますので、最終的な本調整は車体に取り付け後に行ってください。

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また、分解時にしか交換の出来ないリターントーションコイルスプリングは各荷重を用意しておりますので、ご希望の場合には部品代のみの追加で交換が行えます。

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そして今回のキャブレターボディは15年選手という事で、オーナー様が用意をしてくださった共立工芸様のSEPベアリングガイドを組み付けて仕上げを行います。

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そして組み立てが完了しましたらオーバーフローなどの確認を行って、

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加速ポンプなどの動作確認も済んで問題が無ければ・・・

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作業終了で、完成写真を撮ってオーナー様の元にお返しです。
お問い合わせの多い費用についてですが、通常のオーバーホールで1気筒辺りのコストは7,000円となりますので、7,000円×気筒数+交換した部品代となります。
セラコート処理(ペイント)をご希望の場合には1気筒辺りのコストが仕様によって変動しますが、4気筒の場合に13,750円〜20,500円となります。
※ とんでもない仕様の場合にはこの限りでは御座いません。
部品などの持ち込みにも対応いたしますので、webikeなどでポイントを貯めておられる場合などには、こちらで選定した部品をオーナー様に購入していただいて、送り先住所をこちらにして頂くことで、ポイント分安く済ませる事が出来ますので、各ポイントなどをご利用いただきたい場合などにはその旨をお伝えください。

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ということで、次回は純正キャブレターのレストアの流れをご紹介したいと思います。





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2020年04月21日

FCRキャブ 非分解箇所+加速ポンプ オーバーホール手順

今回はFCRキャブレターの加速ポンプワンウェイバルブの交換手順の説明と、数をこなして個人的に確立したFCRキャブレター非分解部分の分解方法+失敗しやすい注意点をご紹介します。

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数年前から消耗品扱いとなっていた高価なFCRキャブレターを再生させようとFCRキャブレターの非分解箇所のオーバーホールを目的にオリジナルで制作した高耐久なOリングのセットと加速ポンプ部分の補修用のワンウェイバルブの販売を行っているのですが、購入して頂いた方には発送の際のメールにて説明を添付しているのですが、ある程度の作業数をこなすうちに作業手順の精度も上がって作業難易度を下げる事が出来ましたので、

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これならD.I.Yで作業を楽しむ方でも難なく作業が行えるのではないか?という事と、以前からショップ様からもご依頼のお問い合わせを頂く事もあり、これらの作業をショップ様ご自身で行っていただくことでショップ様毎の利益性と作業の幅が広がるのではないか?ということで、こちらで試行錯誤して確立した作業手順と気を付けるべきポイントをシェアするべく作業手順をご紹介をしておきます。
※ あくまでも一個人の経験に基づいた内容ですので参考程度にお読み下さい。

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まず今回の話の元となる加速ポンプの不調ですが、症例として画像のように加速ポンプが不調で一か所だけ噴出しなかったり、噴出量に明らかなバラツキがあったり、
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青線で印した部分にステッカーが貼られる枠の無いタイプの初期型のFCRキャブレターではワンウェイバルブの栓に樹脂製の物が採用されているのですが(現在は真鍮製)、その樹脂の栓が中で動いて圧力損失を起こしていたり作動不良を起こしていたりと、気筒間でバラツキが生まれて燃焼具合に不具合をもたらしている個体が多く存在しています。

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そのような時に本来分解整備が行えないFCRキャブレターの非分解部分の分解とワンウェイバルブの交換を行う事で、高価なキャブレターを再利用する方向で分解修理をする内容をこちらに記載しておきます。

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まずOリングのセットを購入して頂いた際にお問い合わせをいただくこのネジ穴を塞いでいる黄色い物体ですが、

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マイナスドライバーなどでカリっとコジれば簡単に取れます。

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そしてこの非分解箇所の分解で作業の成否を分けるのは六角レンチの使い方で、単純にネジを舐めずに緩められるか・・・に作業の全てが掛かっています。
そのネジを緩める際に失敗する原因の殆どは六角レンチのボールポイント側を使ってしまう事による部分が多いので、

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使用する六角のサイズは2mmと2.5mmの2種類なので、単品で購入しても差ほど高くはありませんので必要であればホームセンターでストレートタイプを用意して作業に挑んでください。

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ちなみにこの手の安くてお得工具は精度が出ていないものが多いのでお勧めしません。※ 経験談

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特にここのネジを舐めると本当に面倒くさいので注意してください。
舐めた場合には六角レンチを買っといた方が全然安上がりだった。。。と後悔するくらい費用と時間が掛かるかと思います。

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理想としてはショートタイプの六角レンチがあればベストですが、

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仮に通常の六角レンチを使用する場合に横着をして画像のようにネジ穴に対して斜めに六角レンチをセットして回そうとしないでください。

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必ずネジ穴に対して垂直に六角レンチを立てて緩めてください。

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念のため、非分解部分を分解するのに取り外す必要のあるボルトは2か所の計4本となります。
順番としまして2.5mmのボルトを先に緩め、非分解部分の分離後に2mmのボルトを外します。

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そして2.5mmの2か所のボルトを無事に外したら非分解部分を接着している金属パテの剥離ですが、以前まではフロート側を少しずつ叩いて剥離をしていましたが、稀に硬過ぎてフロートが割れてしまう大失敗を経験して頭を抱えたりで、もっと確実に安全な方法は無い物か?と考えてその都度試した結果、現在では剥離をする際に青マルで示しましたポイントを叩いて剥がすと比較的安全で簡単に剥がせる事が判明しました。

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イメージ的にはこのような状態で叩く感じで、

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インパクトを与えやすいように鉄の小さなハンマーでコンコン(力小)〜カンカン(力中)と左右を交互に叩いて、間違ってもガンガン(力大)で引っ叩かないでください。
また剥がれた際にフロート側が飛ばないように画像のように片手で支えておいてあげてください。

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ちなみに格子部分では絶対に叩かないでください。
格子が割れて一瞬でキャブがジャンクになって再起不能となりますので。。。

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そして接着部分が剥がれたらフロート側から格子を留めているボルトを2mmの六角レンチを使用して取り外しますが、こちらのボルトが本当に舐め易いのでボールポイントを使用せず、垂直に慎重に緩めるよう注意してください。

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もし指の力だけでは硬くて回らない場合には画像のようにプライヤーなどで六角レンチを掴んで、ネジ穴側に力を押し付けながら舐めないように時計の反対方向に回して緩めて下さい。

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こちらのボルトは仮に舐めてしまっても比較的簡単に取れますので、舐めてしまった場合にはドリルで頭を飛ばして、

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ネジを除去してください。

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そして加速ポンプワンウェイバルブの交換ですが、新しい栓に交換する前に旧式のFCRキャブレターに採用されている樹脂製の栓を抜く必要があるのですが、

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適当に先の尖った画鋲とライターなどを用意していただいて、画鋲などの先端をライターで炙って熱を持ったタイミングで・・・

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グサっと樹脂栓に突き刺してから冷めた頃にスポっと抜けば画像のように取れます。
※ 現行タイプの真鍮製の場合にはドリルで揉んで削り取る必要があります。

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※ ワンウェイバルブの構成部品は非常に細かい部品ですので一度見失うと探すのが困難とまります。 作業をされる場合には落としても見つけやすい室内などでの作業をお勧めいたします。
※ 当方がリリースしている真鍮栓の凸状の突起は差し込み方向を分かり易く示す為の物で、スプリング内径よりも細径仕上げとなっております。
凸部分にスプリングを刺して反対にすると脱落しますので、穴にセットする際には個別にセットをしてください。


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そして スチールボール ⇒ スプリング ⇒ 真鍮栓 の順でセットをしたら・・・

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ピンポンチなどを使用して打ち込みを行います。

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打ち込む深さは画像の線の位置まで入っていれば問題ありません。

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ちなみに非分解部分を剥離する時や栓を打ち込む際にピンポンチなど専用の工具が無い場合には適当なボルトなどで代用も出来るかと思います。

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あまりお勧めはしませんが、もし自分が何も無い状況なら使えるモノを代用して作業を行うと思います。

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そして非分解部分を分解した時にしか掃除の行えない加速ポンプジェットの清掃も忘れずに行って、

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穴の詰まりなどをチェックしますが、

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もし専用の道具が無い場合には画像のような配線の切れ端を使ってそれぞれの太さに合わせたモノを代用として作れますので、無ければ有るものを使って作業を行ってください。

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そして以前に非分解部分の分解記事を書いた際には接着されていた金属パテは触らずにそのまま液体ガスケットを少量塗って組み付けてくださいと書きましたが、この金属パテは画像のようにカッターの刃で削ぎ落すと綺麗に剥がれる事が分かりましたので、出来るだけ切れ味の良いカッターの刃を使用してキャブと金属パテの間にカッターの刃を切れ込むようにして金属パテを剥がしていってください。
※金属パテが綺麗に剥がされていても剥がされていなくても性能に変わりはありません。

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またボディ表面はウェットブラストなどが無くても、金属ブラシでゴシゴシ擦れば綺麗になります。

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ちなみに金属パテの除去ですが、ボディ側は凹状に詰まっている分は無理に除去しなくても良いと思います。

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ということで綺麗になったら・・・

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Oリングをセットして分解時の逆手順で組み付けを行いますが、

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ダウンドラフトとホリゾンタルではOリングの形状が若干異なりますので、

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ダウンドラフトで当方のオリジナルOリングを使用の場合には画像の点線部分でカットして使用してください。

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参考までに組み付け時に接合面に使用している液体ガスケットはパーマテックスのモトシール1という耐ガソリン性の強いモノを使用していますが、個人の方でそんなに大量に必要ないという場合にはバイク量販店で売っているDAYTONAから出ている「耐ガソリン液状ガスケットグレー10」という商品が中身はパーマテックスのモトシール1と同じだと思うので安くて少量で使い勝手が良いかと思います。

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そして綿棒などを使って薄く塗付けて組み付けを行い、

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全てのネジを締め付ければ完成です。
※余談ですが、ボディ内部のガイドローラー部分に摩耗が見られた場合には協立工芸様が販売しているSEPベアリングガイドを使う事で問題を回避する事が出来ます。


2020.4/26 補足1.

下記動画にて非分解箇所のOリングが劣化して傷んでいるかのチェックを簡易的に行う方法をご紹介しておりますので、非分解箇所の修理をご検討の際には一度ご確認をしてみてください。



補足2.

稀に非分解部分のOリングを交換後にアクセルをガバっと開けるとエンジンがストンと止まってしまうようになった事でトラブルや組み付けミスか?と心配になってご連絡を頂くことが御座います。
その現象はガソリンが漏れていたり滲みなどを起こしていたスロー系が正常に戻った事で低回転時のガソリンの供給量に変化が表れたためにセッティングにズレが生じた事によるセッティングの変化が原因です(多くの場合は燃料を薄くする方向で修正します)ので、スロー系のリセッティングをお願いします。


akane380 at 06:05|PermalinkComments(13)

2020年03月17日

FCRキャブレター 他 オーバーホールとペイントについて

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普段よりセラコート処理に関するお問い合わせを頂く中でキャブレター制作に関するお問い合わせも多く頂くので、よくある質問に答えつつ作業の流れなどを紹介する説明をアップしておきます。

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まず多いのが中古のキャブレターでも制作出来ますか?という内容と、個人でも作業の受付はしていますか?という内容ですが、キャブレター制作のオーダーはショップ様、個人オーナー様問わず、また中古ベースでも新品ベースでも画像のような分解ベースでも施工は可能です。

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キャブレター制作時には新品中古品関係なく、分解出来る部分は全て分解をした上で、一つ一つの細かな部品も全て施工対象として希望される仕様にてハンドメイドで個々に合わせて制作を行います。

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割れやクラック、致命的な欠けなどボディ自体の程度が悪くなければ新品ベースでも中古ベースでも仕上がり自体は基本的に変わりませんのでご安心ください。

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また中古のキャブレターをベースとした場合にこちらで施工前に各部のチェックをしまして、制作しても本来の性能を発揮出来ないような著しく状態の悪いキャブレターに置きましては施工費用が無駄となってしまいますので作業をお断りするか、当該箇所の修理が可能な場合にはオーナー様とご相談の上、修理等を行って再生などの作業を追加して行っております。

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実際の作業の流れとしまして、

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分解時には各部の変形や消耗具合を目検に頼らず電子顕微鏡を使用して状況診断を行い、

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分解後に洗浄と空焼きをして・・・

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消耗部品や変形などが見られた場合には・・・

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予算などを打ち合わせの上、許される場合には新品部品への交換を行います。
※消耗部品などパーツの持ち込みも歓迎ですので、交換パーツを既にお持ちの場合にはキャブレターと一緒にお送り頂ければ組み付け時に新品に交換をして組み付けを行います。

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また通常のO/hでは分解しないメーカー非分解部分も結構な割合で内部のOリングにダメージを受けている個体が存在するので、必要な場合には分解をして、

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不良個所の修正や長年の汚れをウェットブラストを使用して艶出しも兼ねた洗浄を行った上で、

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シーズンオフや定期的なメンテナンスの際に強力な洗浄剤を使用してガンガン洗浄しても純正のようにOリングがヘタレないよう高耐久な対策素材でオリジナル制作した専用のOリングKitを使用して組み付けを行い、純正よりも高耐久な仕様で復活させます。

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そして非分解部分の組み付けが完了しましたら・・・

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各キャブレターに合わせた専用のマスキングKit を使用してブラスト処理を行って、

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ブラスト後に超音波洗浄機にて入念に洗浄を行い、再度焼き付け乾燥後にコーティング作業へと移ります。

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そしてご希望の各仕様に合わせてセラコートやガンコートを駆使して細かな部品の一点一点にコーティング作業を済ませたら・・・

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各部を調節しながら元の状態のジェッティングにて組み付けを行い、組み付け後にオーバーフローのチェックと、

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加速ポンプの状態などをチェックして問題が無ければ完成です。

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そして先行しているキャブレターの作業が完了する頃合いに次の予定のキャブが入荷して作業を開始して、

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完成した頃に・・・

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また次の作業の入庫が・・・という感じで作業の受付は予約順となっております。

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また、キャブレター制作はFCRキャブレターやCRキャブレター以外にもハーレーで多く使われているHSRキャブレターなども全て分解のうえで、

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専用のマスキングKit を使用して一点ずつ塗分けを行って制作をします。

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FCRキャブレターなどに限らず他のキャブレターでも新品中古品関係なく施工対象となりますので、画像のようにヤレていても、

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施工後は新品ベースと同様外見の見た目は基本的には変わりませんので、機関が良好なら現在ご使用中のキャブレターベースで全く問題無いかと思います。

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またキャブレターの制作作業は全てハンドメイドで一品モノに近い作業となりますので、画像のような取り扱い実績の無い古いハーレーのショーバイク用のキャブレターでも、

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出来る限りご希望の仕様で仕上げられるよう作業を行っております。

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そして上で紹介しました古いハーレー用のキャブレターを装着したシュアショットさん力作のHRCSベストアワード賞獲得マシンが先日発売されたVIBES誌のカバー車両になっており、
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キャブレターと共に施工させて頂いたハブとブレーキが一体の非常に高価な足回りなども含め、詳細はVIBES 4月号にてご覧いただけますので宜しければ仕上がりの参考程度にご覧ください^^
という事でこの辺で終わりにして、次回はFCRキャブレターの加速ポンプの交換手順の説明記事を紹介しようかと思います。

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最後に各作業は完全予約制で常に予約順に作業を開始しておりますので、その都度作業に取り掛かれるタイミングや納期が異なります。
イベントなどが控えている場合にはお時間に余裕を持って事前に secretbase-racing@nifty.com までお問い合わせ頂ければと思いますのでよろしくお願いいたします。

akane380 at 04:00|PermalinkComments(4)

2017年10月27日

FCRキャブレター フルオーバーホール



2020.4/21 更新
最新の分解情報あり

検索サイトなどからこちらの記事に辿り着いた場合には最新の分解方法を紹介した2020年の記事が御座いますので、下記URLをクリックして最新の分解〜組み付け方法をご覧ください。


最新の非分解箇所の分解方法は下記URLにて公開しております
  ⇓         ⇓          ⇓



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FCR非分解Oリング補修用
前回の記事でこの度Newアイテムとしてオリジナル製作しましたFCRキャブレターの非分解部分のOリングを紹介させて頂きましたが、ありがたい事に今回も不良在庫にはならずに済みそうな勢いでお引き立てならびにお問い合わせを頂いております^^

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そこで本当はこのOリングセットにさらに組み付け時の注意点などを記載した簡単なマニュアルを製作して付属させたかったのですが、それらの製作作業が全く追いつけていないので、取り急ぎ購入して頂いたオーナー様達向けに急遽ここの記事を使って説明ページとさせていただきます。

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まず、この非分解部分は元々メーカーサイドでバラせないようにしっかりと金属パテで接着されている部分ですので、留めてある2本のネジを緩めても簡単には分解する事が出来ません。
今回も分解が出来ないと何件かご相談を頂きましたが、ここは個体差があり簡単にパカっと分解出切る個体もあれば、全然ビクともせず頭を悩ませる個体もあります^^:
そこでここ最近数をこなすようになって何となくコツが掴めてきたので参考程度にこの非分解部分の成功率の高い分解方法をご紹介します。

分解3
まずこれは絶対にやらないで頂きたいのですが、金属パテの接着が剥がれないからと画像のように分割部分にマイナスドライバーなどを挿し込んでテコの原理で無理矢理キャブボディを分解しようとすると簡単にキャブレターが割れてしまい再起不能となってしまいますので、この手の荒業だけは絶対に行わないでください。

分解1
分解時のポイントとしては、画像〇部分のフロート部分を浮かせた状態で傷が付かぬよう脚などで固定して、

分解2
キャブレターに攻撃しないようハンマーの柄など丁度良いサイズの木の棒を画像のように角の部分に接着面に対して平行に当てて、ドアをノックする時くらいの力加減で軽くコンコンと叩くと比較的簡単に分解する事が出来ます。
※ キャブレターボディは鋳物ですので強く叩いてしまうと簡単に割れてしまったり変形しますので、もし簡単に外れなかったとしても焦らず急がずに地道に作業を行ってください。
※ ダウンドラフトタイプはここのネジ穴部分が肉薄で弱いのでご注意ください。


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また、格子を留めている六角穴付きボルトの取り外しですが、ここのボルトはネジのロック材を使用していますので緩みにくく、更に小さい事もあってボールポイントタイプの六角レンチを使用すると簡単にネジ穴を舐めますので、六角レンチで取り外す場合にはストレートタイプを使った方が無難かと思いますが、それでも高確率で舐めます^^:
ですので作業をする際にはOリングのセットに代えのネジも2本セットにして入れてありますので、ネジの頭をドリルで飛ばして分解した方が速くて楽かと思います。

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その際に注意して頂くことは頭を飛ばしたネジを取り除く際にペンチなどでボルトを掴む分をしっかり残しておいてください。

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気分良くこの掴む部分も全て削り去ってしまいますと非常に厄介な事になりますのでご注意ください。

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そして組み付け時にはOリングを新品に交換後、中強度のネジロック材を使用してしっかり固定してください。

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そして今回ご依頼いただいたキャブレターは磨耗してクリアランスが広がっていたベアリングも交換するのでこのタイミングで抜き取ってしまいます。

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ここまでが分解時の注意点となります。
※ それぞれ元通りの組み合わせで組み付けられるように気筒毎に番号を振って元々のペアを見失わないようにしてください。

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そして組み付け前に長年の汚れをウェットブラストを使ってしっかり洗浄しますが、真鍮ブラシでゴシゴシ磨いても古い汚れが落ちて綺麗になると思います^^

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この時に金属パテを除去したり削ったりしないでください。
接合面に金属パテが残っていると気分的に気になるかもしれませんが、この金属パテの凸凹がカチ割りの役目を果たし元の位置で組み付ける際に重要になる事と、この金属パテを中途半端に除去した場合には接合時に噛み合わず隙間が出来てしまい、2次エアの問題や水平が崩れるなどの問題が発生しますので、各気筒でのペアをしっかり合わせる事と共にご注意ください。

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そして作業の方はウェットブラストのメディアと直接洗えないポート内の汚れを落とす目的で超音波洗浄を行い、

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洗浄後は流水でリンスをした後、エアブローをして焼付け乾燥炉で一定の温度で空焼きをして水分を飛ばします。

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その後は分解した逆手順で組み付けですが、この非分解部分のOリングには液体ガスケットなどは塗らずぞのまま組み付けてOKですが、

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キャブレター側の接合面には2次エアの防止で液体ガスケットを本当に相当薄く、これで本当に大丈夫かな?と心配になる程度の量で十分ですので、非常に薄〜く伸ばして塗付してください。
※ 元々塗られていた金属パテで接合面には殆どクリアランス(隙間)は生まれませんので、塗り過ぎてしまうと漏れ出て違うトラブルを生みますのでご注意ください。

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また塗付の際には幼児用綿棒(大人用の一般的な綿棒だと毛羽立ってしまいますが、幼児用は毛羽立ち難いのでお勧めです。百均などでも購入できます)で塗ると楽に薄く均一に塗ることが出来ます。

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そして液体ガスケットを塗ったら直ぐに合体させてネジで固定し、あとはこの状態で液体ガスケットが固まるのを一晩待ってから組み付ければ完成です♪
以上で非分解部分のOリングの交換作業は終了です^^

もしOリングの件で何か分からない事や上手くいかない事がありましたら

secretbase-racing@nifty.com 

までお気軽にご連絡をお願いいたします。


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で、今回は外見も生まれ変わらせますのでペイント作業を行って・・・

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組み付け前にベアリングもバリエルタを塗った新品に交換しまして、

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全て組み付けて各部の作動やオーバーフローなどの漏れ、滲みのチェック全て問題がなければ作業終了です^^

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入庫当初は圧漏れでバラついていた加速ポンプも気筒間でのバラつきも改善して復活です♪

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そして今回作業をさせていただいたFCRキャブレターは4AG E/g を積む4輪のAE86にて使用されているモノで、販売元はサーキットでの周回アタックなど、4AGでは有名なSS-WORKSさんで自分も一台目の86に乗っていた時に喉から手が出るほど欲しかったKit ですが、前回SS-WORKS製のFCRキャブレターを作業させて頂いた時にも普段思いもよらないような部品がオリジナル製作されていて流石だなぁ・・・などと思っていたのですが、今回の個体には真鍮から削り出した真鍮製浮動バルブが組まれておりました。。。
この真鍮の前にはチタン製やステンレス製も製作して試していたとの事で、4輪の先輩方の性能に対する拘りに改めて驚かされました^^:

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ということで不調発覚〜Oリングの製作にペイント作業などでだいぶお時間を頂いてしまったこちらのFCRキャブレターも来月のサーキット走行に間に合うよう無事に完成しました^^
見た目意外に性能面でも吹け上がりと踏み返した後のレスポンスが以前と比べ物にならない位に良くなったとの事で喜んでいただけて本当に良かったです♪

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そしてもう一機、だいぶお疲れ様な状態だったこちらのハーレー用のFCRキャブレターも・・・

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内外ともに心機一転生まれ変わりました♪
以前だったら申し訳なくも諦めていた不調FCRをこうして元気にすることが出来るようになってオーナー様にも喜んでいただけて本当に嬉しく思います^^
他にもまだまだこんなモノがあれば良いのになぁ・・・な作ってみたいオリジナルパーツも沢山あるので、また新たに製作したらご紹介いたします。

akane380 at 03:28|PermalinkComments(11)

2017年10月19日

FCRキャブレター用 非分解箇所 OリングKit 完成♪

先週末はいろいろなレースが行われてPC画面の前から離れられませんでしたね。WTAC1
WTAC
特にオーストラリアのシドニーで行われたWTAC ( World Time Attack Challenge ) の舞台でエスコートの塩原さん率いるTeam エスコートとドライバーの安藤さんが国内で仕上げた車両を現地に送りタイムアタックに挑戦する姿をライブ配信で見ていたのですが、初参戦ながら数年前の大会で他のチームがプロのドライブで記録したトップタイムを大きく上回るタイムで終えるあたりは流石でした。
国内では長谷川さんの跡を継いだHKSが筑波最速奪還50秒切りを目指して開発中のHKS GTS800も登場しそうですし、メーカーの威信を掛けてアンダー鈴木さんの記録した50.746秒を一気に捲くるのかも気になりますし・・・来期に向けた安藤さんの大暴れも楽しみで嫌いな冬の唯一の楽しみな Attack 2018シーズンがいまから楽しみです^^



で、そんな華やかな世界の話から細々とした話に内容は変わりまして・・・というか、本当は8月の後半に夏休みの宿題とか言ってご紹介しようとしていたネタなのですが、
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ここ最近安定的に作業の依頼を受けておりますキャブレターのペイントサービスですが、普段作業を受ける際に入庫するキャブレターはどれもこのような新品ばかり・・・ではなく、

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ご依頼の半分近くがだいぶお疲れな状態で、分解ついでに消耗品の交換も兼ねたリフレッシュも兼ねて入ってくるのですが、

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中にはここまでいってしまった個体のご相談などもあったりで、

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当初これは流石に無理では・・・という感じだったのですが、ご依頼主様が東北の方で、新品が買えるくらいの予算が掛かるかもしれないのにこの状態の物を直す事を望まれているということは余程の思い入れが・・・と、こちらも全力で応えられるように急遽前倒しをして今年の春先にウェットブラストを導入して準備したりもしたのですが、最終的に復活の光が見えたところで技術的な問題以外の理由にて作業は途中で終了となったのですが・・・。と、このように色々な状態のキャブレターが届くのですが、

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こちらの4輪でサーキット走行をされている車両用のFCRキャブレターでご依頼頂いた個体も作業前の作動チェック時に典型的な不良を抱えた状態であることが発覚しまして、作業を中止するかでオーナー様に悩んで頂き、一度非分解箇所の内部状況を確認してみてから作業の可否を決めますか?と非分解部分を分解して状況をチェックしたのですが、

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やはり今回ご依頼頂いたこのFCRキャブレターも典型的な症状のOリングの陥没と、

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どうも熱でこのT時部分が引っ張られてしまうようで、こちらも定番な変形によるシール不良と、

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そしてゴムの溶解と・・・ここまで酷い個体も珍しい。と言いたいところですが、中古のFCRを沢山扱うようになって初めて気付いた事ですが、この症例は非常に多くの個体で確認しておりまして、いつものあるある的な状態で、こうなってしまうとスロー系統が全滅でまともに低開度域のセッティングも出ませんし、せっかくキャブレターの外見をセラコートなどで綺麗に仕上げても性能が出ないのであればお金が勿体ないだけなので毎回この症状の時にはオーナー様に一度事情を説明して直して進めるか?中止するか?どうかを決めて頂いていたのですが、直すにしてもここの部分のOリングの調達にはいつも難儀しておりまして、

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しかも定期的に出るFCRキャブレター用のオリジナルワンウェイバルブの補修Kitを求めていただいたオーナー様からはここの部品のラインナップがあるのにOリングは無いんですか?と質問されてグサッと胸に刺さるものがあったりw

ただ、FCRキャブレターの場合はOリングを交換してもボディ側のガイドローラー部分が磨耗してしまうとどうしようも無いしなぁ・・・やはり高価な消耗品扱いなのかな・・・とか考えていたら、先日FCRキャブレターを製作させて頂いた共立工芸様からSEPベアリングガイドなるアイデア商品が出ている・・・。
なら後は非分解箇所のOリングさえ手に入れば今まで高価で短期消耗品扱いだったFCRキャブレターの寿命が延ばせる=ECO ♪

ということで、
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まずは協力していただける国内のOリングメーカーさん探しから始まり、Oリングの知識が無かったのでいろいろ話を聞いて同じNBRやフッ素ゴムなどでもアルミやステンレスと同じようにそれぞれに特化した様々な品種があるという事を教えて頂き、その中からキャブレターにお勧めの材質を絞って材料の選定から始めまして、キャブレターで使用されるガソリンやOリングを痛めることで定番なワコーズのエンジンコンディショナーに一ヶ月漬けてみたり、一定の温度で焼いてみたり・・・。

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で、一般的なニトリルゴム(NBR)材ですが、今まで専門知識が無いので耐油性=フッ素ゴムが最強!と解釈していたのですが、実は耐油、耐薬品性はフッ素ゴムよりもNBRの方が高いらしく、フッ素ゴムに比べて耐熱性が低い為にエンジン周りで使用するには耐熱性も兼ね備えたフッ素ゴムが優位という話のとおり、熱を加えたNBR材は少し縮んでしまい、弾性を失って曲げた際に簡単に折れてしまいました。
ちなみに一般的な製品にはコスト的にも安く済むこのNBR材が使用されておりますが、FCRキャブレターのOリングも純正はこのNBR材で出来ていますので、熱の蓄積による劣化はやはり避けられない部分でこれがOリングをダメにする一番の要因かと思います。

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ということで今回はコストよりも耐久性重視で過酷な条件に曝しても最後まで変形や弾性を失わなかったフッ素ゴムを採用することにしました^^

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そして今回もう一つ気になったのが非分解部分のOリングの嵌る溝の深さが部分的に違うという事で、浅い場所では0.5mmほどなのですが、深い場所では0.8mmほどなので1mmの板材から切り出して作った場合に、場所によってはその差が0.2mmほどしか無く、それでしっかりシール性が確保出切るのだろうか・・・?と、

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試しに厚みの違う2種類を試作して試してみたりもしたのですが、金型で作るOリングと違い今回はゴム板からウォータージェットで切り出すので当たり面が大きく、1mm厚でも問題ないとの判断から厚みは純正と同じ1mmにてOリングの形状も純正よりも信頼性が上がるように一体式に纏める形状で決定^^

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そして分解時にこの3mmの皿ネジがナメやすく、頭を飛ばした方が楽に分解が出来ますので予備のネジも用意しまして・・・

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ついに完成しました♪ FCRキャブレター用 非分解箇所用のOリングKit ^^
飛ぶように出て行くモノではないので少量生産ということと、国内生産という品質と材質に拘ったので破格な値段ではありませんが、とりあえず一気筒分1セット2700円+税で出せる内容に仕上がりました。
ということで、これでもう非分解部分の不調が出ても怖くないぞ♪ と意気揚々と次のキャブレターの作業に取り掛かりまして、

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見るからにお疲れ様な状態で、分解してみるとOリングやダイアフラムが劣化してカチカチのパリポリ状態で、

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ここまで劣化が進んでいると同じ材質を使っている非分解部分のあのOリングも逝ってるなこりゃ。。。とチェックをすると、Oリングが逝っている時にいつも聞こえるあの悲しい音が・・・。
※ 非分解部分のチェック方法は最後に動画でご紹介しております。

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そこでオーナーさんに事情を説明して修復の方向でご指示をいただいたので早速分解してみると、あのT時部分が縮んで陥没して気密性を失い、Oリングもカチカチでダメだこりゃ・・・。が、しかし!! 今は交換するOリングも有るので悲観することなく修正作業再開!と思ったら・・・

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このFCRキャブレターは何だかいつものと違うw

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普段滅多にバラさない部分なのであまりこの非分解部分の詳細を知らなかったので、こら何だべさ?と目が点にw
とりあえず穴の繋がっている出口を追うとどうもチョークバルブ用の通路らしく、そういえばこの個体にはチョーク機構が付いてたな・・・と。
他を新品にしてここだけ見逃す訳にもいかないしなぁ・・・ということで、

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再度メーカーさんに頼んでこの部分のOリングも作って頂くことに^^:

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ということでチョークバルブ付きのカールおじさんっぽいFCRキャブレター用OリングKit も御座いますw

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そしてこれからは加速ポンプ機構の補修用ワンウェイバルブKit とのセットも用意出来る様になりましたので、もうグサッと言葉が胸に刺さることも無くなるかと思いますw

FCR非分解Oリング補修用
またこちらの非分解部分のOリングが必要な方が居りましたら http://shop-sbr.com/ でご用意しておりますのでご覧ください。

また、非分解箇所のOリングの破損状況などの簡易的なチェック方法を動画に纏めてみましたので宜しければこちらも合わせてご覧ください。


akane380 at 02:29|PermalinkComments(10)